本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第18章 11 恋バナの前に…
「え? 何で?」
亮平が太田先輩と交際する事を何故反対するのか分からなかった。
「何でかって? 鈴音、それじゃやっぱりお前、その太田先輩って男と付き合うつもりなのか?」
ステーキを食べ終わっていた亮平はいつの間にかビールを飲んでいた。
「そんな事は言ってないじゃない。ただ、どうして亮平が太田先輩と付き合うのを反対するのかなって思ったんだよ」
アジフライの骨を取り除きながら尋ねた。
「鈴音は分からないのか? 社内恋愛がどれだけ大変か。ましてやお前のいる代理店は人数が10人にも満たない職場なんだろう? 仮に社内恋愛するとすぐにバレてしまうじゃないか。それに別れた場合どうする? 互いにやりにくいだろう?」
亮平の反対する理由は、どうもそれだけでは不十分な気がした。
「本当にそれだけなの?」
もしかして他にもっと別の反対する理由があるんじゃないかな?
だけど亮平は頷いた。
「ああ、それだけだ」
「ねえ、亮平……ひょっとして職場の人と交際したことあるの?」
「……」
亮平は答えない。黙ってビールを飲んでいる。
「黙ってたら分からないよ」
「少しだけなら……ある」
「え? 嘘っ!」
「お前なあ……嘘ついてどうするんだよ」
「だ、だってそんな素振り一度も無かったから……」
「すぐに別れたからな」
亮平はビールを飲み干すとグラスを置いた。
「でもいつなの?」
「おい……俺の話なんか別にいいだろう? 今は鈴音の話をしていたんじゃないか」
そう言って亮平はアルコールのメニュー表を眺めている。
「ねぇ、聞かせてよ」
ヒョイと亮平の手からメニュー表を奪った。
「お、おい! 何するんだよ!」
いきなりメニュー表を奪われたのが気に入らなかったのか、再び手を伸ばした亮平に奪い返されてしまった。
「だって話聞きたいんだもの。大体不公平だと思わない?」
「何がだよ」
亮平は私の方を見もせずにメニュー表を眺めている。
「だって、いつもいつも恋愛の話、私しかしてないみたいなんだもの」
「そうか? 気のせいじゃないのか? よし、ハイボールにするか。鈴音は何にする」
メニュー表を放り投げてきた。それを両手でキャッチする。
「気のせいじゃないよ。だって社会人になってからはお姉ちゃんとの話しか聞かされていないよ」
「当然だろう? お前、俺の恋愛の話になるといっつも不機嫌そうな顔していただろう? だからもう鈴音の前では俺の恋愛話はやめようと思ったんだよ。まあ、忍との話は別だけどな。なんて言ったって姉妹なんだから」
「え……? 私、そんな不機嫌そうな顔してた?」
知らなかった。それは確かに亮平の恋バナを聞くのは辛かったけど、そんな不機嫌そうな顔していたんだ。
「何だ? お前、ひょっとして自覚が無かったのか?」
「う、うん……」
「全く呆れた奴だな……まあ、どうしても聞きたいって言うなら教えてやるけど、別に面白い話でも何でもないからな」
亮平がため息をついた。
「うん、それでもいいよ」
頷くと亮平がメニュー表を指差した。
「ただし、条件がある」
「条件?」
首を傾げた。
「ああ、鈴音も何かアルコール頼めよ」
「うん……分かったよ」
メニュー表を開いて、少しの間にらめっこする。
「じゃあ、ウメサワーにする」
「何だよ、随分おっさんくさいな」
亮平がクックと笑う。
「ええ? 何処がおっさんくさいのよ。だったらいいよ、ゆずサワーにするから」
「ハハッ。それも似たような物じゃないか」
「別にいいじゃない。酸っぱいの飲みたいんだから」
すると私の言った言葉に亮平が青ざめた顔になる。
「何? その顔」
「お、お前……ひょっとして……」
「?」
「妊娠してるのか!?」
「な、何でそうなるのよっ! だったらお酒なんか飲むはずないでしょう!?」
思わず大きな声で反論する。
「そ、そうか……な、なら良かった。もし事実なら川口のことどんな手段使ってでも探し出して5、6発ぶん殴っているところだった。それじゃ券売機行ってくるから座って待ってろ」
亮平は深いため息を付くと音を立てて席を立った。そして券売機のあるカウンターへ向かった。
その後姿を見ながら思わずため息が出てしまった。
「全く……」
本当にデリカシーが無いんだから……。でも、それだけ心配してくれているのかな?
