本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第3章 2 私と亮平の計画
その日の午後―
私と亮平は2人で都内で遊べるガイドブックを眺めていた。お姉ちゃんをどこか遊びに連れて行ってあげて少しでも元気になってもらう計画を2人で立てている最中なのだ。本当ならお泊り旅行でお姉ちゃんを1日中、遊びに連れて行ってあげて進さんの事を忘れる位に疲れさせたいくらいなのだけど…。新入社員の私たちにとっては自由にお休みどころか有給休暇すら取ることが出来ない。
「ふう…。ねえ亮平。新入社員て辛いねえ…」
「はあ?いきなり何言いだすんだよ、鈴音は」
亮平は顔上げると、あろうことか私の頭にデコピンしてきた。
グッ!!
おでこに痛みが走る。
「ちょっとおっ!何?今のっ!すっごく痛かったんですけどっ!」
ズキズキするおでこを押さえながら私は亮平に抗議した。
「何だ?そんなに痛かったか?大げさな奴だなあ」
言いながら亮平は再びガイドブックに目を落とす。あ…今、サラリと受け流してくれたわね…。こっちは痛みで目に涙がにじんでいるというのに。
「ねえ、大げさじゃなくて本当に痛かったんですけど!」
バシンと机を叩きながら亮平に訴えた。
「またまた…大体鈴音は昔からオーバーで泣いてばかりいたからなあ。いっつも俺の後ろでビービー泣いていたっけ?それで俺がお前を虐めていた奴らを撃退してやっていたんだものなあ?」
ニヤニヤしながら亮平は言う。そうなのだ。私は小学校に入学した当時、クラスの乱暴な男の子たちによく虐められていて、それを毎回助けてくれていたのが亮平だったんだっけ…。
「うっ…そ、それは子供のころの話でしょう?今は違うものっ!もう…そこまで言うならどれほど痛かったか、お返ししてあげるよっ!」
「おう!やってみろっ!」
「よし!なら遠慮なくやらせてもらうからね…」
エイッ!
ビシッ!
亮平のおでこにデコピンしてやった。
「…」
デコピンを食らった亮平は黙って俯いている。
「どう?痛かった?」
「お、お前なあ…」
亮平は肩を震わせている。
「何?」
「つけ爪をしている指先でやるなあっ!ものすごっく痛かったぞっ!」
亮平はおでこを押さえながら猛抗議してきた。
「あら~…そうだったかしら?おほほほほ…」
私は笑ってごまかした。亮平は、全くもうお前という奴は…等ブツブツ言いながら再びガイドブックに目を落とす。
「俺は土日しか休めないんだよ。なあ、鈴音。お前土日に休み取るのは難しいんだろう?」
亮平は伸びをしながら言う。
「うん、だからさっき言ったでしょう?新入社員て辛いねえって」
「なるほど…。なあ、鈴音」
「何?」
「いきなり俺と忍さんの2人だけで出かけるって…ハードル高いかな?」
「え?」
亮平の言葉に胸一瞬ズキリと痛んだ。
「だからあ、お前は土日休み取るの難しいんだろう?だったら俺と2人で忍さんと出かけるのはどうかなと思ったんだよ。でもあれか?いきなり俺と忍さんだけでのデートって…やっぱハードル高いかなあ…」
亮平は頭の後ろで腕を組むとリビングにゴロリと転がった。
「え…?デ、デート?」
駄目だ。思わず声が上ずってしまう。
「何だよ?元はと言えば、鈴音が先に言いだしたんだろう?忍さんの恋人になってくれって」
亮平は寝そべりながら天井を見ている。
「う、うん…確かにそう言ったけど…」
でも、いきなりデートって言うなんて…。
「とにかく一度忍さんと話がしたいな…。俺と一緒に2人で出掛けませんか?って…」
亮平はポツリと呟いた
「そうだね…」
私はそれだけ言葉を返すのが精いっぱいだった。
駄目だ、心をもっと強く持たなくちゃ。
これくらいの事で傷ついていたら、私の心は2人が晴れて恋人同士になる前に持たないかもしれない。
私はテーブルの下で強く拳を握りしめるのだった――
私と亮平は2人で都内で遊べるガイドブックを眺めていた。お姉ちゃんをどこか遊びに連れて行ってあげて少しでも元気になってもらう計画を2人で立てている最中なのだ。本当ならお泊り旅行でお姉ちゃんを1日中、遊びに連れて行ってあげて進さんの事を忘れる位に疲れさせたいくらいなのだけど…。新入社員の私たちにとっては自由にお休みどころか有給休暇すら取ることが出来ない。
「ふう…。ねえ亮平。新入社員て辛いねえ…」
「はあ?いきなり何言いだすんだよ、鈴音は」
亮平は顔上げると、あろうことか私の頭にデコピンしてきた。
グッ!!
