本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第19章 10 お土産
え……? 太田先輩に言う事……? 言う事って何だろう? もしかして太田先輩にばれてしまったの? USBの動画の内容を亮平や井上君に知られてしまった事を? その事を白状しろって意味なの?
「あ、あの……わ、私……」
緊張で喉がカラカラになっている。太田先輩はじっと私を見つめている。こんなにいい先輩に嘘をつくのはやっぱり駄目だ。正直に話そう。そして謝るんだ。
「せ、先輩……」
すると次の瞬間、太田先輩はにっこり笑う。
「う~んやっぱり気付かないかなぁ? ほら、スキーで雪焼けしたんだけど?」
太田先輩は自分の顔を指さす。
「え? 雪焼け?」
あまりにも的外れな言葉が先輩の口から出て来たので私は拍子抜けしてしまった。
「え? 何だと思ったの?」
「い、いえ。全く見当がつきませんでした。でも確かに言われてみれば先輩の肌焼けてますね」
自分の動揺を悟られない為にぬるくなったカフェオレを飲み、チラリと先輩のトレーを見ると、いつの間にかパスタが綺麗に食べ終わっていた。
「何?」
「い、言え。何でもありません」
言うと、モソモソとパニーニの続きを食べていると先輩が再び話しかけてきた。
「加藤さんは髪の毛切ったんだね」
「あ、はい。昨日カットしてきました。少し長くなっていたので」
「うん。長い髪も似合っていたけど、その髪型も似合ってる。……可愛いよ」
か、可愛いい……。
今まで先輩にそんな事言われたこと無かったのに。しかもどこか甘さのある声で言われると、どう返事したら良いか分らなくなってしまう。
「あ、ありがとうございます」
取りあえず当たり障りのない返事をしておいた。
「……」
先輩は何も言わず少しだけ黙って私を見つめていたけど、不意にポケットから小さない紙袋を取り出し、私のテーブルの前にそっと置いた。
「え?」
思わず先輩を見上げると、ニッコリ笑いかけてきた。
「これ。お土産だよ」
「え? お土産ですか?」
「うん。加藤さんの事を考えてこれが一番いいかなと思って買ってみたんだ」
「あ、ありがとうございます……」
先輩はじっと私を見ている。これって……今中を開けてみた方がいいよね? 丁度食事も終えた事だし。
「あの、今開けて見てもいいですか?」
「うん、勿論」
開けてみると、中から出てきたのはペンダントだった。飾り部分にはとんぼ玉のようなものが付いている。とても可愛らしいデザインだった。
「ペンダント……すごく可愛いですね。でもこんな高価なもの頂いてよろしいのですか?」
「勿論さ。だって加藤さんの為に買ってきたんだから。これはね、この飾り部分にアロマオイルをいれられるんだってさ。アロマペンダントって書いてあったよ」
「アロマペンダント……」
「加藤さん、アロマグッズが好きそうに見えたから」
「はい、そうです」
でも太田先輩に一度も話した事が無いのに、何故知ってるんだろう? その疑問が顔に出ていたのだろうか?
「女の人って大抵アロマグッズ好きなんじゃないかな?」
「ええ、そうですね。嬉しいです。ありがとうございます」
私はそっとアロマペンダントに触れた。
その後、2人でお店を出るとお正月休みはどんな過ごし方をしていたかを互いに話しながら代理店へと帰ってきた。
****
「お帰りなさい」
お店へ戻り、自分の席に着席すると井上君が声をかけてきた。
「うん、ただいま」
「太田先輩と帰ってきたね」
「う、うん。そうだよ」
何故か黙る井上君。やっぱり太田先輩と私の事気になるのかな?
「あ、あのね……井上君」
「あ、俺! 昼休憩行ってくるから!」
ガタンと席を立つと井上君は慌ただしく行ってしまった。
何だか勘違いされているのかもしれない。
私は心の中でため息をついた――
「あ、あの……わ、私……」
緊張で喉がカラカラになっている。太田先輩はじっと私を見つめている。こんなにいい先輩に嘘をつくのはやっぱり駄目だ。正直に話そう。そして謝るんだ。
「せ、先輩……」
すると次の瞬間、太田先輩はにっこり笑う。
「う~んやっぱり気付かないかなぁ? ほら、スキーで雪焼けしたんだけど?」
太田先輩は自分の顔を指さす。
「え? 雪焼け?」
あまりにも的外れな言葉が先輩の口から出て来たので私は拍子抜けしてしまった。
「え? 何だと思ったの?」
「い、いえ。全く見当がつきませんでした。でも確かに言われてみれば先輩の肌焼けてますね」
自分の動揺を悟られない為にぬるくなったカフェオレを飲み、チラリと先輩のトレーを見ると、いつの間にかパスタが綺麗に食べ終わっていた。
「何?」
「い、言え。何でもありません」
言うと、モソモソとパニーニの続きを食べていると先輩が再び話しかけてきた。
「加藤さんは髪の毛切ったんだね」
「あ、はい。昨日カットしてきました。少し長くなっていたので」
「うん。長い髪も似合っていたけど、その髪型も似合ってる。……可愛いよ」
か、可愛いい……。
今まで先輩にそんな事言われたこと無かったのに。しかもどこか甘さのある声で言われると、どう返事したら良いか分らなくなってしまう。
「あ、ありがとうございます」
取りあえず当たり障りのない返事をしておいた。
「……」
先輩は何も言わず少しだけ黙って私を見つめていたけど、不意にポケットから小さない紙袋を取り出し、私のテーブルの前にそっと置いた。
「え?」
思わず先輩を見上げると、ニッコリ笑いかけてきた。
「これ。お土産だよ」
「え? お土産ですか?」
「うん。加藤さんの事を考えてこれが一番いいかなと思って買ってみたんだ」
「あ、ありがとうございます……」
先輩はじっと私を見ている。これって……今中を開けてみた方がいいよね? 丁度食事も終えた事だし。
「あの、今開けて見てもいいですか?」
「うん、勿論」
開けてみると、中から出てきたのはペンダントだった。飾り部分にはとんぼ玉のようなものが付いている。とても可愛らしいデザインだった。
「ペンダント……すごく可愛いですね。でもこんな高価なもの頂いてよろしいのですか?」
「勿論さ。だって加藤さんの為に買ってきたんだから。これはね、この飾り部分にアロマオイルをいれられるんだってさ。アロマペンダントって書いてあったよ」
「アロマペンダント……」
「加藤さん、アロマグッズが好きそうに見えたから」
「はい、そうです」
でも太田先輩に一度も話した事が無いのに、何故知ってるんだろう? その疑問が顔に出ていたのだろうか?
「女の人って大抵アロマグッズ好きなんじゃないかな?」
「ええ、そうですね。嬉しいです。ありがとうございます」
私はそっとアロマペンダントに触れた。
その後、2人でお店を出るとお正月休みはどんな過ごし方をしていたかを互いに話しながら代理店へと帰ってきた。
****
「お帰りなさい」
お店へ戻り、自分の席に着席すると井上君が声をかけてきた。
「うん、ただいま」
「太田先輩と帰ってきたね」
「う、うん。そうだよ」
何故か黙る井上君。やっぱり太田先輩と私の事気になるのかな?
「あ、あのね……井上君」
「あ、俺! 昼休憩行ってくるから!」
ガタンと席を立つと井上君は慌ただしく行ってしまった。
何だか勘違いされているのかもしれない。
私は心の中でため息をついた――