本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第18章 17 井上君の質問
トゥルルル……
『はい! もしもし!』
「わ! びっくりした!」
たった1コールで井上くんが電話に出たから驚いてしまった。ひょっとして私からの電話待っていたのかな?
「あ、あのね。井上君……」
『良かった…』
受話器越しから安堵の声が聞こえてきた。
「え? 何?」
『昨夜ずっと電話待っていても、かかってこなかったからてっきり忘れられてしまったかと思ったよ』
そっか……やっぱり待たせちゃってたんだ。
「ごめんね、あの後お酒で酔っ払って寝ちゃったみたいなんだよね。気がついたら朝で自分の部屋だったんだ」
『そっか。幼馴染と一緒にスーパー銭湯に行ったんだよね?』
「うん、そうなんだ。実はあの時お酒飲んでいてね……ちょっと悪酔いしちゃったんだよね。ごめんね〜」
『悪酔い……? ひょっとしてあの後、なにか幼馴染に言われたのかな?』
「え? 別にそういうわけじゃないけど。ただ、亮平って私の知り合いの男の人達にあたりが強くて……それでつい、飲みすぎちゃって」
『……』
井上くんから返事が返ってこない。
「もしもし? どうかしたの?」
『あ、あのさ……加藤さんの幼馴染が言ってたけど……』
「え?」
その言葉にドキリとした。ひょっとすると……太田先輩の事聞いてくるつもりなのだろうか?
『太田先輩の事なんだけど……』
ああ……やっぱりそうなんだ。
「あの……井上君」
『何?』
「昨夜のあの話……聞かなかった事にしておいてもらえないかな?」
『え?』
井上くんの戸惑った声が聞こえてくる。
「この話、誰にも言わないで貰いたいの。お願い」
『ま、まぁ確かにおおっぴらに出来ない話ではあるけど……でも、どうしてあの幼馴染が加藤さんが太田先輩に告白された事を知ってるんだい?」
「やっぱり……言わなくちゃ駄目?」
『出来れば……聞きたい』
「分かったよ。でも約束して」
『約束?』
「そう、太田先輩と何が合ったのか……どうしてその事を亮平が知っているのか、話すから先輩にも職場の人にも内緒にしておいて欲しいの。お願い」
『……分かったよ。約束する』
「ありがとう」
そして私は太田先輩との事を話した。恋人と別れて落ち込んでいるところを先輩が慰めてくれたこと。飼い猫の動画をメールで送ってくれた事。そして仕事納めの日に猫の動画が収められたUSBの最後に告白動画が入っていた事……。
『そんな事があったなんて……!』
「うん、それで太田先輩が動画の最後に登場した時にUSBが入れられていたビニールファスナーケースにメモが入っている事に気付いて、『この動画は1人で見ること』って書かれていたんだけど……私、そんなの知らなくてお姉ちゃんと一緒に動画を見ちゃったの」
『え……!?』
井上くんの驚いた声が電話越しから聞こえてくる。うん、きっと誰だって驚くよね。
『そ、それじゃお姉さんも太田先輩の告白を知ってるって事!?』
「う、うん。そうなの……それでお姉ちゃんがどうも亮平に話してしまったらしくて……」
『ええっ!? ど、どうして!』
「さ、さぁ……」
返事をしながら思った。そう言えば、どうしてお姉ちゃんは亮平に私が先輩に告白されたことを言ったのだろう。こんな状況だったから聞くことも忘れていたし、仮に覚えていたとしても亮平が一緒にいる状態でお姉ちゃんに質問することも出来なかっただろう。
『ひょっとして……お姉さんは……』
「え? 何?」
『い、いや。何でも無いよ。それよりも……』
そこで一度言葉が切れた。
「何? 井上君」
『あ、う、うん。加藤さんは……先輩の告白、何て返事するのかな……?』
井上君は返答に困る質問をしてきた――
『はい! もしもし!』
「わ! びっくりした!」
たった1コールで井上くんが電話に出たから驚いてしまった。ひょっとして私からの電話待っていたのかな?
「あ、あのね。井上君……」
『良かった…』
受話器越しから安堵の声が聞こえてきた。
「え? 何?」
『昨夜ずっと電話待っていても、かかってこなかったからてっきり忘れられてしまったかと思ったよ』
そっか……やっぱり待たせちゃってたんだ。
「ごめんね、あの後お酒で酔っ払って寝ちゃったみたいなんだよね。気がついたら朝で自分の部屋だったんだ」
『そっか。幼馴染と一緒にスーパー銭湯に行ったんだよね?』
「うん、そうなんだ。実はあの時お酒飲んでいてね……ちょっと悪酔いしちゃったんだよね。ごめんね〜」
『悪酔い……? ひょっとしてあの後、なにか幼馴染に言われたのかな?』
「え? 別にそういうわけじゃないけど。ただ、亮平って私の知り合いの男の人達にあたりが強くて……それでつい、飲みすぎちゃって」
『……』
井上くんから返事が返ってこない。
「もしもし? どうかしたの?」
『あ、あのさ……加藤さんの幼馴染が言ってたけど……』
「え?」
その言葉にドキリとした。ひょっとすると……太田先輩の事聞いてくるつもりなのだろうか?
『太田先輩の事なんだけど……』
ああ……やっぱりそうなんだ。
「あの……井上君」
『何?』
「昨夜のあの話……聞かなかった事にしておいてもらえないかな?」
『え?』
井上くんの戸惑った声が聞こえてくる。
「この話、誰にも言わないで貰いたいの。お願い」
『ま、まぁ確かにおおっぴらに出来ない話ではあるけど……でも、どうしてあの幼馴染が加藤さんが太田先輩に告白された事を知ってるんだい?」
「やっぱり……言わなくちゃ駄目?」
『出来れば……聞きたい』
「分かったよ。でも約束して」
『約束?』
「そう、太田先輩と何が合ったのか……どうしてその事を亮平が知っているのか、話すから先輩にも職場の人にも内緒にしておいて欲しいの。お願い」
『……分かったよ。約束する』
「ありがとう」
そして私は太田先輩との事を話した。恋人と別れて落ち込んでいるところを先輩が慰めてくれたこと。飼い猫の動画をメールで送ってくれた事。そして仕事納めの日に猫の動画が収められたUSBの最後に告白動画が入っていた事……。
『そんな事があったなんて……!』
「うん、それで太田先輩が動画の最後に登場した時にUSBが入れられていたビニールファスナーケースにメモが入っている事に気付いて、『この動画は1人で見ること』って書かれていたんだけど……私、そんなの知らなくてお姉ちゃんと一緒に動画を見ちゃったの」
『え……!?』
井上くんの驚いた声が電話越しから聞こえてくる。うん、きっと誰だって驚くよね。
『そ、それじゃお姉さんも太田先輩の告白を知ってるって事!?』
「う、うん。そうなの……それでお姉ちゃんがどうも亮平に話してしまったらしくて……」
『ええっ!? ど、どうして!』
「さ、さぁ……」
返事をしながら思った。そう言えば、どうしてお姉ちゃんは亮平に私が先輩に告白されたことを言ったのだろう。こんな状況だったから聞くことも忘れていたし、仮に覚えていたとしても亮平が一緒にいる状態でお姉ちゃんに質問することも出来なかっただろう。
『ひょっとして……お姉さんは……』
「え? 何?」
『い、いや。何でも無いよ。それよりも……』
そこで一度言葉が切れた。
「何? 井上君」
『あ、う、うん。加藤さんは……先輩の告白、何て返事するのかな……?』
井上君は返答に困る質問をしてきた――