本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第15章 7 亮平のせい
「何? 亮平嬉しくないの? 折角久しぶりにお姉ちゃんとデート出来るのに」
『そういうわけじゃない。ただ忍はもう俺と恋人同士だった事を覚えていないのに今更どうやってふるまえばいいか分からなくて』
亮平はいつになく弱気な事を言う。
「何言ってるの。今まで通りの態度で接すればいいだけじゃない。大丈夫、きっとうまくいくよ」
亮平を応援している自分が情けなくなってきた。2人の仲が元の恋人同士に戻ってくれることを願いながら、それを認めたくない自分の相反する気持ちで葛藤している自分がいる。
どうせ亮平と私の未来は無い。亮平の好きな人はお姉ちゃん、好きな人の幸せになる姿を見るのが私の幸せ……自分に無理にそう言い聞かせた。
『そうか……分かったよ。お前が忍と俺の事、応援してくれているって事が』
どこか寂し気な亮平の言葉遣い。きっと不安なのだろう。
「大丈夫だってば、お姉ちゃんにきっと亮平の気持ち、伝わるよ」
『そうだな。それで今度の週末、鈴音はどうやって過ごすんだ?』
「私? 私はもちろん仕事だよ」
『何時に終わるんだ?』
亮平はどうしてそんな事聞いてくるんだろう? 訝し気に思いつつ、答えた。
「夜8時までだよ。遅番だからね。そこから後片付けとかいろいろあるからもしかしたら9時過ぎになるかもしれない。でも何でそんな事聞くの?」
『いや、帰り大丈夫なのかと思って』
「平気だよ。自転車だって買ったし遅番だからひょっとしたら川口さんが迎えに来てくれるかもしれないしね」
『川口……またあいつの話か?』
不意にイライラした様子に口調が変わった。
「あいつ? 川口さんの事あいつって言ってるの?」
『ああ、そうだ。悪いか?』
「川口さんはいい人だよ? 仕事で疲れているはずなのに、私が遅番の時は必ず駅まで迎えに来てくれるもの」
『それはお前に下心があるからだろう?』
下心も何も……私ははっきり告白されているのに?
「亮平もうやめよう、この話は」
『お前から言い出したんじゃないか』
「うん、分かってる。私はもっと楽しい話を亮平としたいの。機嫌が悪くなるならもう彼の話は亮平の前ではしないから」
『……付き合ってるのか?』
「え?」
『彼なんて呼ぶんだから……。もう2人は恋人同士の関係なのか?』
どうして亮平はそんなことを聞いてくるのだろう。
「今は違うよ。でもこの先はどうなるか分からないけど……」
『おい、情に流されて軽々しく付き合ったりするんじゃないぞ?』
「え!? 何それ!」
もうこれ以上、亮平の前で川口さんの話をしたくは無かった。亮平から交際を進めてきたくせに今更そんなことを言ってくるなんて。それに多分、私はもう引き返せない。相手は自分に好意を寄せているのが分かっていて、それをズルズルいつまでも引きずらせているのは最低な事だと思っている。
だったら……!
「亮平、私決めたから。もし次に川口さんに告白されたら受けるって」
『え? お、おい! 鈴音!』
亮平はかなり焦っているようだった。
「もともとは亮平が川口さんとの交際進めてきたんだから、それじゃ切るね。明日はどうぞ楽しんできて」
私は亮平の返事も聞かずに電話を切った。
切って……そして酷く後悔した。最低だ……私。川口さんの交際を決めた事を亮平のせいにするなんて。
「亮平……」
気づけば私の目から一滴の涙が頬を伝っていた――
『そういうわけじゃない。ただ忍はもう俺と恋人同士だった事を覚えていないのに今更どうやってふるまえばいいか分からなくて』
亮平はいつになく弱気な事を言う。
「何言ってるの。今まで通りの態度で接すればいいだけじゃない。大丈夫、きっとうまくいくよ」
亮平を応援している自分が情けなくなってきた。2人の仲が元の恋人同士に戻ってくれることを願いながら、それを認めたくない自分の相反する気持ちで葛藤している自分がいる。
どうせ亮平と私の未来は無い。亮平の好きな人はお姉ちゃん、好きな人の幸せになる姿を見るのが私の幸せ……自分に無理にそう言い聞かせた。
『そうか……分かったよ。お前が忍と俺の事、応援してくれているって事が』
どこか寂し気な亮平の言葉遣い。きっと不安なのだろう。
「大丈夫だってば、お姉ちゃんにきっと亮平の気持ち、伝わるよ」
『そうだな。それで今度の週末、鈴音はどうやって過ごすんだ?』
「私? 私はもちろん仕事だよ」
『何時に終わるんだ?』
亮平はどうしてそんな事聞いてくるんだろう? 訝し気に思いつつ、答えた。
「夜8時までだよ。遅番だからね。そこから後片付けとかいろいろあるからもしかしたら9時過ぎになるかもしれない。でも何でそんな事聞くの?」
『いや、帰り大丈夫なのかと思って』
「平気だよ。自転車だって買ったし遅番だからひょっとしたら川口さんが迎えに来てくれるかもしれないしね」
『川口……またあいつの話か?』
不意にイライラした様子に口調が変わった。
「あいつ? 川口さんの事あいつって言ってるの?」
『ああ、そうだ。悪いか?』
「川口さんはいい人だよ? 仕事で疲れているはずなのに、私が遅番の時は必ず駅まで迎えに来てくれるもの」
『それはお前に下心があるからだろう?』
下心も何も……私ははっきり告白されているのに?
「亮平もうやめよう、この話は」
『お前から言い出したんじゃないか』
「うん、分かってる。私はもっと楽しい話を亮平としたいの。機嫌が悪くなるならもう彼の話は亮平の前ではしないから」
『……付き合ってるのか?』
「え?」
『彼なんて呼ぶんだから……。もう2人は恋人同士の関係なのか?』
どうして亮平はそんなことを聞いてくるのだろう。
「今は違うよ。でもこの先はどうなるか分からないけど……」
『おい、情に流されて軽々しく付き合ったりするんじゃないぞ?』
「え!? 何それ!」
もうこれ以上、亮平の前で川口さんの話をしたくは無かった。亮平から交際を進めてきたくせに今更そんなことを言ってくるなんて。それに多分、私はもう引き返せない。相手は自分に好意を寄せているのが分かっていて、それをズルズルいつまでも引きずらせているのは最低な事だと思っている。
だったら……!
「亮平、私決めたから。もし次に川口さんに告白されたら受けるって」
『え? お、おい! 鈴音!』
亮平はかなり焦っているようだった。
「もともとは亮平が川口さんとの交際進めてきたんだから、それじゃ切るね。明日はどうぞ楽しんできて」
私は亮平の返事も聞かずに電話を切った。
切って……そして酷く後悔した。最低だ……私。川口さんの交際を決めた事を亮平のせいにするなんて。
「亮平……」
気づけば私の目から一滴の涙が頬を伝っていた――