本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第17章 9 新居にて
今日はクリスマスイブ。本来なら今日は直人さんとディズニーランドへ遊びに行って、夜はホテルでお泊りデートのはずだった。だけど……。
午前10時――
「では、荷物は全て積み終わりましたので新居先へ運びますね」
引っ越し会社の男性が全ての荷物を積み終えた。
「はい、よろしくお願いします。私もこれから電車で新居に向かいますので」
最後に一度だけ自分が住んでいたマンションと直人さんが住んでいたマンションを振り返った。まだ胸は痛むけれども、この痛みもやがていつかは消えてくれるだろう……。
「さよなら」
ポツリと呟くと私は新小岩駅へと向かった。
平日の朝だったけれども、車内は若い男女のカップルで混雑していた。学生はもう冬休みに入っているのでデートをしているのだろう。
代理店の人達は私がデートで休みを取っていると思っているんだろうな。結局私が引っ越しをしたことは職場の人たちは誰も知らない。だけど明日からは自転車で出勤する予定だから、きっと皆にばれてしまうと思うけど。
****
錦糸町駅に降り立った私はすぐに新居先のマンションへ向かった。
「良かった……。まだ引っ越しのトラック来ていなかったみたい」
すぐにエントランスの前にあるエレベーター前に立と、上行ボタンを押すとエレベーターはすぐにやってきた。
チーン
目の前で音を立てて開くエレベーターに乗り込むと、5階行きのボタンを押して
今日これからするべき事を頭の中でシュミレートする。
「忙しくなりそう」
ポツリと呟くと、5階のランプが灯るのを見つめた――
****
その後は本当に忙しかった。新居に到着するとすぐに引っ越し屋さんが到着して荷物が運び込まれた。片付けをしていると今度は電気屋さんがやってきて、テレビや洗濯機を接続してくれたのだった。
「ふう〜さてと。荷物出さなくちゃ」
部屋中に置かれた段ボール箱から、まず当面必要な『衣類』と書かれた段ボール箱に手を伸ばした――
スマホでお気に入りの音楽を流しながら段ボール箱の荷物を片付けていると、いつの間にか部屋が薄暗くなっていることに気づいた。
「あ! いけない! まずはカーテンを取り付けなくちゃ」
足元に置いたレジ袋からカーテンを取り出した。グリーンの葉っぱの模様が散りばめられている。これは今回引っ越しの際に新しく買い替えたカーテン。前の住まいと今の部屋では窓の大きさが合わなかったから通販で買ったものだった。
レースのカーテンと共に取り付けると、一気に部屋らしくなった。
「もっと早めにカーテン取り付ければ良かったかな」
部屋の電気をつけて口に出したとき、不意にそれまで流れていた音楽が電話の着信音に変わった。
「亮平かな?」
スマホを手にすると着信相手はお姉ちゃんからだった。
「え? お姉ちゃん?」
慌ててスマホをタップした。
「もしもし?」
『鈴音ちゃん、引っ越し準備の進み具合はどう?』
部屋を見渡しながら答えた。
「う〜ん……まだまだかな。やっと半分? ってところ」
『そうなのね。ごめんね。本当は朝から手伝いに行きたかったのに、亮平君が1人で電車に乗るのはまだ危ないって言うから』
亮平の言う事は当然だ。私もお姉ちゃんを1人で電車に乗せるのは不安だもの。
「大丈夫、気にしないで。残りは仕事に行きながら少しずつ進めていくから。だって今度からは自転車で行けるんだよ?」
『そうよね。とても近いんですものね。でも後で亮平君が仕事帰りに手伝いに行くって言ってたわよ?』
その言葉に驚いてしまった。
「え!?そんなっ! 私何も聞いてないよ!?」
『鈴音ちゃんに言えば断られると思ったからでしょう? 仕事帰りに寄るって言ってたから。それじゃ、引っ越しの邪魔をしては悪いから、もう切るわね。またね、鈴音ちゃん』
