本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第16章 27 新しい物件
代理店を出たのは16時ちょっと過ぎだった。悲しい気持ちで駅まで歩いていると、前方に不動産会社があることに気付いた。
「そうだ。時間も余っていることだし、新しい引越し先でも探そうかな?」
私は不動産外会社へ足を向けた。
自動ドアを通り抜け、店内へ入るとカウンター越しに男性店員から声をかけられた。
「いらっしゃいませ」
「あの、この付近で賃貸アパートかマンションを探しているのですが」
「かしこまりました。では早速検索してみますのでどうぞお掛け下さい」
席を進められたので座ると早速男性はPCに向かい、質問してきた。
「それでご予算はおいくらでしょうか?」
「7万5千円が限界なのですが……ありますか?」
すると……。
「あ、お客様!丁度良い物件がありましたよ!」
PCを眺めていた男性店員が嬉しそうに笑う。
「え? 本当ですか?」
まさかそんなに早く見つかるとは思わなかった。
「はい、まずはこちらを御覧ください」
男性はPCの画面を私の方向けてくれた。そこには10階建てのベージュ色の小綺麗なマンションが写っている。しかも1階にはコンビニがある。
「このマンションは築15年ですが、リフォーム済です。トイレとバスルームは別々でペット可です。収納庫付きで全室南向き、5階の角部屋です。即入居可になっていますよ。しかも駅からは徒歩5分です」
「それは……とても良い条件ですね」
部屋の内部が画面に映し出されたが、中々綺麗だった。
「ここから近いですし、もしよろしければすぐに内覧出来ますけどいかが致しましょうか?」
「え? 今日内覧出来るのですか?」
「ええ、大丈夫です」
「では内覧させて下さい」
ほんの少し迷ったけど、お願いした。
「かしこまりました。ではすぐに準備をしてきますので店舗の外でお待ち下さい」
「分かりました」
店の外へ出て数分待つと、先程の男性がカバンを持って現れた。
「どうもお待たせ致しました。では参りましょう」
私は男性店員の後に続いた――
****
車に乗って連れられてきたマンションはPCで見たときよりもずっと綺麗に見えた。
「すごいですね……」
「ええ、セキュリティも中々しっかりしてると思いますよ。防犯カメラが設置してありますから」
男性の指差した先にはマンションの出入り口を写すかのように防犯カメラが取り付けられている。
「では早速行ってみましょう」
「はい」
案内されたのは5階の角部屋505号室だった。玄関を入るとすぐ目の前にトイレとバスルーム、洗濯機置き場がある。そして扉を開けると一口コンロのキッチンに奥には7畳のフローリング。窓は東側と南側に2箇所あって、南側にはベランダがあった。
「どうですか? こちらのお部屋は。エアコンは完備されているし、勿論Wi-FiもBS放送にケーブルテレビも見ることが出来ますよ」
男性はニコニコしながら説明してくれる。
「確かに……とても良い条件ですね。ここに決めたいと思います」
「はい! どうもありがとうございます! では早速ここで契約書を交わしましょう」
男性はアタッシュケースから書類を取り出すと、カウンターに並べて説明を始めた。
説明をぼんやり聞きながら私は思った。
本音を言えば本当はもう少しだけ直人さんの住んでいたマンションの隣に住んでいたいという気持ちはあった。でもそれは、ひょっとすると直人さんが恵利さんとの結婚をやめて私の元へ戻ってきてくれるのではないかと淡い期待があったから。だけど、今日の彼女の話で私と直人さんの復縁は絶望的であることを思い知らされてしまった。式の日取りが決まり、ウェディングドレスの準備も終わった。ここまで具体的に話が決まったのだから。
「では、ここにサインをお願いします」
「はい、分かりました」
種類にサインをしながら悲しい気持ちになってきた。私はあのマンションを出れば、直人さんとの接点は完全に無くなるのだ。