私は最後のメンチカツを口に入れた――
亮平が太田先輩と交際する事を何故反対するのか分からなかった。
「何でかって? 鈴音、それじゃやっぱりお前、その太田先輩って男と付き合うつもりなのか?」
ステーキを食べ終わっていた亮平はいつの間にかビールを飲んでいた。
「そんな事は言ってないじゃない。ただ、どうして亮平が太田先輩と付き合うのを反対するのかなって思ったんだよ」
アジフライの骨を取り除きながら尋ねた。
「鈴音は分からないのか? 社内恋愛がどれだけ大変か。ましてやお前のいる代理店は人数が10人にも満たない職場なんだろう? 仮に社内恋愛するとすぐにバレてしまうじゃないか。それに別れた場合どうする? 互いにやりにくいだろう?」
亮平の反対する理由は、どうもそれだけでは不十分な気がした。
「本当にそれだけなの?」
もしかして他にもっと別の反対する理由があるんじゃないかな?
だけど亮平は頷いた。
「ああ、それだけだ」
「ねえ、亮平……ひょっとして職場の人と交際したことあるの?」
「……」
亮平は答えない。黙ってビールを飲んでいる。
「黙ってたら分からないよ」
「少しだけなら……ある」
「え? 嘘っ!」
「お前なあ……嘘ついてどうするんだよ」
「だ、だってそんな素振り一度も無かったから……」
「すぐに別れたからな」
亮平はビールを飲み干すとグラスを置いた。
「でもいつなの?」
「おい……俺の話なんか別にいいだろう? 今は鈴音の話をしていたんじゃないか」
そう言って亮平はアルコールのメニュー表を眺めている。
「ねぇ、聞かせてよ」
ヒョイと亮平の手からメニュー表を奪った。
「お、おい! 何するんだよ!」
いきなりメニュー表を奪われたのが気に入らなかったのか、再び手を伸ばした亮平に奪い返されてしまった。
「だって話聞きたいんだもの。大体不公平だと思わない?」
「何がだよ」
亮平は私の方を見もせずにメニュー表を眺めている。
「だって、いつもいつも恋愛の話、私しかしてないみたいなんだもの」
「そうか? 気のせいじゃないのか? よし、ハイボールにするか。鈴音は何にする」
メニュー表を放り投げてきた。それを両手でキャッチする。
「気のせいじゃないよ。だって社会人になってからはお姉ちゃんとの話しか聞かされていないよ」
「当然だろう? お前、俺の恋愛の話になるといっつも不機嫌そうな顔していただろう? だからもう鈴音の前では俺の恋愛話はやめようと思ったんだよ。まあ、忍との話は別だけどな。なんて言ったって姉妹なんだから」
「え……? 私、そんな不機嫌そうな顔してた?」
知らなかった。それは確かに亮平の恋バナを聞くのは辛かったけど、そんな不機嫌そうな顔していたんだ。
「何だ? お前、ひょっとして自覚が無かったのか?」
「う、うん……」
「全く呆れた奴だな……まあ、どうしても聞きたいって言うなら教えてやるけど、別に面白い話でも何でもないからな」
亮平がため息をついた。
「うん、それでもいいよ」
頷くと亮平がメニュー表を指差した。
「ただし、条件がある」
「条件?」
首を傾げた。
「ああ、鈴音も何かアルコール頼めよ」
「うん……分かったよ」
メニュー表を開いて、少しの間にらめっこする。
「じゃあ、ウメサワーにする」
「何だよ、随分おっさんくさいな」
亮平がクックと笑う。
「ええ? 何処がおっさんくさいのよ。だったらいいよ、ゆずサワーにするから」
「ハハッ。それも似たような物じゃないか」
「別にいいじゃない。酸っぱいの飲みたいんだから」
すると私の言った言葉に亮平が青ざめた顔になる。
「何? その顔」
「お、お前……ひょっとして……」
「?」
「妊娠してるのか!?」
「な、何でそうなるのよっ! だったらお酒なんか飲むはずないでしょう!?」
思わず大きな声で反論する。
「そ、そうか……な、なら良かった。もし事実なら川口のことどんな手段使ってでも探し出して5、6発ぶん殴っているところだった。それじゃ券売機行ってくるから座って待ってろ」
亮平は深いため息を付くと音を立てて席を立った。そして券売機のあるカウンターへ向かった。
その後姿を見ながら思わずため息が出てしまった。
「全く……」
本当にデリカシーが無いんだから……。でも、それだけ心配してくれているのかな?
私は最後のメンチカツを口に入れた――