本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第18章 5 動画の内容は…
後片付けくらいやると言ったけれども、お姉ちゃんは「いいからゆっくりしていて」と言って譲らなかった。
特にする事も無くなってしまったのでソファの上で寝転がっていた。だけど頭の中にはさっきスマホで見てしまった直人さんと恵利さんの画像が浮かんできてしまう。
駄目だ、こんな事じゃ……。その時、太田先輩から貰ったUSBを思い出した。そうだ、先輩からもらった動画を見よう。
ソファから起き上がると、足元に置いておいたショルダーバッグから太田先輩に貰ったUSBが入ったビニールケースを取り出した。そしてキッチンに向かうと洗い物をしているお姉ちゃんに声をかけた。
「お姉ちゃん、パソコン貸してくれる?」
「ええ、良いわよ。パスワードはかかっていないから、自由に使って?」
「うん、ありがとう」
早速リビングに戻るとテレビ台の上に置かれたパソコンをセンターテーブルの上に運び、電源を入れた。そしてUSBを差し込むと、早速ファイルを読み込んだ。
途端に子猫の可愛らしい動画の再生が始まった。可愛らしい鳴き声を上げながら遊んだり餌を食べている姿は心が和んだ。
「フフ……可愛い」
思わず笑みを浮かべて動画を眺めていると、お姉ちゃんがやってきた。
「鈴音ちゃん、何見てるの?」
「あのね、会社の先輩が自分の飼い猫の動画をUSBでくれたの」
「へ〜そうなの? 一緒に見てもいい?」
「うん、勿論」
お姉ちゃんも見えるように場所をずれると早速隣りに座ってきた。そして2人で子猫の動画を見ることにした。
「可愛いわね〜何て名前の猫なの?」
「シロっていうんだって」
「シロちゃんね。確かに身体が真っ白だものね〜」
2人で暫く動画を眺めていると、突然シロの身体に手が伸びてきて今まで一度も動画に映らなかった太田先輩が画面に現れた。
「え? 太田先輩?」
「え? 先輩って……男の人だったの?」
お姉ちゃんが驚いた様に私に尋ねる。
「う、うん……」
返事をしながら、内心私は驚いていた。だって、今まで一度も画面に太田先輩が現れたことなんか無かったから。先輩はシロを抱っこしたり、猫のおもちゃで遊んだりと楽しそうにしている。
「ふ〜ん……あんなに子猫を可愛がっているなんて優しい人なのね」
お姉ちゃんの言葉に動揺しながらも返事をした。
「う、うん。優しくて頼りになる先輩だよ」
でも一体どういう事なんだろう? 何で突然動画に現れたんだろう?
「あれ?」
その時、太田先輩がくれたビニールケースに小さく折りたたまれた紙が入ってる事に気がついた。
「え? 何だろう……この紙は」
画面から目を離してメモを目にした。
「え……?」
『この動画は1人で見ること』
え!? どういう意味? それ以前にもうお姉ちゃんと一緒に見ているんだけど……!
その時、不意に画面から呼びかけられた。
『加藤さん』
「あら、話しかけてきたわね」
お姉ちゃんがのんびりした声で言う。私は慌てて画面に目を戻すと、そこにはシロを抱いて笑顔で画面を見ている太田先輩が映し出されている。
『どうだい、この子猫……すっごく可愛いだろう?』
まるで画面を通して私に話しかけているようだ。そう、直人さんの別れの動画のように。
『少しは元気が出たかな?』
そして動画の中の太田先輩はゴホンと咳払いをする。
『う〜ん……いきなりこんな事言うのもどうかと思うんだけど……俺じゃ別れた彼の代わりにならないかな? 実は加藤さんがうちの支店に配属になった時からちょっといいなって思ってたんだよ。そのうち仕事に前向きな姿勢に好感を持つようになって、いつの間にか君を好きになっていたんだ』
太田先輩は子猫の背中をなでている。一方のお姉ちゃんは驚いた顔で私を見ている。でも一番驚いているのはこの私だと思う。
『加藤さんに恋人がいた事を知ったときは正直ショックだったけど……幸せならそれで良いと思っていたんだ。なのに別れてしまったんだろう? 俺もその事を知ったときはショックだったよ。でも俺はずるい男だから、ある意味チャンスだと思った。だから告白させてもらったんだけど……』
そこで太田先輩は一度言葉を切ると、再び続けた。
『ごめん。いきなりこんな事言われても困るよな? 返事はすぐじゃなくて構わないから。でも出来れば前向きに考えてもらえると嬉しいな。あ、だけど気乗りしなくて加藤さんが断ったとしても、先輩後輩の関係に変わりはないからな? 今まで通り・接するよ。それじゃ、会社でまた会おう』
