本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第17章 19 新居での宅飲み
亮平がいつまでも井上君の後ろ姿を見ている。……どうしたんだろう?
「どうしたの亮平。行かないの?」
「あ、ああ。行こうぜ」
2人で並んで歩き始めると、亮平に尋ねた。
「亮平、それで何か買い物してきたの?」
「スーパーで鈴音の好きな缶チューハイに色々惣菜を買ったぞ。サラダもあるからな。だから何も用意しなくて大丈夫だぞ」
「本当? ありがとう」
「ところで……鈴音。さっきの男だけど……」
「え? 井上君?」
「あいつ、お前が川口と付き合って……別れたことは知ってるのか?」
「亮平……?」
亮平は真剣な目で私を見ている。
「イヤだな〜井上くんはただの同期だよ? それは確かに名前こそ明かしていないけど付き合ってた人がいる事は知ってるよ。それに別れたことも今日話したよ」
「ただの同期仲間にそこまで話すのか? 本当にただの同期なのか?」
どうも亮平は男の人の話になると私に絡んでくる。
「本当にただの同期だよ、私が付きあっている人がいる話を知ったきっかけだって24日に仕事休みのシフトを組んでもらったからだし。24日に引っ越しした事井上君に話したからだよ」
すると亮平は少しだけ不機嫌そうな顔になる。
「何で引っ越しの話したんだよ」
「それはね、私が自転車で出勤してきたからだよ」
すると亮平は私の引っ張っている自転車をチラリと見ると呟いた。
「ああ……なるほど、それでか……」
そこまで話した時、マンションの前に到着した。
「着いたね。それじゃ鍵持って先に行ってて。自転車しまってくるから」
亮平に部屋の鍵を手渡した。
「ああ。分かった」
そして亮平は鍵を受け取るとエレベーターホールへと歩いていく。その後姿を見届けてから私は自転車をしまいに行った――
****
ピンポーン
エレベーターが5階で止まって私はエレベーターから降りた。そして505号室……自分の部屋のドアノブを回すと部屋の中は明かりが付いていた。その時、ふと直人さんの事を思い出してしまった。直人さんと交際していた頃、時々私の部屋で帰って来るのを待ってくれていたことがあったから……。
キッチンの方で何かカチャカチャ動く音が聞こえている。
「私も手伝うよ」
コートを脱いで廊下のフックに掛けながら部屋に入ると、既にそこには亮平がキッチンに立ってお惣菜を出す準備をしていた。
「ああ、お帰り……って何か変だな? お帰りって言うのも」
亮平が笑う。
「ううん、そんな事無いよ。私みたいな1人暮らしだとね、誰かに『お帰り』って言ってもらうのって凄く嬉しいんだから」
「だから、俺とルームシェアしようかって言ったのに……」
またまた亮平は質の悪い冗談を言う。
「何言ってるの、亮平にはお姉ちゃんがいるでしょう? 恋人のいる人がそんな事言ったら駄目だよ」
亮平は何故か返事をしない。
「さて、私も手伝うよ」
「あ、ああ。分かった、それじゃ一緒にやろうぜ。2人で準備したほうが早いもんな」
私と亮平は2人で狭いキッチンに立って、宅飲みの準備を始めた――
****
「「カンパーイ」」
買ってきたお惣菜を皿に盛り付け、それぞれの飲み物を手に取って2人だけのささやかな飲み会が始まった。
「鈴音、お前本当に痩せすぎだからちゃんと食べろよ。ほら、だし巻き卵好きだろう?」
亮平が私の皿にだし巻き卵を乗せてきた。
「うん、ありがとう。自分で勝手に取るから、亮平も食べて。タコの唐揚げおいしそうだよ?」
だし巻き卵を箸で取りながら亮平にも勧める。
「ところで鈴音、忍から年末年始の話聞いてるか?」
亮平が缶ビールを飲みながら尋ねてきた。
「うん、勿論聞いてるよ? 3人でお泊り会するんだよね? おせち料理も通販で頼んだって。でも私2人の邪魔じゃないかな?」
「え? 何言ってるんだ? 鈴音を邪魔になんて思うはず無いだろう?」
「だけど、亮平とお姉ちゃんは恋人同士で、折角2人きりで過ごせるって言うのに……」
「ハハ……相変わらず馬鹿だな~お前は。鈴音は俺にとっても忍にとっても特別な存在なんだから、そんな事気にするなって」
「う~ん……確かに亮平はエリート銀行サラリーマンで私よりずっと賢いけど……」
「あのなあ……馬鹿って、そんな意味で言ったんじゃないからな?」
亮平が呆れた顔になる。
「うん、大丈夫。ちゃんと分ってるから。有難う」
きっと、亮平もお姉ちゃんも…私が直人さんと別れて落ち込んでいるのを慰めてくれようとしているんだろうな……。
私は2人の思いやりに感謝しながら缶チューハイを手に取った――
