本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第19章 13 名前も知らない人
午後10時――
内輪だけの楽しい新年会が終了した。佐々木君は予め宣言? していたとおり酔いつぶれて、テーブルの上に突っ伏している。
「悪い、加藤さん、片岡さん。俺、佐々木を何とかしないといけないから先に2人で帰ってくれないかな?」
井上君が困った様子で私達を見る。
「本当に1人で大丈夫?」
「大丈夫よ、鈴音。井上君に任せておきましょうよ」
「そうそう、俺は大丈夫だから本当に気にしなくていいからね」
真理ちゃんの言葉に井上君が苦笑いした。
「ほらね? ああ言ってるんだから、帰ろう」
真理ちゃんに腕を引っ張られる。
「う、うん……それじゃ、またね」
「うん、気をつけて帰りな。又明日」
そして私は真理ちゃんに腕を引っ張られるように店の外に出た。
「うわ〜本当に寒いね。今にも雪が降りそうだよ」
今にも雪がふりだしそうな灰色の雲に覆われた夜空を見上げていると、真理ちゃんが電話で話している事に気が付いた。誰かから電話でも入って来たのかな? そこで私は真理ちゃんの電話が終わるまで待っていた。
「うん。……分った。それじゃ待ってるから。じゃーね」
ピッ
真理ちゃんが電話を切って私を見た
「ごめんね。鈴音。お待たせ」
「ううん、全然待ってないから大丈夫だよ。電話だったの?」
「うん。彼がね、タクシーでこっちまで迎えに来てくれたんだって。今新宿駅からこっちに向かってるって電話が入ってきたの」
「へぇ~優しい彼なんだね。でも、彼氏が迎えに来ているならここでバイバイかな?」
「うん……ごめんね」
「やだな~気にしないでよ」
真理ちゃんを肘で小突いた。
「あ、やったな~」
真理ちゃんが笑いながら私をくすぐってくる。
「アハハハハ! ストップ! ストップ!」
どうやら私達も相当酔ってるみたいだった。酔いが回る前に帰ろう。
「それじゃ、私帰るね。彼氏さんによろしくね~」
「うん、鈴音~。気を付けて帰ってね~」
手を振ると、ほろ酔い気分で歩き始めた。歩き始めて数分が経過した頃、自分の足が千鳥足になっていることに気付いた。あれ……ひょっとして私、相当酔ってるのかなぁ……。
そして何も無いところで突然前のめりに転びそうになった。
「危ないっ!」
その時、背後で男の人の声が聞こえて気付けば私は背後から抱き留められ、危うく転びそうになるところをすんでのところで免れた。
「大丈夫でしたか?」
直ぐそばで男の人の声が聞こえ、私を抱き留めていた腕が外れた。
「は、はい……どうもありがとうございます……」
振り向いて頭を下げて礼を述べ、再び顔を上げて私は思わず「あっ」と声を上げてしまった。私を抱きとめてくれたのはさっき居酒屋で働いていた男の人だったからだ。
「あ、さっきの居酒屋の……」
「あ、べ、別に後を付けていたわけじゃありません! バイトが終わって、店を出たら……お、お姉さんが歩いているのが見えたから……方向も同じだったし、心配だったので後ろを……」
徐々に彼の声が小さくなって、しまいに俯いてしまった。
「?」
首を傾げていると、突然彼は顔をバッと上にあげた。
「す、すみませんっ! やっぱりこれじゃまるでストーカーみたいですよねっ!?」
「え? いえ。そこまでは思っていませんけど‥…あの、新宿駅に行くのですか?」
「はい、そうです」
「なら駅まで一緒に行きませんか?」
私はどうしてもこの人に聞きたい事があった。
「は、はい! ご一緒させてください!」
そして私は駅までの短い道のりを名前も知らない年下の男の人と一緒に向かう事になった――
内輪だけの楽しい新年会が終了した。佐々木君は予め宣言? していたとおり酔いつぶれて、テーブルの上に突っ伏している。
「悪い、加藤さん、片岡さん。俺、佐々木を何とかしないといけないから先に2人で帰ってくれないかな?」
井上君が困った様子で私達を見る。
「本当に1人で大丈夫?」
「大丈夫よ、鈴音。井上君に任せておきましょうよ」
「そうそう、俺は大丈夫だから本当に気にしなくていいからね」
真理ちゃんの言葉に井上君が苦笑いした。
「ほらね? ああ言ってるんだから、帰ろう」
真理ちゃんに腕を引っ張られる。
「う、うん……それじゃ、またね」
「うん、気をつけて帰りな。又明日」
そして私は真理ちゃんに腕を引っ張られるように店の外に出た。
「うわ〜本当に寒いね。今にも雪が降りそうだよ」
今にも雪がふりだしそうな灰色の雲に覆われた夜空を見上げていると、真理ちゃんが電話で話している事に気が付いた。誰かから電話でも入って来たのかな? そこで私は真理ちゃんの電話が終わるまで待っていた。
「うん。……分った。それじゃ待ってるから。じゃーね」
ピッ
真理ちゃんが電話を切って私を見た
「ごめんね。鈴音。お待たせ」
「ううん、全然待ってないから大丈夫だよ。電話だったの?」
「うん。彼がね、タクシーでこっちまで迎えに来てくれたんだって。今新宿駅からこっちに向かってるって電話が入ってきたの」
「へぇ~優しい彼なんだね。でも、彼氏が迎えに来ているならここでバイバイかな?」
「うん……ごめんね」
「やだな~気にしないでよ」
真理ちゃんを肘で小突いた。
「あ、やったな~」
真理ちゃんが笑いながら私をくすぐってくる。
「アハハハハ! ストップ! ストップ!」
どうやら私達も相当酔ってるみたいだった。酔いが回る前に帰ろう。
「それじゃ、私帰るね。彼氏さんによろしくね~」
「うん、鈴音~。気を付けて帰ってね~」
手を振ると、ほろ酔い気分で歩き始めた。歩き始めて数分が経過した頃、自分の足が千鳥足になっていることに気付いた。あれ……ひょっとして私、相当酔ってるのかなぁ……。
そして何も無いところで突然前のめりに転びそうになった。
「危ないっ!」
その時、背後で男の人の声が聞こえて気付けば私は背後から抱き留められ、危うく転びそうになるところをすんでのところで免れた。
「大丈夫でしたか?」
直ぐそばで男の人の声が聞こえ、私を抱き留めていた腕が外れた。
「は、はい……どうもありがとうございます……」
振り向いて頭を下げて礼を述べ、再び顔を上げて私は思わず「あっ」と声を上げてしまった。私を抱きとめてくれたのはさっき居酒屋で働いていた男の人だったからだ。
「あ、さっきの居酒屋の……」
「あ、べ、別に後を付けていたわけじゃありません! バイトが終わって、店を出たら……お、お姉さんが歩いているのが見えたから……方向も同じだったし、心配だったので後ろを……」
徐々に彼の声が小さくなって、しまいに俯いてしまった。
「?」
首を傾げていると、突然彼は顔をバッと上にあげた。
「す、すみませんっ! やっぱりこれじゃまるでストーカーみたいですよねっ!?」
「え? いえ。そこまでは思っていませんけど‥…あの、新宿駅に行くのですか?」
「はい、そうです」
「なら駅まで一緒に行きませんか?」
私はどうしてもこの人に聞きたい事があった。
「は、はい! ご一緒させてください!」
そして私は駅までの短い道のりを名前も知らない年下の男の人と一緒に向かう事になった――