本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第15章 9 理解出来ない行動
「ちょ、ちょっと亮平! 何してるのよっ!」
私は亮平と井上君の間に割って入った。
「加藤さん。俺が店の前で待っていたらいきなりこの男が現れたんだよ」
井上君は亮平を見た。
「鈴音、お前を迎えに来たんだよ。渡したいものもあったしな。近くのパーキングに車を止めてあるから一緒に帰ろう。マンションまで送るから」
亮平が笑顔で言う。だけど……。
「どうして、こんなところに来てるの亮平。お姉ちゃんはどうしたの?」
「うん? 忍ならもう家にいるけど? 忍を送ってすぐにお前を迎えに来たんだよ」
「どうして……?」
私は俯いて肩を震わせた。
「加藤さん、大丈夫か?」
背後で井上君の声が聞こえて、肩に手が伸びてきた。すると……。
「おい! 勝手に鈴音に触るな!」
亮平がいきなり井上君にくってかかった。
「いい加減にして! 亮平っ!」
気付けば私は大声を上げていた。
「鈴音……。俺はただ……同僚が勝手にお前に触ろうとしたから……」
「それを言うなら亮平だってただの幼馴染でしょっ!」
どうしてなのよ……! 折角亮平から離れようと決意したのに、お姉ちゃんと恋人同士に戻って貰う事を願って、今日の高尾山をセッティングしたのに……!
「す、鈴音……」
何故か亮平は酷く傷ついた顔をして私を見ている。
「加藤さん…何があったか知らないけど、わざわざ車で迎えに来てもらったんだろう? 一緒に帰ったほうがいいんじゃないか?」
「井上君……」
「それじゃ、また明日」
井上君は手を振ると立ち去ってしまった。
「……」
その姿を見届けていると、背後から亮平が声をかけてきた。
「鈴音……帰ろう」
私は黙って頷いた――
****
狭い車内の中。
重苦しい沈黙が続いている。本当は今日の2人だけのデートの感想とか色々聞きたかったけど、とてもじゃないけど今はそんな事聞きたいとも思わなかった。もう私には構わないで欲しいのに。亮平が何を考えているのか今となっては理解出来なかった。
「あの……さ……」
沈黙に耐え切れなかったのか、それとも私の不機嫌な様子に我慢できなくなったのか、運転しながら亮平が口を開いた。
「今日の高尾山ミュージアム……忍、すごく楽しんでたよ。お前にも来てもらいたかったって、ずっと言ってたよ」
「そう……つまり、亮平はどうして私も来なかったんだって言いに来たんだね?」
つい、意地悪な言い方をしてしまう。
「違うっ! 俺はただお前の帰りが今日は遅いって言ってたから……そんな事を聞いたら迎えに行かなくちゃいけないって思うだろう?」
それを聞いた私はおかしくなってしまった。だって、前にも同じ会話をしたことがあるから。
「亮平……今の住んでる処は物騒な場所は無いんだよ? 自転車だって買ったし、それに何より私の事を心配して迎えに来てくれる人だっているんだから」
だから亮平はもう必要ないんだよ。忘れようとしているんだから私に構わないでよ。目頭が熱くなりそうになるのをじっと我慢する。
「悪かったよ鈴音。ただ俺はお前が交通事故に遭ってから心配でたまらないんだ。ずっと今まで当り前の様に隣にいた相手が、ある日突然いなくなってしまうのがどんなに怖い事なのかって事に気付いたんだよ……だから……」
「亮平、私達はただの幼馴染だよ? 家族でも無い、ただの幼馴染。そんな関係が大人になってもいつまでも続くと思っているの?」
「鈴音……俺は……」
「亮平は、お姉ちゃんのことが好きなんでしょう?」
亮平は返事をしない。
「どうなの? あんなにお姉ちゃんの事、子供の頃から好きだったじゃない」
「ああ……好きだったよ。でも……」