おでこに痛みが走る。
「ちょっとおっ!何?今のっ!すっごく痛かったんですけどっ!」
ズキズキするおでこを押さえながら私は亮平に抗議した。
「何だ?そんなに痛かったか?大げさな奴だなあ」
言いながら亮平は再びガイドブックに目を落とす。あ…今、サラリと受け流してくれたわね…。こっちは痛みで目に涙がにじんでいるというのに。
「ねえ、大げさじゃなくて本当に痛かったんですけど!」
バシンと机を叩きながら亮平に訴えた。
「またまた…大体鈴音は昔からオーバーで泣いてばかりいたからなあ。いっつも俺の後ろでビービー泣いていたっけ?それで俺がお前を虐めていた奴らを撃退してやっていたんだものなあ?」
ニヤニヤしながら亮平は言う。そうなのだ。私は小学校に入学した当時、クラスの乱暴な男の子たちによく虐められていて、それを毎回助けてくれていたのが亮平だったんだっけ…。
「うっ…そ、それは子供のころの話でしょう?今は違うものっ!もう…そこまで言うならどれほど痛かったか、お返ししてあげるよっ!」
「おう!やってみろっ!」
「よし!なら遠慮なくやらせてもらうからね…」
エイッ!
ビシッ!
亮平のおでこにデコピンしてやった。
「…」
デコピンを食らった亮平は黙って俯いている。
「どう?痛かった?」
「お、お前なあ…」
亮平は肩を震わせている。
「何?」
「つけ爪をしている指先でやるなあっ!ものすごっく痛かったぞっ!」
亮平はおでこを押さえながら猛抗議してきた。
「あら~…そうだったかしら?おほほほほ…」
私は笑ってごまかした。亮平は、全くもうお前という奴は…等ブツブツ言いながら再びガイドブックに目を落とす。
「俺は土日しか休めないんだよ。なあ、鈴音。お前土日に休み取るのは難しいんだろう?」
亮平は伸びをしながら言う。
「うん、だからさっき言ったでしょう?新入社員て辛いねえって」
「なるほど…。なあ、鈴音」
「何?」
「いきなり俺と忍さんの2人だけで出かけるって…ハードル高いかな?」
「え?」
亮平の言葉に胸一瞬ズキリと痛んだ。
「だからあ、お前は土日休み取るの難しいんだろう?だったら俺と2人で忍さんと出かけるのはどうかなと思ったんだよ。でもあれか?いきなり俺と忍さんだけでのデートって…やっぱハードル高いかなあ…」
亮平は頭の後ろで腕を組むとリビングにゴロリと転がった。
「え…?デ、デート?」
駄目だ。思わず声が上ずってしまう。
「何だよ?元はと言えば、鈴音が先に言いだしたんだろう?忍さんの恋人になってくれって」
亮平は寝そべりながら天井を見ている。
「う、うん…確かにそう言ったけど…」
でも、いきなりデートって言うなんて…。
「とにかく一度忍さんと話がしたいな…。俺と一緒に2人で出掛けませんか?って…」
亮平はポツリと呟いた
「そうだね…」
私はそれだけ言葉を返すのが精いっぱいだった。
駄目だ、心をもっと強く持たなくちゃ。
これくらいの事で傷ついていたら、私の心は2人が晴れて恋人同士になる前に持たないかもしれない。
私はテーブルの下で強く拳を握りしめるのだった――