本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第15章 14 亮平の恋
『昨夜正式に恋人同士になったって……?』
電話口の亮平の声が震えている。
「言葉通りの意味だよ」
『それって……ひょっとして……?』
「そ、そんな事言わなくたって分かるよね!? 私たちは子供じゃない、大人なんだから。大人には大人のお付き合いの仕方があるでしょうっ!?」
『……っ! あいつ、何って手が早い男なんだ! しかも鈴音は交通事故で退院して間もないってのに! お前に無理させたのかっ!?俺言ったよな? 情に流されて軽々しく付き合ったりするんじゃないぞって! なのに簡単に……関係を……』
最後の方は何て言ったか聞こえなかったけど、聞き返したくも無かった。
「ちょ、ちょっと、おかしな事想像しないでよ! それってセクハラだからねっ!? もうそんな事ばかり言うなら電話切るよ!?」
酷い、最低だっ! 亮平だってお姉ちゃんと付き合い始めて間もない頃に男女の関係になっているくせに!
『ま、待ってくれ! 本当はそんな事言う為に何度も連絡をいれてきたわけじゃないんだよ』
「え? それじゃ一体何?」
『もし、もし俺が忍以外に他に好きな女が出来たって言ったら……どうする?』
「え?」
その言葉を聞いて、私は目の前が一瞬真っ暗になってしまった。次に想像してみた。亮平の隣にお姉ちゃんではない別の誰かが恋人になって立っているその様を。
だけど私の胸の痛みは変わらないし、亮平には心の中ですでにサヨナラを告げている。そして今の私には、私の事を大切に思ってくれて、欲しいと思っていた言葉をくれる恋人がいる。だから私は亮平を応援するためにアドバイスした。
「もし、本当に亮平がお姉ちゃん以上にその女性の事が好きなら告白してみればいいんじゃないの?」
『え?』
スマホから亮平の戸惑う声が聞こえてくる。
「どうしたの?」
『い、いや。てっきり忍の事だけを考えろって言われるんじゃないかと思ったけど』
「だって他に大切に思う女性が出来たなら仕方がないでしょう? どんなタイプの女性なの?」
『相手の事を思いやれる優しい女性だよ。それにやたらと男にモテる』
「へ~…そうなんだ。中々の高嶺の花なんだね。告白はしたの?」
『いや……。してない。しようと思ってたんだけど……フラれた』
「え!? 亮平がフラれるなんて珍しいね? 中学の時からフラれた事なんか無かったのに」
『そうだったか?』
「それで失恋したから慰めてもらいたくて私に連絡を入れてきていたの?」
まさかとは思いつつ尋ねてみた。亮平からは何も返事が無い。やっぱりそうなのか……昔から亮平は私の事を悩みや愚痴を聞く要員とみなしていたから。だけどお姉ちゃんに対する亮平の恋心の話を聞くのは正直辛かった。
『いや……そういうわけでは……』
歯切れが悪い亮平に私はアドバイスした。
「それなら尚の事、今度からそういう話はお姉ちゃんにして」
そう、お姉ちゃんに恋の悩みを相談してみれば、もしかしてお姉ちゃんの心の中にかつて亮平が恋人だったと言う記憶が蘇って、2人は元の恋人同士に戻れるかもしれない。
丁度その時、洗濯が終わった音楽が流れる。
「ごめん亮平。もう話終わりにしてもいいかな? 私、これから用事があるから」
『用事……? ひょっとして川口のところか?』
また亮平が何だかイラついている。
「そうだよ、だって彼は私の恋人だもの。だから彼の事を敵視しないで」
『べ、別に敵視なんか……』
「してるよっ! 亮平から彼の事薦めてきたのに川口さんの事悪く言うなんて誰から見てもおかしいってば! 彼を待たせたくないから電話切るからね」
私は亮平の言葉を待たずに電話を切ると、洗濯機に向かった――
電話口の亮平の声が震えている。
「言葉通りの意味だよ」
『それって……ひょっとして……?』
「そ、そんな事言わなくたって分かるよね!? 私たちは子供じゃない、大人なんだから。大人には大人のお付き合いの仕方があるでしょうっ!?」
『……っ! あいつ、何って手が早い男なんだ! しかも鈴音は交通事故で退院して間もないってのに! お前に無理させたのかっ!?俺言ったよな? 情に流されて軽々しく付き合ったりするんじゃないぞって! なのに簡単に……関係を……』
最後の方は何て言ったか聞こえなかったけど、聞き返したくも無かった。
「ちょ、ちょっと、おかしな事想像しないでよ! それってセクハラだからねっ!? もうそんな事ばかり言うなら電話切るよ!?」
酷い、最低だっ! 亮平だってお姉ちゃんと付き合い始めて間もない頃に男女の関係になっているくせに!
『ま、待ってくれ! 本当はそんな事言う為に何度も連絡をいれてきたわけじゃないんだよ』
「え? それじゃ一体何?」
『もし、もし俺が忍以外に他に好きな女が出来たって言ったら……どうする?』
「え?」
その言葉を聞いて、私は目の前が一瞬真っ暗になってしまった。次に想像してみた。亮平の隣にお姉ちゃんではない別の誰かが恋人になって立っているその様を。
だけど私の胸の痛みは変わらないし、亮平には心の中ですでにサヨナラを告げている。そして今の私には、私の事を大切に思ってくれて、欲しいと思っていた言葉をくれる恋人がいる。だから私は亮平を応援するためにアドバイスした。
「もし、本当に亮平がお姉ちゃん以上にその女性の事が好きなら告白してみればいいんじゃないの?」
『え?』
スマホから亮平の戸惑う声が聞こえてくる。
「どうしたの?」
『い、いや。てっきり忍の事だけを考えろって言われるんじゃないかと思ったけど』
「だって他に大切に思う女性が出来たなら仕方がないでしょう? どんなタイプの女性なの?」
『相手の事を思いやれる優しい女性だよ。それにやたらと男にモテる』
「へ~…そうなんだ。中々の高嶺の花なんだね。告白はしたの?」
『いや……。してない。しようと思ってたんだけど……フラれた』
「え!? 亮平がフラれるなんて珍しいね? 中学の時からフラれた事なんか無かったのに」
『そうだったか?』
「それで失恋したから慰めてもらいたくて私に連絡を入れてきていたの?」
まさかとは思いつつ尋ねてみた。亮平からは何も返事が無い。やっぱりそうなのか……昔から亮平は私の事を悩みや愚痴を聞く要員とみなしていたから。だけどお姉ちゃんに対する亮平の恋心の話を聞くのは正直辛かった。
『いや……そういうわけでは……』
歯切れが悪い亮平に私はアドバイスした。
「それなら尚の事、今度からそういう話はお姉ちゃんにして」
そう、お姉ちゃんに恋の悩みを相談してみれば、もしかしてお姉ちゃんの心の中にかつて亮平が恋人だったと言う記憶が蘇って、2人は元の恋人同士に戻れるかもしれない。
丁度その時、洗濯が終わった音楽が流れる。
「ごめん亮平。もう話終わりにしてもいいかな? 私、これから用事があるから」
『用事……? ひょっとして川口のところか?』
また亮平が何だかイラついている。
「そうだよ、だって彼は私の恋人だもの。だから彼の事を敵視しないで」
『べ、別に敵視なんか……』
「してるよっ! 亮平から彼の事薦めてきたのに川口さんの事悪く言うなんて誰から見てもおかしいってば! 彼を待たせたくないから電話切るからね」
私は亮平の言葉を待たずに電話を切ると、洗濯機に向かった――