本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第15章 6 ドタキャン
週末金曜日の夜――
仕事が終わった私は駅前の駐輪場へ向かった。実は昨日、仕事帰りに自転車を買って、今日から駅まで自転車で来るようにしていたからだ。
自転車のカギを開けて、駐輪場の外まで引っぱってくるとさっそく自転車にまたがりこぎ出した。
「やっぱり自転車は楽だな~」
自転車をこぎながらつぶやく。私の買った自転車は電気自転車ではないけれどもギヤの切り替えがついているし、坂道も無い場所だからこれで十分。
帰りに途中コンビニへ寄ってお弁当を買って、再び自転車に乗るとマンションを目指した。
ガチャン
マンションの自転車置き場に自転車を止めてカギを抜くと、階段を昇って自分の部屋へと向かった。
「ただいま~。お帰りなさい」
ガチャリとカギを開けて誰もいない玄関で独り芝居をする私。時折、1人暮らしを寂しく感じると、ついこんな真似をしてしまう。普段なら黙って部屋に入るのだけど、今夜は何だか無性に寂しく感じる。理由は…自分で良く分かっていた。明日は亮平とお姉ちゃんが高尾山デートをする日だから。そして私は今らかお姉ちゃんに電話を入れて、明日一緒に出掛けることが出来なくなったことを告げなければならない。部屋の電気をつけて上がり込むとすぐにバッグからスマホをとりだした。
「ス~ハ~」
一度深呼吸をするとスマホをタップしてお姉ちゃんの番号を呼び出して電話をかけた。
コール音が鳴っている間、私はずっとドキドキが止まらなかった。
『はい、もしもし?』
5コール目でお姉ちゃんが電話に出て、心臓の鼓動が一気に高鳴る。
「こんばんは、お姉ちゃん」
『うん、こんばんは。鈴音ちゃん、仕事もう終わったの?』
「終わったよ、今家に帰ってきたところだよ」
『そうだったのね。遅くまでご苦労様。あ、丁度良かったわ。明日のお出かけの事なんだけど、お弁当を作って行こうと思うの。鈴音ちゃんは何が食べたい?』
お姉ちゃんの楽しそうな声を聞いていると、途端に罪悪感でいっぱいになってしまった。だけど…かつて2人は恋人同士だったのだから……。
「あ、あのね……お姉ちゃん。実は……明日はシフトが変更になってどうしても仕事に出なくちゃいけなくなったの」
『え……? そうなの……?』
途端にお姉ちゃんの悲し気な声が聞こえてくる。
「うん。本当にごめんね。突然こんなことになって……」
『そう……でもお仕事なら仕方ないわよね。ならまたお出かけは別の日にしましょう』
その言葉を聞いて私は焦った。
「え? 何言ってるの? 服部さんからはお出かけを勧められているんでしょう? 私の事は構わずに亮平と2人で行ってきなよ。亮平も楽しみにしてるんだからね?」
『楽しみ……? 分かったわ、鈴音ちゃん。2人で出かけてくるわ』
「うん、亮平には私から電話を入れておくから。それじゃまたね」
『ええ、またね。おやすみなさい』
そしてお姉ちゃんからの電話は切れた。
「ふう~……後は亮平に電話か……」
時計を見ると午後9時になろうとしていたので、先に夜ご飯を食べることにした。
コンビニで買ってきた中華丼をレンジであったためて食べ終え、少し考えた。
どうせ亮平はまだ起きているに決まっている。なら先にシャワー浴びてこよう。
そこでタンスから着替えを引っ張り出すとバスルームへ向かった――
それから約30分後――
濡れた髪をタオルでぬぐい、ドライタオルで髪をまとめると、すぐに亮平に電話を入れることにした。
トゥルルルル……
『もしもし!?』
たったのワンコールで亮平が電話口に出てきたので驚いてしまった。
「亮平、もしかして電話待ってたの?」
『あたりまえじゃないか! それでどうなったんだ?』
亮平が食いつくように尋ねてくる。余程楽しみなんだろうな。
「うん。大丈夫。お姉ちゃん行くって。良かったね?」
