本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第17章 4 思い出を消去
23時――
恵利さんが帰って、誰もいなくなった部屋で私は涙をこぼしながら1人ベッドの上に座ってスマホの画像を眺めていた。そこに写っているのは2人で写っている思い出の写真。始めてのデート。ディズニーランドのシンデレラ城の前で撮影したものだった。いつも2人で写真を撮る時は直人さんが殆ど撮影していた。写真撮影する度に直人さんはよく言っていた。
<今度アルバム編集したらデータを鈴音のスマホに送ってあげるよ>
だけど、その約束はされないまま……私達の関係は終わってしまった。そして私に残された画像はこれ1枚だけ。写真の中の私達は楽しそうに笑っていた。まさかこの数カ月後にこんな別れが来るなんて誰が思っていただろう?
「直人さん……」
スマホの中の直人さんに語りかける。あんな話を恵利さんから聞かされてしまっては、もうこの画像を残しておくのも恵利さんを苦しめているのかもしれない。私は彼女に『どうか」直人さんを幸せにしてあげて下さい』とお願いした。その為には恵利さんも幸せじゃないといけない。だから私は今ここで、直人さんの画像を消すと決めた。震える手で削除のアイコンをタップする。
<削除しますか?>
画面に文字が表示された。私は……「はい」をタップした。そして画面から2人の思い出の写真が消去される。
「う……うっうっ……」
さよなら、直人さん……。私はベッドにうずくまり、いつまでも泣き続けた――
****
翌朝6時――
「やだ、ひどい顔……」
私は鏡に映る自分の顔を見て呟いた。殆ど夜明け近くまで泣いていたから目は充血しているし、少し瞼も腫れぼったい。
「駄目駄目、こんなみっともない顔で仕事に行くわけにはいかないわ」
奮い立たせるように、鏡の中の自分に語りかけると着替えとバスタオルを持ってバスルームへと向かった。
シャアアアア……ッ
熱いシャワーを頭からかぶった。昨夜は結局シャワーあびないまま眠ってしまったから念入りに身体や髪の毛をくまなく洗った。
キュッキュッ
蛇口を捻り、お湯を止めるとバスルームの中で身体や髪を拭きながらポツリと呟いた。
「そうだ、次の新しいマンションはお風呂に入れるんだっけ……」
お気に入りの入浴剤を買って、お風呂に入れて入ろう。それに職場もすごく近くなるから、仕事帰りに何か習い事をするのも良いかも……。私は必死になって、楽しい事だけを考え、直人さんの事は考えないようにした。
「ふ〜……」
バスルームから出てくると、テーブルの上に置いてあるスマホが着信の音楽を鳴らしている。まさか、また恵利さん……!?
ドキドキしながらスマホの着信を見ると、相手は亮平からだった。
「え……? 亮平……?」
こんな朝早くから一体何だろう?
ピッ
スマホを手に取り、タップした。
「もしもし? おはよう、こんな朝早くからどうしたの?」
『良かった……! やっと通じたな。30分位前からずっと電話掛け続けていたのに、繋がらないから心配してたんだぞ?』
「あ……ごめんね。実はシャワー浴びてたから」
『そうか、なら仕方ないな。それより鈴音、今日は何番だ? 遅番か? それとも早番なのか?』
「今日は早番だよ」
『そうか、なら2人で飯食って帰ろう。好きなものおごるぞ? 話もあるし』
「あ……、ごめん。亮平。ちょっと今週はずっと忙しくて……」
『何だ? どうして忙しいんだよ?』
「うん、実は引っ越しする事になって」
『な、何だってっ!?引っ越し!?』
あ……つい、うっかり口が滑ってしまった。亮平にはまだ話すつもりは無かったのに。
そしてその後、出勤前にも関わらず、私は根掘り葉掘りう亮平に引っ越しについて問い詰められる事になってしまった――
恵利さんが帰って、誰もいなくなった部屋で私は涙をこぼしながら1人ベッドの上に座ってスマホの画像を眺めていた。そこに写っているのは2人で写っている思い出の写真。始めてのデート。ディズニーランドのシンデレラ城の前で撮影したものだった。いつも2人で写真を撮る時は直人さんが殆ど撮影していた。写真撮影する度に直人さんはよく言っていた。
<今度アルバム編集したらデータを鈴音のスマホに送ってあげるよ>
だけど、その約束はされないまま……私達の関係は終わってしまった。そして私に残された画像はこれ1枚だけ。写真の中の私達は楽しそうに笑っていた。まさかこの数カ月後にこんな別れが来るなんて誰が思っていただろう?
「直人さん……」
スマホの中の直人さんに語りかける。あんな話を恵利さんから聞かされてしまっては、もうこの画像を残しておくのも恵利さんを苦しめているのかもしれない。私は彼女に『どうか」直人さんを幸せにしてあげて下さい』とお願いした。その為には恵利さんも幸せじゃないといけない。だから私は今ここで、直人さんの画像を消すと決めた。震える手で削除のアイコンをタップする。
<削除しますか?>
画面に文字が表示された。私は……「はい」をタップした。そして画面から2人の思い出の写真が消去される。
「う……うっうっ……」
さよなら、直人さん……。私はベッドにうずくまり、いつまでも泣き続けた――
****
翌朝6時――
「やだ、ひどい顔……」
私は鏡に映る自分の顔を見て呟いた。殆ど夜明け近くまで泣いていたから目は充血しているし、少し瞼も腫れぼったい。
「駄目駄目、こんなみっともない顔で仕事に行くわけにはいかないわ」
奮い立たせるように、鏡の中の自分に語りかけると着替えとバスタオルを持ってバスルームへと向かった。
シャアアアア……ッ
熱いシャワーを頭からかぶった。昨夜は結局シャワーあびないまま眠ってしまったから念入りに身体や髪の毛をくまなく洗った。
キュッキュッ
蛇口を捻り、お湯を止めるとバスルームの中で身体や髪を拭きながらポツリと呟いた。
「そうだ、次の新しいマンションはお風呂に入れるんだっけ……」
お気に入りの入浴剤を買って、お風呂に入れて入ろう。それに職場もすごく近くなるから、仕事帰りに何か習い事をするのも良いかも……。私は必死になって、楽しい事だけを考え、直人さんの事は考えないようにした。
「ふ〜……」
バスルームから出てくると、テーブルの上に置いてあるスマホが着信の音楽を鳴らしている。まさか、また恵利さん……!?
ドキドキしながらスマホの着信を見ると、相手は亮平からだった。
「え……? 亮平……?」
こんな朝早くから一体何だろう?
ピッ
スマホを手に取り、タップした。
「もしもし? おはよう、こんな朝早くからどうしたの?」
『良かった……! やっと通じたな。30分位前からずっと電話掛け続けていたのに、繋がらないから心配してたんだぞ?』
「あ……ごめんね。実はシャワー浴びてたから」
『そうか、なら仕方ないな。それより鈴音、今日は何番だ? 遅番か? それとも早番なのか?』
「今日は早番だよ」
『そうか、なら2人で飯食って帰ろう。好きなものおごるぞ? 話もあるし』
「あ……、ごめん。亮平。ちょっと今週はずっと忙しくて……」
『何だ? どうして忙しいんだよ?』
「うん、実は引っ越しする事になって」
『な、何だってっ!?引っ越し!?』
あ……つい、うっかり口が滑ってしまった。亮平にはまだ話すつもりは無かったのに。
そしてその後、出勤前にも関わらず、私は根掘り葉掘りう亮平に引っ越しについて問い詰められる事になってしまった――