「どうしたの亮平。行かないの?」
「あ、ああ。行こうぜ」
2人で並んで歩き始めると、亮平に尋ねた。
「亮平、それで何か買い物してきたの?」
「スーパーで鈴音の好きな缶チューハイに色々惣菜を買ったぞ。サラダもあるからな。だから何も用意しなくて大丈夫だぞ」
「本当? ありがとう」
「ところで……鈴音。さっきの男だけど……」
「え? 井上君?」
「あいつ、お前が川口と付き合って……別れたことは知ってるのか?」
「亮平……?」
亮平は真剣な目で私を見ている。
「イヤだな〜井上くんはただの同期だよ? それは確かに名前こそ明かしていないけど付き合ってた人がいる事は知ってるよ。それに別れたことも今日話したよ」
「ただの同期仲間にそこまで話すのか? 本当にただの同期なのか?」
どうも亮平は男の人の話になると私に絡んでくる。
「本当にただの同期だよ、私が付きあっている人がいる話を知ったきっかけだって24日に仕事休みのシフトを組んでもらったからだし。24日に引っ越しした事井上君に話したからだよ」
すると亮平は少しだけ不機嫌そうな顔になる。
「何で引っ越しの話したんだよ」
「それはね、私が自転車で出勤してきたからだよ」
すると亮平は私の引っ張っている自転車をチラリと見ると呟いた。
「ああ……なるほど、それでか……」
そこまで話した時、マンションの前に到着した。
「着いたね。それじゃ鍵持って先に行ってて。自転車しまってくるから」
亮平に部屋の鍵を手渡した。
「ああ。分かった」
そして亮平は鍵を受け取るとエレベーターホールへと歩いていく。その後姿を見届けてから私は自転車をしまいに行った――
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ピンポーン
エレベーターが5階で止まって私はエレベーターから降りた。そして505号室……自分の部屋のドアノブを回すと部屋の中は明かりが付いていた。その時、ふと直人さんの事を思い出してしまった。直人さんと交際していた頃、時々私の部屋で帰って来るのを待ってくれていたことがあったから……。
キッチンの方で何かカチャカチャ動く音が聞こえている。
「私も手伝うよ」
コートを脱いで廊下のフックに掛けながら部屋に入ると、既にそこには亮平がキッチンに立ってお惣菜を出す準備をしていた。
「ああ、お帰り……って何か変だな? お帰りって言うのも」
亮平が笑う。
「ううん、そんな事無いよ。私みたいな1人暮らしだとね、誰かに『お帰り』って言ってもらうのって凄く嬉しいんだから」
「だから、俺とルームシェアしようかって言ったのに……」
またまた亮平は質の悪い冗談を言う。
「何言ってるの、亮平にはお姉ちゃんがいるでしょう? 恋人のいる人がそんな事言ったら駄目だよ」
亮平は何故か返事をしない。
「さて、私も手伝うよ」
「あ、ああ。分かった、それじゃ一緒にやろうぜ。2人で準備したほうが早いもんな」
私と亮平は2人で狭いキッチンに立って、宅飲みの準備を始めた――
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「「カンパーイ」」
買ってきたお惣菜を皿に盛り付け、それぞれの飲み物を手に取って2人だけのささやかな飲み会が始まった。
「鈴音、お前本当に痩せすぎだからちゃんと食べろよ。ほら、だし巻き卵好きだろう?」
亮平が私の皿にだし巻き卵を乗せてきた。
「うん、ありがとう。自分で勝手に取るから、亮平も食べて。タコの唐揚げおいしそうだよ?」
だし巻き卵を箸で取りながら亮平にも勧める。
「ところで鈴音、忍から年末年始の話聞いてるか?」
亮平が缶ビールを飲みながら尋ねてきた。
「うん、勿論聞いてるよ? 3人でお泊り会するんだよね? おせち料理も通販で頼んだって。でも私2人の邪魔じゃないかな?」
「え? 何言ってるんだ? 鈴音を邪魔になんて思うはず無いだろう?」
「だけど、亮平とお姉ちゃんは恋人同士で、折角2人きりで過ごせるって言うのに……」
「ハハ……相変わらず馬鹿だな~お前は。鈴音は俺にとっても忍にとっても特別な存在なんだから、そんな事気にするなって」
「う~ん……確かに亮平はエリート銀行サラリーマンで私よりずっと賢いけど……」
「あのなあ……馬鹿って、そんな意味で言ったんじゃないからな?」
亮平が呆れた顔になる。
「うん、大丈夫。ちゃんと分ってるから。有難う」
きっと、亮平もお姉ちゃんも…私が直人さんと別れて落ち込んでいるのを慰めてくれようとしているんだろうな……。
私は2人の思いやりに感謝しながら缶チューハイを手に取った――