それだけ言うとお姉ちゃんの電話は切れた――
午前10時――
「では、荷物は全て積み終わりましたので新居先へ運びますね」
引っ越し会社の男性が全ての荷物を積み終えた。
「はい、よろしくお願いします。私もこれから電車で新居に向かいますので」
最後に一度だけ自分が住んでいたマンションと直人さんが住んでいたマンションを振り返った。まだ胸は痛むけれども、この痛みもやがていつかは消えてくれるだろう……。
「さよなら」
ポツリと呟くと私は新小岩駅へと向かった。
平日の朝だったけれども、車内は若い男女のカップルで混雑していた。学生はもう冬休みに入っているのでデートをしているのだろう。
代理店の人達は私がデートで休みを取っていると思っているんだろうな。結局私が引っ越しをしたことは職場の人たちは誰も知らない。だけど明日からは自転車で出勤する予定だから、きっと皆にばれてしまうと思うけど。
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錦糸町駅に降り立った私はすぐに新居先のマンションへ向かった。
「良かった……。まだ引っ越しのトラック来ていなかったみたい」
すぐにエントランスの前にあるエレベーター前に立と、上行ボタンを押すとエレベーターはすぐにやってきた。
チーン
目の前で音を立てて開くエレベーターに乗り込むと、5階行きのボタンを押して
今日これからするべき事を頭の中でシュミレートする。
「忙しくなりそう」
ポツリと呟くと、5階のランプが灯るのを見つめた――
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その後は本当に忙しかった。新居に到着するとすぐに引っ越し屋さんが到着して荷物が運び込まれた。片付けをしていると今度は電気屋さんがやってきて、テレビや洗濯機を接続してくれたのだった。
「ふう〜さてと。荷物出さなくちゃ」
部屋中に置かれた段ボール箱から、まず当面必要な『衣類』と書かれた段ボール箱に手を伸ばした――
スマホでお気に入りの音楽を流しながら段ボール箱の荷物を片付けていると、いつの間にか部屋が薄暗くなっていることに気づいた。
「あ! いけない! まずはカーテンを取り付けなくちゃ」
足元に置いたレジ袋からカーテンを取り出した。グリーンの葉っぱの模様が散りばめられている。これは今回引っ越しの際に新しく買い替えたカーテン。前の住まいと今の部屋では窓の大きさが合わなかったから通販で買ったものだった。
レースのカーテンと共に取り付けると、一気に部屋らしくなった。
「もっと早めにカーテン取り付ければ良かったかな」
部屋の電気をつけて口に出したとき、不意にそれまで流れていた音楽が電話の着信音に変わった。
「亮平かな?」
スマホを手にすると着信相手はお姉ちゃんからだった。
「え? お姉ちゃん?」
慌ててスマホをタップした。
「もしもし?」
『鈴音ちゃん、引っ越し準備の進み具合はどう?』
部屋を見渡しながら答えた。
「う〜ん……まだまだかな。やっと半分? ってところ」
『そうなのね。ごめんね。本当は朝から手伝いに行きたかったのに、亮平君が1人で電車に乗るのはまだ危ないって言うから』
亮平の言う事は当然だ。私もお姉ちゃんを1人で電車に乗せるのは不安だもの。
「大丈夫、気にしないで。残りは仕事に行きながら少しずつ進めていくから。だって今度からは自転車で行けるんだよ?」
『そうよね。とても近いんですものね。でも後で亮平君が仕事帰りに手伝いに行くって言ってたわよ?』
その言葉に驚いてしまった。
「え!?そんなっ! 私何も聞いてないよ!?」
『鈴音ちゃんに言えば断られると思ったからでしょう? 仕事帰りに寄るって言ってたから。それじゃ、引っ越しの邪魔をしては悪いから、もう切るわね。またね、鈴音ちゃん』
それだけ言うとお姉ちゃんの電話は切れた――