本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第19章 4 友人との電話
特に良い打開策が見当たらず、私は頭を抱えてしまった。
「どうしてこんな事になっちゃったんだろう……」
でも原因は一つしかない。全部私がいけないんだ。太田先輩からUSBドの入ったケースを開ける時、中のメモに気付かなかった。そして迂闊にもこの家で……せめて自分の部屋で動画を観れば良かったのにリビングなんかで観てしまったせいなんだ。
だけど……。
「う~……お姉ちゃん、何でよりにもよって亮平に話しちゃうのかな~? 私の恋愛事情なんか2人には何の関係も無いはずなのに。自分たちの恋愛の事だけ考えてくれればいいのにさ」
お姉ちゃんと亮平の様子もおかしい。今だって2人で一緒に出掛けたけど、何となく雰囲気が恋人同士の様に見えなかった。それにお姉ちゃんも亮平も私を優先してくれようとしている。もうじき2人は結婚するかもしれないのに?
「……やっぱり直人さんの事、引きずっているから元気づける為に……?」
クッションに顔をうずめ、私は1人ブツブツ呟きながら悩んでいた。
その時――
トゥルルルル……
トゥルルルル……
スマホが鳴って心臓がドキリとした。ま、まさか井上君? それとも太田先輩……? 駄目だ、私。最近着信恐怖症にになっているのかもしれない。震える手でスマホを手繰り寄せ……安堵のため息をついた。着信相手は真理ちゃんからだった。
「もしもし?」
『もしもし! 鈴音? 明けましておめでとう』
「うん、明けましておめでとう」
真理ちゃんの元気な声が電話越しから聞こえてくる。……何だかホッとする。
『ごめんね。すっかり返信するの遅くなって。ちょっとトラブルがあってさ』
「ううん、大丈夫だよ。でもトラブルって一体何があったの?」
『それが聞いてよ、洗面台で顔洗っていたら傍に置いておいたスマホが中に落っこちちゃって水没して壊れちゃったのよ』
「ええ~っ!? それは災難だったね」
『うん、本当に嫌になっちゃうよ。それでたった今新しくスマホ買い替えてきたところなの。でもよ良かった、お正月でもお店開いてたから』
「最近はサービス業は無休が多いものね。それで新年会の話だけど、行ける?」
『勿論行くよっ! 楽しみだな~。ねえっ、まだ話続けても大丈夫かな? 私実は話したい事沢山あって』
「勿論大丈夫だよ。どんな話なの?」
『実はね~…』
そこから暫くの間、真理ちゃんの新しく出来た彼氏についてのマシンガン・トークが始まった。数年ぶりの恋愛らしく、彼氏についての話ばかりだった。その話しぶりから、今とても幸せの絶頂にいる事が感じられた。
「へ~……でもすごく素敵な彼氏なんだね。真理ちゃんが幸せそうで良かったよ」
『そういう鈴音はどうなの? 今誰かと付き合ってるの? 鈴音はすっごくモテるものね?』
真理ちゃんまで妙な言い方をする。
「私は付き合ってる人はいないよ」
『ふ~ん、そうなんだ。井上君からは何も言われていないの?』
「え? 何で井上君が出てくるの?」
『何でって……まさか……』
真理ちゃんの息を飲む気配が伝わった。
「真理ちゃん? どうかした?」
『ううん、何でも無い。ほら、井上君は同期で同じ支店配属になったじゃない? だから元気にしてるのかなって思っただけだから』
「それだったら、元気にしてるよ。だから新年会もやろうって言い始めたんじゃないかな?」
そして思った。井上君の話が出たなら……ちょっと真理ちゃんに相談してみようかな?
「あ、あのね……ちょっと相談があるんだけど……」
『何?』
ああ、でもやっぱり駄目だ! なまじ同じ会社の人だから相談なんて出来っこない!
