本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第16章 9 これからの事
「う……」
薄目を開けると見慣れた天井が目に入った。そうだ、ここは私の部屋……そう思った矢先。
「鈴音、気がついたのか?!」
「え……?」
視線を移すとそこには私を心配そうに覗き込んでいる亮平の姿があった。
「亮平……」
気付けば私は自分のベッドの上で横たわっていた。
「良かった……突然川口の部屋で気を失ったから驚いてお前のマンションへ連れてきたんだよ」
「あ……」
そうだった。私は鍵を開けて直人さんの部屋の扉を開けたら、部屋の中からは全ての荷物が消えていて……。
「う……」
途端にどうしようもない位、悲しい気持ちがこみ上げてきて私はベッドに横たわったまま顔を覆って堪えきれない涙を流した。
「う、う、うう……」
必死で声を殺して無く。
「鈴音、無理するな。泣きたいなら思い切り声を上げて泣いたほうがいい」
亮平が私の髪に触れてくる。
「りょ、亮……平……」
私は枕に顔を埋めると大声を上げて声が外に漏れないように泣き続けた。亮平は私が泣いている間、黙って私の頭をなでてくれた。それは遠い子供の頃の記憶を呼び戻す。私は涙が枯れて出なくなるまで、枕に顔を押し付けたままいつまでもいつまでも泣き続けた――
****
「ええっ!? 23時半?」
ようやく私が泣き止んだ頃は既に時刻は23時半になろうとしていた。
「ああ、それじゃ俺は帰るから。またな」
亮平は立ち上がって帰ろうとした。
「待ってよ!」
私は亮平の上着の裾を掴んだ。
「な、なんだよ?」
「今から帰るなんて無茶だよ。今夜は泊まっていきなよ」
「は? 無理言うなよ。俺は着替えも何も無いんだぞ? 大体布団だって無いじゃないか?」
「だけど、今から帰ったら何時になるのよ。それに終電はあるの?」
「終電ならまだ多分あるはずだ。だけど……」
「でも、今夜はここに泊まって明日の朝仕事に行けばいいでしょう?」
すると亮平はため息をついた。
「お前な……もう真夏じゃ無いんだ。布団がなければ寒くて眠れるはずないだろう?」
言われてみれば亮平の言うとおりだ。思わずうつむく。
「とりあえず、今夜は駅前のビジネスホテルに予約を入れてあるんだよ」
「え? そうだったの?」
「お前がいつ目を覚ますか分からなかったからな。鈴音が眠ってる間にネットで検索して予約を入れて置いたんだ」
「何だ……そうだったの……」
「そういうわけだ。だから俺の事は気にするな。とりあえず今夜はもう寝ろ」
亮平は玄関へと向かって歩いてくので私はその後を追う。
「鈴音。川口はマンションから消えていたんだろう? とりあえずあいつのスマホに連絡を入れてみろ。着信拒否されていたり、番号を変えていなければ応答はあるだろう。俺もあいつの番号とメルアドを知ってるから入れてみる。それで連絡が取れなければ次の方法を考えよう」
亮平は靴を履き終えると私をみた。
「え……?」
直人さんに連絡を……?
