本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第3章 3 固い抱擁
「なあ、鈴音。お前…忍さんがどんな所に彼氏とデートへ行っていたか知ってるか?」
亮平がガイドブックを見ながら言う。
「う~ん…わりと旅行が好きだったかな?2人でいろいろな所へ泊りで出かけていたよ?大阪に行ったり、京都、沖縄…鹿児島にも行ってたし‥あ、北海道にも行ってた!そのたびに2人が私にお土産買ってきてくれてたんだよ。でも考えてみれば私が旅行会社に就職したのって進さんやお姉ちゃんの影響が大きかったのかも…。進さんてね、旅行が趣味だったんだよ?」
言いながら何故か私の胸がジワジワ熱くなり、目頭も熱くなってきて思わず俯くと、亮平が私の髪に触れてきた。
「え?」
驚いて思わず顔を上げると、そこには心配そうな顔でのぞき込む亮平の顔があった。
「お、おい…鈴音。大丈夫か?お前…ひょっとして忍さんの婚約者の事好きだったのか…?」
そして私の頭を撫でてくる。
「ち、違うよっ!」
慌てて言った。そうだよ…私が進さんの事好きだったはずないでしょう?だって子供の頃からずっと好きで、今も大好きな人は…亮平なんだから…。
「そうなのか?それじゃ何でそんな悲しそうな顔してるんだよ?」
亮平は私の右頬に触れると言った。
「だ、だって…私でさえ、こんなに悲しいと思っているのに…お姉ちゃんはどれほどの悲しみを抱えているんだろうなって思ったら…涙が…」
駄目だ、涙腺が今にも崩壊しそうだ。だけど泣いちゃいけない。私まで悲しんだらお姉ちゃん、本当にどうにかなってしまうかもしれないもの。
「鈴音、泣くな。大丈夫だ。俺がきっと忍さんの笑顔を取り戻してやるから…な?」
亮平は笑顔で言うが…それだって私にとっては複雑だ。でも…。
「うん、頼りにしてるからね?亮平。もう亮平だけが頼りなんだからね?頑張ってお姉ちゃんを元気づけてあげて…ハートをゲットするんだよ?」
そして亮平の胸を肘でグリグリした。
「わ、分かったって!だから、お前。それやめろてばっ!」
嫌がる亮平を見て、笑う私。こうしてまた私と亮平は2人でガイドブックを眺めて計画の続きを立てた―。
午後3時―
お姉ちゃんの大好きなチーズタルトにアップルティーのティーバックを用意した。
「お?うまそうだな~。鈴音、これ駅前の人気洋菓子店の一番人気のケーキだろう?」
亮平がテーブルに乗せられたケーキを見ながら言う。
「うん、そうだよ。亮平、お姉ちゃん呼んできてくれる?私、お茶の準備してるから。」
「よし、任せろ」
亮平は立ち上がると二階へと上がっていく。私はやかんに水を入れると、ガスにかけ、お湯を沸かし始めた。そして3人分のティーカップを用意して、2人が降りてくるのを待った。
「遅いな…」
私は時計を見た。時刻はもう15時半。亮平がお姉ちゃんを呼びに行って、かれこれ30分は経過している。お湯はとっくに沸いて、ポットの中に入っている。
「何かあったのかなあ…?」
何だか少し心配になってきた。だからそっと二階へ上がっていくと、お姉ちゃんの部屋のドアが開いていた。
「…?」
亮平…ドア閉めなかったんだ…。私はお姉ちゃんの部屋を覗きこんで…息を飲んだ。そこには亮平がベッドに座っていた。そしてお姉ちゃんと亮平は固く抱き合っていた。
「…!」
私は何だか見てはいけないものを見てしまった気持ちになってしまった。ゆっくり後ずさり、足音を立てないように静かに階段を降りると、ソファに崩れ落ちるように座り込む。
亮平とお姉ちゃんが…まるで、恋人同士の様に抱き合っていた。その姿を見ただけで、私は胸が締め付けられるように苦しくなった。
駄目だ、しっかりしなくちゃ。私が自分で言い出したことなんだから。
お姉ちゃんを絶望から救う為に、亮平にお姉ちゃんの新しい恋人になってもらう。そう決めたんだから。