照れくさそうな笑みを浮かべ、太田先輩はそれだけ言うと動画は終わった――
特にする事も無くなってしまったのでソファの上で寝転がっていた。だけど頭の中にはさっきスマホで見てしまった直人さんと恵利さんの画像が浮かんできてしまう。
駄目だ、こんな事じゃ……。その時、太田先輩から貰ったUSBを思い出した。そうだ、先輩からもらった動画を見よう。
ソファから起き上がると、足元に置いておいたショルダーバッグから太田先輩に貰ったUSBが入ったビニールケースを取り出した。そしてキッチンに向かうと洗い物をしているお姉ちゃんに声をかけた。
「お姉ちゃん、パソコン貸してくれる?」
「ええ、良いわよ。パスワードはかかっていないから、自由に使って?」
「うん、ありがとう」
早速リビングに戻るとテレビ台の上に置かれたパソコンをセンターテーブルの上に運び、電源を入れた。そしてUSBを差し込むと、早速ファイルを読み込んだ。
途端に子猫の可愛らしい動画の再生が始まった。可愛らしい鳴き声を上げながら遊んだり餌を食べている姿は心が和んだ。
「フフ……可愛い」
思わず笑みを浮かべて動画を眺めていると、お姉ちゃんがやってきた。
「鈴音ちゃん、何見てるの?」
「あのね、会社の先輩が自分の飼い猫の動画をUSBでくれたの」
「へ〜そうなの? 一緒に見てもいい?」
「うん、勿論」
お姉ちゃんも見えるように場所をずれると早速隣りに座ってきた。そして2人で子猫の動画を見ることにした。
「可愛いわね〜何て名前の猫なの?」
「シロっていうんだって」
「シロちゃんね。確かに身体が真っ白だものね〜」
2人で暫く動画を眺めていると、突然シロの身体に手が伸びてきて今まで一度も動画に映らなかった太田先輩が画面に現れた。
「え? 太田先輩?」
「え? 先輩って……男の人だったの?」
お姉ちゃんが驚いた様に私に尋ねる。
「う、うん……」
返事をしながら、内心私は驚いていた。だって、今まで一度も画面に太田先輩が現れたことなんか無かったから。先輩はシロを抱っこしたり、猫のおもちゃで遊んだりと楽しそうにしている。
「ふ〜ん……あんなに子猫を可愛がっているなんて優しい人なのね」
お姉ちゃんの言葉に動揺しながらも返事をした。
「う、うん。優しくて頼りになる先輩だよ」
でも一体どういう事なんだろう? 何で突然動画に現れたんだろう?
「あれ?」
その時、太田先輩がくれたビニールケースに小さく折りたたまれた紙が入ってる事に気がついた。
「え? 何だろう……この紙は」
画面から目を離してメモを目にした。
「え……?」
『この動画は1人で見ること』
え!? どういう意味? それ以前にもうお姉ちゃんと一緒に見ているんだけど……!
その時、不意に画面から呼びかけられた。
『加藤さん』
「あら、話しかけてきたわね」
お姉ちゃんがのんびりした声で言う。私は慌てて画面に目を戻すと、そこにはシロを抱いて笑顔で画面を見ている太田先輩が映し出されている。
『どうだい、この子猫……すっごく可愛いだろう?』
まるで画面を通して私に話しかけているようだ。そう、直人さんの別れの動画のように。
『少しは元気が出たかな?』
そして動画の中の太田先輩はゴホンと咳払いをする。
『う〜ん……いきなりこんな事言うのもどうかと思うんだけど……俺じゃ別れた彼の代わりにならないかな? 実は加藤さんがうちの支店に配属になった時からちょっといいなって思ってたんだよ。そのうち仕事に前向きな姿勢に好感を持つようになって、いつの間にか君を好きになっていたんだ』
太田先輩は子猫の背中をなでている。一方のお姉ちゃんは驚いた顔で私を見ている。でも一番驚いているのはこの私だと思う。
『加藤さんに恋人がいた事を知ったときは正直ショックだったけど……幸せならそれで良いと思っていたんだ。なのに別れてしまったんだろう? 俺もその事を知ったときはショックだったよ。でも俺はずるい男だから、ある意味チャンスだと思った。だから告白させてもらったんだけど……』
そこで太田先輩は一度言葉を切ると、再び続けた。
『ごめん。いきなりこんな事言われても困るよな? 返事はすぐじゃなくて構わないから。でも出来れば前向きに考えてもらえると嬉しいな。あ、だけど気乗りしなくて加藤さんが断ったとしても、先輩後輩の関係に変わりはないからな? 今まで通り・接するよ。それじゃ、会社でまた会おう』
照れくさそうな笑みを浮かべ、太田先輩はそれだけ言うと動画は終わった――