その時。
トゥルルルルル……
私のスマホに着信が入ってきた。それは川口さんからだった――
私は亮平と井上君の間に割って入った。
「加藤さん。俺が店の前で待っていたらいきなりこの男が現れたんだよ」
井上君は亮平を見た。
「鈴音、お前を迎えに来たんだよ。渡したいものもあったしな。近くのパーキングに車を止めてあるから一緒に帰ろう。マンションまで送るから」
亮平が笑顔で言う。だけど……。
「どうして、こんなところに来てるの亮平。お姉ちゃんはどうしたの?」
「うん? 忍ならもう家にいるけど? 忍を送ってすぐにお前を迎えに来たんだよ」
「どうして……?」
私は俯いて肩を震わせた。
「加藤さん、大丈夫か?」
背後で井上君の声が聞こえて、肩に手が伸びてきた。すると……。
「おい! 勝手に鈴音に触るな!」
亮平がいきなり井上君にくってかかった。
「いい加減にして! 亮平っ!」
気付けば私は大声を上げていた。
「鈴音……。俺はただ……同僚が勝手にお前に触ろうとしたから……」
「それを言うなら亮平だってただの幼馴染でしょっ!」
どうしてなのよ……! 折角亮平から離れようと決意したのに、お姉ちゃんと恋人同士に戻って貰う事を願って、今日の高尾山をセッティングしたのに……!
「す、鈴音……」
何故か亮平は酷く傷ついた顔をして私を見ている。
「加藤さん…何があったか知らないけど、わざわざ車で迎えに来てもらったんだろう? 一緒に帰ったほうがいいんじゃないか?」
「井上君……」
「それじゃ、また明日」
井上君は手を振ると立ち去ってしまった。
「……」
その姿を見届けていると、背後から亮平が声をかけてきた。
「鈴音……帰ろう」
私は黙って頷いた――
****
狭い車内の中。
重苦しい沈黙が続いている。本当は今日の2人だけのデートの感想とか色々聞きたかったけど、とてもじゃないけど今はそんな事聞きたいとも思わなかった。もう私には構わないで欲しいのに。亮平が何を考えているのか今となっては理解出来なかった。
「あの……さ……」
沈黙に耐え切れなかったのか、それとも私の不機嫌な様子に我慢できなくなったのか、運転しながら亮平が口を開いた。
「今日の高尾山ミュージアム……忍、すごく楽しんでたよ。お前にも来てもらいたかったって、ずっと言ってたよ」
「そう……つまり、亮平はどうして私も来なかったんだって言いに来たんだね?」
つい、意地悪な言い方をしてしまう。
「違うっ! 俺はただお前の帰りが今日は遅いって言ってたから……そんな事を聞いたら迎えに行かなくちゃいけないって思うだろう?」
それを聞いた私はおかしくなってしまった。だって、前にも同じ会話をしたことがあるから。
「亮平……今の住んでる処は物騒な場所は無いんだよ? 自転車だって買ったし、それに何より私の事を心配して迎えに来てくれる人だっているんだから」
だから亮平はもう必要ないんだよ。忘れようとしているんだから私に構わないでよ。目頭が熱くなりそうになるのをじっと我慢する。
「悪かったよ鈴音。ただ俺はお前が交通事故に遭ってから心配でたまらないんだ。ずっと今まで当り前の様に隣にいた相手が、ある日突然いなくなってしまうのがどんなに怖い事なのかって事に気付いたんだよ……だから……」
「亮平、私達はただの幼馴染だよ? 家族でも無い、ただの幼馴染。そんな関係が大人になってもいつまでも続くと思っているの?」
「鈴音……俺は……」
「亮平は、お姉ちゃんのことが好きなんでしょう?」
亮平は返事をしない。
「どうなの? あんなにお姉ちゃんの事、子供の頃から好きだったじゃない」
「ああ……好きだったよ。でも……」
その時。
トゥルルルルル……
私のスマホに着信が入ってきた。それは川口さんからだった――