『え……? そうなのか……?』
しかし何故か亮平の声は元気が無かった――
仕事が終わった私は駅前の駐輪場へ向かった。実は昨日、仕事帰りに自転車を買って、今日から駅まで自転車で来るようにしていたからだ。
自転車のカギを開けて、駐輪場の外まで引っぱってくるとさっそく自転車にまたがりこぎ出した。
「やっぱり自転車は楽だな~」
自転車をこぎながらつぶやく。私の買った自転車は電気自転車ではないけれどもギヤの切り替えがついているし、坂道も無い場所だからこれで十分。
帰りに途中コンビニへ寄ってお弁当を買って、再び自転車に乗るとマンションを目指した。
ガチャン
マンションの自転車置き場に自転車を止めてカギを抜くと、階段を昇って自分の部屋へと向かった。
「ただいま~。お帰りなさい」
ガチャリとカギを開けて誰もいない玄関で独り芝居をする私。時折、1人暮らしを寂しく感じると、ついこんな真似をしてしまう。普段なら黙って部屋に入るのだけど、今夜は何だか無性に寂しく感じる。理由は…自分で良く分かっていた。明日は亮平とお姉ちゃんが高尾山デートをする日だから。そして私は今らかお姉ちゃんに電話を入れて、明日一緒に出掛けることが出来なくなったことを告げなければならない。部屋の電気をつけて上がり込むとすぐにバッグからスマホをとりだした。
「ス~ハ~」
一度深呼吸をするとスマホをタップしてお姉ちゃんの番号を呼び出して電話をかけた。
コール音が鳴っている間、私はずっとドキドキが止まらなかった。
『はい、もしもし?』
5コール目でお姉ちゃんが電話に出て、心臓の鼓動が一気に高鳴る。
「こんばんは、お姉ちゃん」
『うん、こんばんは。鈴音ちゃん、仕事もう終わったの?』
「終わったよ、今家に帰ってきたところだよ」
『そうだったのね。遅くまでご苦労様。あ、丁度良かったわ。明日のお出かけの事なんだけど、お弁当を作って行こうと思うの。鈴音ちゃんは何が食べたい?』
お姉ちゃんの楽しそうな声を聞いていると、途端に罪悪感でいっぱいになってしまった。だけど…かつて2人は恋人同士だったのだから……。
「あ、あのね……お姉ちゃん。実は……明日はシフトが変更になってどうしても仕事に出なくちゃいけなくなったの」
『え……? そうなの……?』
途端にお姉ちゃんの悲し気な声が聞こえてくる。
「うん。本当にごめんね。突然こんなことになって……」
『そう……でもお仕事なら仕方ないわよね。ならまたお出かけは別の日にしましょう』
その言葉を聞いて私は焦った。
「え? 何言ってるの? 服部さんからはお出かけを勧められているんでしょう? 私の事は構わずに亮平と2人で行ってきなよ。亮平も楽しみにしてるんだからね?」
『楽しみ……? 分かったわ、鈴音ちゃん。2人で出かけてくるわ』
「うん、亮平には私から電話を入れておくから。それじゃまたね」
『ええ、またね。おやすみなさい』
そしてお姉ちゃんからの電話は切れた。
「ふう~……後は亮平に電話か……」
時計を見ると午後9時になろうとしていたので、先に夜ご飯を食べることにした。
コンビニで買ってきた中華丼をレンジであったためて食べ終え、少し考えた。
どうせ亮平はまだ起きているに決まっている。なら先にシャワー浴びてこよう。
そこでタンスから着替えを引っ張り出すとバスルームへ向かった――
それから約30分後――
濡れた髪をタオルでぬぐい、ドライタオルで髪をまとめると、すぐに亮平に電話を入れることにした。
トゥルルルル……
『もしもし!?』
たったのワンコールで亮平が電話口に出てきたので驚いてしまった。
「亮平、もしかして電話待ってたの?」
『あたりまえじゃないか! それでどうなったんだ?』
亮平が食いつくように尋ねてくる。余程楽しみなんだろうな。
「うん。大丈夫。お姉ちゃん行くって。良かったね?」
『え……? そうなのか……?』
しかし何故か亮平の声は元気が無かった――