私は心を落ち着かせる為に大きく深呼吸して…人が2階から降りてくるのをひたすら待ち続けた――
亮平がガイドブックを見ながら言う。
「う~ん…わりと旅行が好きだったかな?2人でいろいろな所へ泊りで出かけていたよ?大阪に行ったり、京都、沖縄…鹿児島にも行ってたし‥あ、北海道にも行ってた!そのたびに2人が私にお土産買ってきてくれてたんだよ。でも考えてみれば私が旅行会社に就職したのって進さんやお姉ちゃんの影響が大きかったのかも…。進さんてね、旅行が趣味だったんだよ?」
言いながら何故か私の胸がジワジワ熱くなり、目頭も熱くなってきて思わず俯くと、亮平が私の髪に触れてきた。
「え?」
驚いて思わず顔を上げると、そこには心配そうな顔でのぞき込む亮平の顔があった。
「お、おい…鈴音。大丈夫か?お前…ひょっとして忍さんの婚約者の事好きだったのか…?」
そして私の頭を撫でてくる。
「ち、違うよっ!」
慌てて言った。そうだよ…私が進さんの事好きだったはずないでしょう?だって子供の頃からずっと好きで、今も大好きな人は…亮平なんだから…。
「そうなのか?それじゃ何でそんな悲しそうな顔してるんだよ?」
亮平は私の右頬に触れると言った。
「だ、だって…私でさえ、こんなに悲しいと思っているのに…お姉ちゃんはどれほどの悲しみを抱えているんだろうなって思ったら…涙が…」
駄目だ、涙腺が今にも崩壊しそうだ。だけど泣いちゃいけない。私まで悲しんだらお姉ちゃん、本当にどうにかなってしまうかもしれないもの。
「鈴音、泣くな。大丈夫だ。俺がきっと忍さんの笑顔を取り戻してやるから…な?」
亮平は笑顔で言うが…それだって私にとっては複雑だ。でも…。
「うん、頼りにしてるからね?亮平。もう亮平だけが頼りなんだからね?頑張ってお姉ちゃんを元気づけてあげて…ハートをゲットするんだよ?」
そして亮平の胸を肘でグリグリした。
「わ、分かったって!だから、お前。それやめろてばっ!」
嫌がる亮平を見て、笑う私。こうしてまた私と亮平は2人でガイドブックを眺めて計画の続きを立てた―。
午後3時―
お姉ちゃんの大好きなチーズタルトにアップルティーのティーバックを用意した。
「お?うまそうだな~。鈴音、これ駅前の人気洋菓子店の一番人気のケーキだろう?」
亮平がテーブルに乗せられたケーキを見ながら言う。
「うん、そうだよ。亮平、お姉ちゃん呼んできてくれる?私、お茶の準備してるから。」
「よし、任せろ」
亮平は立ち上がると二階へと上がっていく。私はやかんに水を入れると、ガスにかけ、お湯を沸かし始めた。そして3人分のティーカップを用意して、2人が降りてくるのを待った。
「遅いな…」
私は時計を見た。時刻はもう15時半。亮平がお姉ちゃんを呼びに行って、かれこれ30分は経過している。お湯はとっくに沸いて、ポットの中に入っている。
「何かあったのかなあ…?」
何だか少し心配になってきた。だからそっと二階へ上がっていくと、お姉ちゃんの部屋のドアが開いていた。
「…?」
亮平…ドア閉めなかったんだ…。私はお姉ちゃんの部屋を覗きこんで…息を飲んだ。そこには亮平がベッドに座っていた。そしてお姉ちゃんと亮平は固く抱き合っていた。
「…!」
私は何だか見てはいけないものを見てしまった気持ちになってしまった。ゆっくり後ずさり、足音を立てないように静かに階段を降りると、ソファに崩れ落ちるように座り込む。
亮平とお姉ちゃんが…まるで、恋人同士の様に抱き合っていた。その姿を見ただけで、私は胸が締め付けられるように苦しくなった。
駄目だ、しっかりしなくちゃ。私が自分で言い出したことなんだから。
お姉ちゃんを絶望から救う為に、亮平にお姉ちゃんの新しい恋人になってもらう。そう決めたんだから。
私は心を落ち着かせる為に大きく深呼吸して…人が2階から降りてくるのをひたすら待ち続けた――