さよなら。どうか……どうか幸せになって下さい。
心の中で私は直人さんの幸せを願った――
「そうだ。時間も余っていることだし、新しい引越し先でも探そうかな?」
私は不動産外会社へ足を向けた。
自動ドアを通り抜け、店内へ入るとカウンター越しに男性店員から声をかけられた。
「いらっしゃいませ」
「あの、この付近で賃貸アパートかマンションを探しているのですが」
「かしこまりました。では早速検索してみますのでどうぞお掛け下さい」
席を進められたので座ると早速男性はPCに向かい、質問してきた。
「それでご予算はおいくらでしょうか?」
「7万5千円が限界なのですが……ありますか?」
すると……。
「あ、お客様!丁度良い物件がありましたよ!」
PCを眺めていた男性店員が嬉しそうに笑う。
「え? 本当ですか?」
まさかそんなに早く見つかるとは思わなかった。
「はい、まずはこちらを御覧ください」
男性はPCの画面を私の方向けてくれた。そこには10階建てのベージュ色の小綺麗なマンションが写っている。しかも1階にはコンビニがある。
「このマンションは築15年ですが、リフォーム済です。トイレとバスルームは別々でペット可です。収納庫付きで全室南向き、5階の角部屋です。即入居可になっていますよ。しかも駅からは徒歩5分です」
「それは……とても良い条件ですね」
部屋の内部が画面に映し出されたが、中々綺麗だった。
「ここから近いですし、もしよろしければすぐに内覧出来ますけどいかが致しましょうか?」
「え? 今日内覧出来るのですか?」
「ええ、大丈夫です」
「では内覧させて下さい」
ほんの少し迷ったけど、お願いした。
「かしこまりました。ではすぐに準備をしてきますので店舗の外でお待ち下さい」
「分かりました」
店の外へ出て数分待つと、先程の男性がカバンを持って現れた。
「どうもお待たせ致しました。では参りましょう」
私は男性店員の後に続いた――
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車に乗って連れられてきたマンションはPCで見たときよりもずっと綺麗に見えた。
「すごいですね……」
「ええ、セキュリティも中々しっかりしてると思いますよ。防犯カメラが設置してありますから」
男性の指差した先にはマンションの出入り口を写すかのように防犯カメラが取り付けられている。
「では早速行ってみましょう」
「はい」
案内されたのは5階の角部屋505号室だった。玄関を入るとすぐ目の前にトイレとバスルーム、洗濯機置き場がある。そして扉を開けると一口コンロのキッチンに奥には7畳のフローリング。窓は東側と南側に2箇所あって、南側にはベランダがあった。
「どうですか? こちらのお部屋は。エアコンは完備されているし、勿論Wi-FiもBS放送にケーブルテレビも見ることが出来ますよ」
男性はニコニコしながら説明してくれる。
「確かに……とても良い条件ですね。ここに決めたいと思います」
「はい! どうもありがとうございます! では早速ここで契約書を交わしましょう」
男性はアタッシュケースから書類を取り出すと、カウンターに並べて説明を始めた。
説明をぼんやり聞きながら私は思った。
本音を言えば本当はもう少しだけ直人さんの住んでいたマンションの隣に住んでいたいという気持ちはあった。でもそれは、ひょっとすると直人さんが恵利さんとの結婚をやめて私の元へ戻ってきてくれるのではないかと淡い期待があったから。だけど、今日の彼女の話で私と直人さんの復縁は絶望的であることを思い知らされてしまった。式の日取りが決まり、ウェディングドレスの準備も終わった。ここまで具体的に話が決まったのだから。
「では、ここにサインをお願いします」
「はい、分かりました」
種類にサインをしながら悲しい気持ちになってきた。私はあのマンションを出れば、直人さんとの接点は完全に無くなるのだ。
さよなら。どうか……どうか幸せになって下さい。
心の中で私は直人さんの幸せを願った――