「新年会の場所の希望ってある?」
『え? そうだな……私はワイワイ騒げる居酒屋がいいかな?』
「居酒屋だね? 井上君にそう伝えておくよ」
『な~んだ。相談てそんな事だったの? 思いつめた声に聞こえちゃったから緊張しちゃったじゃない』
「う、うん。そんな事なんだ。ごめんね? 妙な話し方しちゃって」
その後、私と真理ちゃんは10分程話をして電話を切った。
結局、真理ちゃんには相談出来ず……お姉ちゃんたちが初詣から帰って来た――
「どうしてこんな事になっちゃったんだろう……」
でも原因は一つしかない。全部私がいけないんだ。太田先輩からUSBドの入ったケースを開ける時、中のメモに気付かなかった。そして迂闊にもこの家で……せめて自分の部屋で動画を観れば良かったのにリビングなんかで観てしまったせいなんだ。
だけど……。
「う~……お姉ちゃん、何でよりにもよって亮平に話しちゃうのかな~? 私の恋愛事情なんか2人には何の関係も無いはずなのに。自分たちの恋愛の事だけ考えてくれればいいのにさ」
お姉ちゃんと亮平の様子もおかしい。今だって2人で一緒に出掛けたけど、何となく雰囲気が恋人同士の様に見えなかった。それにお姉ちゃんも亮平も私を優先してくれようとしている。もうじき2人は結婚するかもしれないのに?
「……やっぱり直人さんの事、引きずっているから元気づける為に……?」
クッションに顔をうずめ、私は1人ブツブツ呟きながら悩んでいた。
その時――
トゥルルルル……
トゥルルルル……
スマホが鳴って心臓がドキリとした。ま、まさか井上君? それとも太田先輩……? 駄目だ、私。最近着信恐怖症にになっているのかもしれない。震える手でスマホを手繰り寄せ……安堵のため息をついた。着信相手は真理ちゃんからだった。
「もしもし?」
『もしもし! 鈴音? 明けましておめでとう』
「うん、明けましておめでとう」
真理ちゃんの元気な声が電話越しから聞こえてくる。……何だかホッとする。
『ごめんね。すっかり返信するの遅くなって。ちょっとトラブルがあってさ』
「ううん、大丈夫だよ。でもトラブルって一体何があったの?」
『それが聞いてよ、洗面台で顔洗っていたら傍に置いておいたスマホが中に落っこちちゃって水没して壊れちゃったのよ』
「ええ~っ!? それは災難だったね」
『うん、本当に嫌になっちゃうよ。それでたった今新しくスマホ買い替えてきたところなの。でもよ良かった、お正月でもお店開いてたから』
「最近はサービス業は無休が多いものね。それで新年会の話だけど、行ける?」
『勿論行くよっ! 楽しみだな~。ねえっ、まだ話続けても大丈夫かな? 私実は話したい事沢山あって』
「勿論大丈夫だよ。どんな話なの?」
『実はね~…』
そこから暫くの間、真理ちゃんの新しく出来た彼氏についてのマシンガン・トークが始まった。数年ぶりの恋愛らしく、彼氏についての話ばかりだった。その話しぶりから、今とても幸せの絶頂にいる事が感じられた。
「へ~……でもすごく素敵な彼氏なんだね。真理ちゃんが幸せそうで良かったよ」
『そういう鈴音はどうなの? 今誰かと付き合ってるの? 鈴音はすっごくモテるものね?』
真理ちゃんまで妙な言い方をする。
「私は付き合ってる人はいないよ」
『ふ~ん、そうなんだ。井上君からは何も言われていないの?』
「え? 何で井上君が出てくるの?」
『何でって……まさか……』
真理ちゃんの息を飲む気配が伝わった。
「真理ちゃん? どうかした?」
『ううん、何でも無い。ほら、井上君は同期で同じ支店配属になったじゃない? だから元気にしてるのかなって思っただけだから』
「それだったら、元気にしてるよ。だから新年会もやろうって言い始めたんじゃないかな?」
そして思った。井上君の話が出たなら……ちょっと真理ちゃんに相談してみようかな?
「あ、あのね……ちょっと相談があるんだけど……」
『何?』
ああ、でもやっぱり駄目だ! なまじ同じ会社の人だから相談なんて出来っこない!
「新年会の場所の希望ってある?」
『え? そうだな……私はワイワイ騒げる居酒屋がいいかな?』
「居酒屋だね? 井上君にそう伝えておくよ」
『な~んだ。相談てそんな事だったの? 思いつめた声に聞こえちゃったから緊張しちゃったじゃない』
「う、うん。そんな事なんだ。ごめんね? 妙な話し方しちゃって」
その後、私と真理ちゃんは10分程話をして電話を切った。
結局、真理ちゃんには相談出来ず……お姉ちゃんたちが初詣から帰って来た――