本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第3章 11 元彼との再会
「おはよう、加藤さん」
駅を降りて職場へ向かって歩いていると背後から声を掛けられた。
「あ、おはよう。井上君」
2人で並んで歩きながら井上君が言う。
「今日もいい天気だな~この分だとまた俺達の仕事はあれだな?」
「うん、きっとあれだね」
私も頷く。
『あれ』とはチラシ配りだ。今月おすすめのプランの入った持ち手つきの袋におまけでポケットティッシュを入れたものを駅前や繁華街で配る仕事。これがなかなかハードなのだ。通りすがりの人達に声をかけながら1日立ちっぱなしで配らないといけないから仕事が終わる頃には足がパンパンにむくんでしまう。
「あ~あ…今夜は着圧ソックスを履いて寝ないとな~…」
うんざりしたように言うと井上君が質問してきた。
「あのさあ、その着圧ソックスっていいの?」
「うん、いいよ。足のむくみがすっきりする感じがするもの。井上君も履いてみたら?」
「ええ~…男が履いたらおかしいだろう?」
「え?知らないの?最近はね、メンズ用の着圧ソックスがあるんだよ?」
「え?マジ?今日買ってみようかな…って着圧ソックスってどこに売ってるんだ?」
「う~ん…女性用はドラッグストアで売ってるけどメンズ用はどうなんだろう?メンズ用なんて私は気にかけた事なかったからな…」
「そっか…なら今日仕事帰り、ドラッグストアに寄ってみるかな」
「それじゃ、私もドラッグストアで見てきてあげるよ」
「え?いいの?わざわざ俺の為に寄ってくれるの?」
何故か井上君は嬉しそうに言う。
「う~ん…井上君の為にって言うか…今日は買い物があったんだよね。だからついでに見てきてあげるよ」
「何だ…ま、別にいいか。うん、ありがとう」
そんな事を話している内に私たちは代理店へ到着した。よし、今日も1日頑張ろうっ!
それから1時間後―
やっぱり私と井上君は予想通り?駅前にビラを配りに行くことになるのだった。
「それじゃ、私は南口で配るから井上君は東口で配ってくれる?」
駅前で井上君にチラシが入った紙袋を渡した。
「ねえ、お昼はどうする?どっちが先に食べに行くことにする?」
井上君が質問してきた。
「私はいつでもいいから井上君の好きにしていいよ?」
「う~ん…それじゃ俺が先に行かせてもらってもいいかな?実は今朝、朝飯抜きで出勤してきちゃったんだよな~」
「そっか…うん。それじゃいいよ。井上君が先に行ってくれて」
「ありがとう!やっぱり加藤さんは優しいよな~」
井上君はすっかりご機嫌だ。
「それじゃ、また後でね」
そして私は井上君に手を振ると南口へと向かった。
「よろしくお願いしまーす」
私は元気よく挨拶しながら駅前でビラを配っていた。でもこれがなかなかうまくいない。だってもらってくれる人はわずかしかいないから。初めてビラ配りに出た日、貰ってくれる人がなかなかいなくて心が折れそうになったけど、30分程配り続けて初めて受け取ってもらえた時はすごく嬉しくて、思わず笑顔でお礼を言ってしまったんだっけ。でもその時の気持ちを忘れずに、今も受け取ってくれた人には笑顔でお礼を言うようにしている。
「お願いします」
目の前を通ったサラリーマンの若い男性にビラを配ったら、男性は無言で受け取ってくれた。
「ありがとうございますっ!」
嬉しくて思わず大声でお礼を言うと、若い男性は驚いたのか顔をあげて私を見た。
「え…?」
そして今度は私が驚く番だった。
「隆司…さん…?」
「鈴音…なのか?」
その男性は…2年前に少しだけお付き合いして別れを告げてきた男性だった――
駅を降りて職場へ向かって歩いていると背後から声を掛けられた。
「あ、おはよう。井上君」
2人で並んで歩きながら井上君が言う。
「今日もいい天気だな~この分だとまた俺達の仕事はあれだな?」
「うん、きっとあれだね」
私も頷く。
『あれ』とはチラシ配りだ。今月おすすめのプランの入った持ち手つきの袋におまけでポケットティッシュを入れたものを駅前や繁華街で配る仕事。これがなかなかハードなのだ。通りすがりの人達に声をかけながら1日立ちっぱなしで配らないといけないから仕事が終わる頃には足がパンパンにむくんでしまう。
「あ~あ…今夜は着圧ソックスを履いて寝ないとな~…」
うんざりしたように言うと井上君が質問してきた。
「あのさあ、その着圧ソックスっていいの?」
「うん、いいよ。足のむくみがすっきりする感じがするもの。井上君も履いてみたら?」
「ええ~…男が履いたらおかしいだろう?」
「え?知らないの?最近はね、メンズ用の着圧ソックスがあるんだよ?」
「え?マジ?今日買ってみようかな…って着圧ソックスってどこに売ってるんだ?」
「う~ん…女性用はドラッグストアで売ってるけどメンズ用はどうなんだろう?メンズ用なんて私は気にかけた事なかったからな…」
「そっか…なら今日仕事帰り、ドラッグストアに寄ってみるかな」
「それじゃ、私もドラッグストアで見てきてあげるよ」
「え?いいの?わざわざ俺の為に寄ってくれるの?」
何故か井上君は嬉しそうに言う。
「う~ん…井上君の為にって言うか…今日は買い物があったんだよね。だからついでに見てきてあげるよ」
「何だ…ま、別にいいか。うん、ありがとう」
そんな事を話している内に私たちは代理店へ到着した。よし、今日も1日頑張ろうっ!
それから1時間後―
やっぱり私と井上君は予想通り?駅前にビラを配りに行くことになるのだった。
「それじゃ、私は南口で配るから井上君は東口で配ってくれる?」
駅前で井上君にチラシが入った紙袋を渡した。
「ねえ、お昼はどうする?どっちが先に食べに行くことにする?」
井上君が質問してきた。
「私はいつでもいいから井上君の好きにしていいよ?」
「う~ん…それじゃ俺が先に行かせてもらってもいいかな?実は今朝、朝飯抜きで出勤してきちゃったんだよな~」
「そっか…うん。それじゃいいよ。井上君が先に行ってくれて」
「ありがとう!やっぱり加藤さんは優しいよな~」
井上君はすっかりご機嫌だ。
「それじゃ、また後でね」
そして私は井上君に手を振ると南口へと向かった。
「よろしくお願いしまーす」
私は元気よく挨拶しながら駅前でビラを配っていた。でもこれがなかなかうまくいない。だってもらってくれる人はわずかしかいないから。初めてビラ配りに出た日、貰ってくれる人がなかなかいなくて心が折れそうになったけど、30分程配り続けて初めて受け取ってもらえた時はすごく嬉しくて、思わず笑顔でお礼を言ってしまったんだっけ。でもその時の気持ちを忘れずに、今も受け取ってくれた人には笑顔でお礼を言うようにしている。
「お願いします」
目の前を通ったサラリーマンの若い男性にビラを配ったら、男性は無言で受け取ってくれた。
「ありがとうございますっ!」
嬉しくて思わず大声でお礼を言うと、若い男性は驚いたのか顔をあげて私を見た。
「え…?」
そして今度は私が驚く番だった。
「隆司…さん…?」
「鈴音…なのか?」
その男性は…2年前に少しだけお付き合いして別れを告げてきた男性だった――