「い、嫌……」
「え? 何が嫌なんだ? お前このままにしておくつもりなのか?」
「だ、だけど……連絡が取れても取れなくても……辛いもの……」
すると亮平は私の両肩をぐっと掴んできた。
「鈴音! お前本当にそれでいいのかよっ!? 言っておくが俺はこんな終わり方は納得しないからな!? でなきゃ俺は一体何の為に……!」
そこまで言いかけて亮平は口を閉ざした。
「え? 亮平、今何言いかけたの?」
「いや、何でもない。とにかく俺はあいつに連絡を入れるからな? どう考えてみてもこんな終わりかたおかしいだろう?」
亮平は顔をそむける。
「亮平! でも……!」
「いいか、鈴音。とにかくまずは俺に任せろ。それで駄目なら2人で考えるんだ。分かったな? それじゃ、俺は帰るけどしっかり戸締まりして寝ろよ」
「亮平……」
そして亮平は部屋を出ていった――
薄目を開けると見慣れた天井が目に入った。そうだ、ここは私の部屋……そう思った矢先。
「鈴音、気がついたのか?!」
「え……?」
視線を移すとそこには私を心配そうに覗き込んでいる亮平の姿があった。
「亮平……」
気付けば私は自分のベッドの上で横たわっていた。
「良かった……突然川口の部屋で気を失ったから驚いてお前のマンションへ連れてきたんだよ」
「あ……」
そうだった。私は鍵を開けて直人さんの部屋の扉を開けたら、部屋の中からは全ての荷物が消えていて……。
「う……」
途端にどうしようもない位、悲しい気持ちがこみ上げてきて私はベッドに横たわったまま顔を覆って堪えきれない涙を流した。
「う、う、うう……」
必死で声を殺して無く。
「鈴音、無理するな。泣きたいなら思い切り声を上げて泣いたほうがいい」
亮平が私の髪に触れてくる。
「りょ、亮……平……」
私は枕に顔を埋めると大声を上げて声が外に漏れないように泣き続けた。亮平は私が泣いている間、黙って私の頭をなでてくれた。それは遠い子供の頃の記憶を呼び戻す。私は涙が枯れて出なくなるまで、枕に顔を押し付けたままいつまでもいつまでも泣き続けた――
****
「ええっ!? 23時半?」
ようやく私が泣き止んだ頃は既に時刻は23時半になろうとしていた。
「ああ、それじゃ俺は帰るから。またな」
亮平は立ち上がって帰ろうとした。
「待ってよ!」
私は亮平の上着の裾を掴んだ。
「な、なんだよ?」
「今から帰るなんて無茶だよ。今夜は泊まっていきなよ」
「は? 無理言うなよ。俺は着替えも何も無いんだぞ? 大体布団だって無いじゃないか?」
「だけど、今から帰ったら何時になるのよ。それに終電はあるの?」
「終電ならまだ多分あるはずだ。だけど……」
「でも、今夜はここに泊まって明日の朝仕事に行けばいいでしょう?」
すると亮平はため息をついた。
「お前な……もう真夏じゃ無いんだ。布団がなければ寒くて眠れるはずないだろう?」
言われてみれば亮平の言うとおりだ。思わずうつむく。
「とりあえず、今夜は駅前のビジネスホテルに予約を入れてあるんだよ」
「え? そうだったの?」
「お前がいつ目を覚ますか分からなかったからな。鈴音が眠ってる間にネットで検索して予約を入れて置いたんだ」
「何だ……そうだったの……」
「そういうわけだ。だから俺の事は気にするな。とりあえず今夜はもう寝ろ」
亮平は玄関へと向かって歩いてくので私はその後を追う。
「鈴音。川口はマンションから消えていたんだろう? とりあえずあいつのスマホに連絡を入れてみろ。着信拒否されていたり、番号を変えていなければ応答はあるだろう。俺もあいつの番号とメルアドを知ってるから入れてみる。それで連絡が取れなければ次の方法を考えよう」
亮平は靴を履き終えると私をみた。
「え……?」
直人さんに連絡を……?
「い、嫌……」
「え? 何が嫌なんだ? お前このままにしておくつもりなのか?」
「だ、だけど……連絡が取れても取れなくても……辛いもの……」
すると亮平は私の両肩をぐっと掴んできた。
「鈴音! お前本当にそれでいいのかよっ!? 言っておくが俺はこんな終わり方は納得しないからな!? でなきゃ俺は一体何の為に……!」
そこまで言いかけて亮平は口を閉ざした。
「え? 亮平、今何言いかけたの?」
「いや、何でもない。とにかく俺はあいつに連絡を入れるからな? どう考えてみてもこんな終わりかたおかしいだろう?」
亮平は顔をそむける。
「亮平! でも……!」
「いいか、鈴音。とにかくまずは俺に任せろ。それで駄目なら2人で考えるんだ。分かったな? それじゃ、俺は帰るけどしっかり戸締まりして寝ろよ」
「亮平……」
そして亮平は部屋を出ていった――