本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第3章 12 連絡先の交換
大川隆司さん…。2年前にほんの少しだけお付き合いしていた人、私より2歳年上だった彼。学生時代、同じ英語同好会だった先輩―。
「鈴音、元気そうだな」
隆司さんは優し気な瞳で私を見ると言った。
「隆司さんも元気そうで良かったです。でも随分雰囲気が変わりましたね。眼鏡にスーツ姿だったので分からなかったです」
すると隆司さんは言った。
「その制服に、このビラ。念願の旅行会社に入れたんだな、おめでとう」
「ありがとうございます」
隆司さんは私と違って大人だ。だから2人で会話する時は私はいつも彼の前では敬語を使って話していた。
「会社、この辺りなのか?」
「はい、そうですよ。あの踏切を超えた先に代理店があります。今、そこの新人として仕事しています。隆司さんは…」
「俺も実はこの4月から転勤で、この駅ビルの社屋で仕事しているんだ。今から営業の外回りなんだよ。でも…そうか。偶然会えてよかった」
言いながら隆司さんはポケットから名刺を取り出すと、手渡して来た。
「鈴音、俺の携帯番号とメールアドレスがここに書いてある。出来れば今日中に俺のアドレスに鈴音の携帯番号とアドレス…送っておいてくれないかな?」
隆司さんのその眼は真剣で私は頷いていた。
「はい、いいですよ。必ず今日中に連絡入れます」
別に断る理由も無いしね。
「そうか、ありがとう。それじゃまたな」
隆司さんは笑顔で言うと、さっそうと歩いて行った。私はその後ろ姿が見えなくなるまで見送ると再びビラまきに専念した―。
午後1時―
「井上君、お昼食べ終えたかな?」
腕時計を確認すると、紙袋を持って繁華街へと足を運んだ。
「今日は何食べようかな…」
歩行者天国になっている通りにはカフェやファミレス…さまざまな店が立ち並んでいる。
「少しゆっくりできるお店がいいかな…」
私は先ほど2年ぶりに再会した隆司さんの事を思い出していた。彼に連絡先を入れてメールをしないといけないから、長居できるお店を探していると、カフェレストランを発見した。まるでログハウスのような可愛らしいカフェレストランの店の軒先にはブラックボードの立て看板があり、可愛らしいイラストで『ランチメニュー ワンコイン』と書かれている。
「へえ~…すっごく安い!決めたっ!ここに入ろうっ!」
私はドアを開けて店の中へと足を踏み入れた―。
「ああ~美味しかった」
私の前のトレーにはすっかり綺麗に平らげたプレートが乗っている。
「それにしてもドリアとサラダ、それにコーヒーのセットで500円なんてやっすい!フフ…またまたいい店見つけちゃった」
そしてスマホを取り出し、隆司さんの名刺をテーブルに置くと私は早速打ち込み始めた。
約5分後―
「送信っと!」
隆司さんに簡単な一言と、自分の今の携帯番号とアドレスを送信するとコーヒーに手を伸ばし、すぐにスマホから着信を知らせる音楽が鳴り響いた。見ると、それは隆司さんからだった。
「え?嘘!もう連絡来たの?」
慌ててスマホをタップすると私はスマホを耳にあてた。
「はい、もしもし」
『鈴音、今電話大丈夫か?』
「ええ、お昼休憩なので大丈夫ですよ」
『そうか…良かった…』
電話越しからは隆司さんの安堵の声が聞こえる。
「隆司さん、どうかしたのですか?」
『今夜…会えないか?一緒に食事でもどうだろう?』
「…」
一瞬頭にお姉ちゃんの顔がよぎった。
『駄目か?鈴音…』
何故か隆司さんの声が悲し気に聞こえる。
「い、いえ。大丈夫ですよ。私は今日20時まで仕事なんですけど…」
『それじゃ20時半に南口の改札で待ってる』
それだけ言うと隆司さんからの通話は切れた――
「鈴音、元気そうだな」
隆司さんは優し気な瞳で私を見ると言った。
「隆司さんも元気そうで良かったです。でも随分雰囲気が変わりましたね。眼鏡にスーツ姿だったので分からなかったです」
すると隆司さんは言った。
「その制服に、このビラ。念願の旅行会社に入れたんだな、おめでとう」
「ありがとうございます」
隆司さんは私と違って大人だ。だから2人で会話する時は私はいつも彼の前では敬語を使って話していた。
「会社、この辺りなのか?」
「はい、そうですよ。あの踏切を超えた先に代理店があります。今、そこの新人として仕事しています。隆司さんは…」
「俺も実はこの4月から転勤で、この駅ビルの社屋で仕事しているんだ。今から営業の外回りなんだよ。でも…そうか。偶然会えてよかった」
言いながら隆司さんはポケットから名刺を取り出すと、手渡して来た。
「鈴音、俺の携帯番号とメールアドレスがここに書いてある。出来れば今日中に俺のアドレスに鈴音の携帯番号とアドレス…送っておいてくれないかな?」
隆司さんのその眼は真剣で私は頷いていた。
「はい、いいですよ。必ず今日中に連絡入れます」
別に断る理由も無いしね。
「そうか、ありがとう。それじゃまたな」
隆司さんは笑顔で言うと、さっそうと歩いて行った。私はその後ろ姿が見えなくなるまで見送ると再びビラまきに専念した―。
午後1時―
「井上君、お昼食べ終えたかな?」
腕時計を確認すると、紙袋を持って繁華街へと足を運んだ。
「今日は何食べようかな…」
歩行者天国になっている通りにはカフェやファミレス…さまざまな店が立ち並んでいる。
「少しゆっくりできるお店がいいかな…」
私は先ほど2年ぶりに再会した隆司さんの事を思い出していた。彼に連絡先を入れてメールをしないといけないから、長居できるお店を探していると、カフェレストランを発見した。まるでログハウスのような可愛らしいカフェレストランの店の軒先にはブラックボードの立て看板があり、可愛らしいイラストで『ランチメニュー ワンコイン』と書かれている。
「へえ~…すっごく安い!決めたっ!ここに入ろうっ!」
私はドアを開けて店の中へと足を踏み入れた―。
「ああ~美味しかった」
私の前のトレーにはすっかり綺麗に平らげたプレートが乗っている。
「それにしてもドリアとサラダ、それにコーヒーのセットで500円なんてやっすい!フフ…またまたいい店見つけちゃった」
そしてスマホを取り出し、隆司さんの名刺をテーブルに置くと私は早速打ち込み始めた。
約5分後―
「送信っと!」
隆司さんに簡単な一言と、自分の今の携帯番号とアドレスを送信するとコーヒーに手を伸ばし、すぐにスマホから着信を知らせる音楽が鳴り響いた。見ると、それは隆司さんからだった。
「え?嘘!もう連絡来たの?」
慌ててスマホをタップすると私はスマホを耳にあてた。
「はい、もしもし」
『鈴音、今電話大丈夫か?』
「ええ、お昼休憩なので大丈夫ですよ」
『そうか…良かった…』
電話越しからは隆司さんの安堵の声が聞こえる。
「隆司さん、どうかしたのですか?」
『今夜…会えないか?一緒に食事でもどうだろう?』
「…」
一瞬頭にお姉ちゃんの顔がよぎった。
『駄目か?鈴音…』
何故か隆司さんの声が悲し気に聞こえる。
「い、いえ。大丈夫ですよ。私は今日20時まで仕事なんですけど…」
『それじゃ20時半に南口の改札で待ってる』
それだけ言うと隆司さんからの通話は切れた――