本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第3章 13 素敵なダイニングバー
隆司さんと約束してしまった。
「お姉ちゃんに連絡しないと…」
スマホをタップして家に電話を掛けると、4コール目でお姉ちゃんが電話に出てくれた。
「もしもし、お姉ちゃん?」
『あら、どうしたの?鈴音ちゃん』
「ごめんね。実は今日昔の知り合いの人とばったり会って、食事して帰る約束しちゃったの」
『あらそうなの?今夜は鈴音ちゃんの好きなグリーンカレーを作ろうとしていたんだけど…』
「え?グリーンカレー?そうだ。亮平も好きだよ?夕食に誘ってみたら?」
『そうね…それじゃ誘ってみるわね。じゃあ鈴音ちゃん、今夜は遅くなるのよね?気を付けて帰って来るのよ?』
「うん、分かった。それじゃあね」
お姉ちゃんとの会話を終えて電話を切った私は再びむなしい気持ちになった。
「お姉ちゃん…やっぱり迷わず亮平の事誘うんだ…」
私はすっかり冷めて生ぬるくなったコーヒーを口にするとポツリと呟いた―。
「お疲れさまでした。お先に失礼します」
まだ店舗に残っている社員の人達に挨拶をすると、私は駅に向かって歩き出した。腕時計を見ると時刻は20時15分。約束の時間は20時半に南口の改札だから少し待つことにるかもしれないけど、まっいいか…。私はそう思いながら、待ち合わせ場所へ行くと驚いた。
「え?隆司さん…?」
既に改札前には隆司さんが待っていた。慌てて駆け寄ると隆司さんは私に気付いて手を振ってくる。
「鈴音!」
私は急いで隆司さんの元へ行くと、すぐに謝った。
「すみません、隆司さん。まさかこんなに早く来ているとは思わなくて」
しかし隆司さんは首を振る。
「いや。いいんだ。鈴音を待っている時間は別に苦じゃないから」
何だか妙なセリフを隆司さんは言う。
「?そうですか?でも、謝罪はさせて下さい、遅くなってすみませんでした」
改めて頭を下げる。すると頭に手が触れる気配を感じ、顔をあげるとそこには優しい笑みを浮かべた隆司さんが私の頭をなでていた。
「あの…?」
「鈴音は昔から変わっていないな。人一倍気を遣うところ。だからこそ俺は…」
隆司さんはそこまで言うと、私の頭から手を放すと言った。
「鈴音。この近くに行きつけのダイニングバーがあるんだ。そこへ行かないか?」
「いいですね。行ってみたいです」
「よし、それじゃ行こう」
隆司さんが歩き始めたので、私もその後を追った。
隆司さんがつれてきてくれたダイニングバーは店内に大きなアクアリウムが壁に埋め込まれている素敵なお店だった。入口から店内へ入ると左右と前方の壁の中のアクアリウムの中で熱帯魚が優雅に泳いでいる。まさに大人の雰囲気満載だ。
「どうだ?鈴音。気に入ったか?」
背後から隆司さんが声を掛けてくる。
「はい、最高ですっ!こんな素敵なお店…まるで夢見たいです」
思わずうっとりとした目で隆司さんをみると、隆司さんは顔を赤らめて視線をそらせると言った。
「そ、そうか…良かった。気に入ってもらえたようで」
私たちはアクアリウムが良く見えるカウンター形式になっている椅子に座ると、早速隆司さんがメニューを広げて見せてくれた。
「遠慮せずに好きなものを頼んでくれ。ここは俺がおごるから」
私は慌てて言った。
「何言ってるんですか。そんなわけにはいきませんよ。私だって社会人として働いているんですから、ここは割り勘でいきましょう」
すると隆司さんは言う。
「ならこれは俺からの就職祝いだと思ってくれ。まあ、少し遅くはなってしまったけど…」
そこまで言われてしまうと…。
「分かりました。それではご馳走になります」
私が頭を下げると、隆司さんは再び私の頭をなでてきた――
「お姉ちゃんに連絡しないと…」
スマホをタップして家に電話を掛けると、4コール目でお姉ちゃんが電話に出てくれた。
「もしもし、お姉ちゃん?」
『あら、どうしたの?鈴音ちゃん』
「ごめんね。実は今日昔の知り合いの人とばったり会って、食事して帰る約束しちゃったの」
『あらそうなの?今夜は鈴音ちゃんの好きなグリーンカレーを作ろうとしていたんだけど…』
「え?グリーンカレー?そうだ。亮平も好きだよ?夕食に誘ってみたら?」
『そうね…それじゃ誘ってみるわね。じゃあ鈴音ちゃん、今夜は遅くなるのよね?気を付けて帰って来るのよ?』
「うん、分かった。それじゃあね」
お姉ちゃんとの会話を終えて電話を切った私は再びむなしい気持ちになった。
「お姉ちゃん…やっぱり迷わず亮平の事誘うんだ…」
私はすっかり冷めて生ぬるくなったコーヒーを口にするとポツリと呟いた―。
「お疲れさまでした。お先に失礼します」
まだ店舗に残っている社員の人達に挨拶をすると、私は駅に向かって歩き出した。腕時計を見ると時刻は20時15分。約束の時間は20時半に南口の改札だから少し待つことにるかもしれないけど、まっいいか…。私はそう思いながら、待ち合わせ場所へ行くと驚いた。
「え?隆司さん…?」
既に改札前には隆司さんが待っていた。慌てて駆け寄ると隆司さんは私に気付いて手を振ってくる。
「鈴音!」
私は急いで隆司さんの元へ行くと、すぐに謝った。
「すみません、隆司さん。まさかこんなに早く来ているとは思わなくて」
しかし隆司さんは首を振る。
「いや。いいんだ。鈴音を待っている時間は別に苦じゃないから」
何だか妙なセリフを隆司さんは言う。
「?そうですか?でも、謝罪はさせて下さい、遅くなってすみませんでした」
改めて頭を下げる。すると頭に手が触れる気配を感じ、顔をあげるとそこには優しい笑みを浮かべた隆司さんが私の頭をなでていた。
「あの…?」
「鈴音は昔から変わっていないな。人一倍気を遣うところ。だからこそ俺は…」
隆司さんはそこまで言うと、私の頭から手を放すと言った。
「鈴音。この近くに行きつけのダイニングバーがあるんだ。そこへ行かないか?」
「いいですね。行ってみたいです」
「よし、それじゃ行こう」
隆司さんが歩き始めたので、私もその後を追った。
隆司さんがつれてきてくれたダイニングバーは店内に大きなアクアリウムが壁に埋め込まれている素敵なお店だった。入口から店内へ入ると左右と前方の壁の中のアクアリウムの中で熱帯魚が優雅に泳いでいる。まさに大人の雰囲気満載だ。
「どうだ?鈴音。気に入ったか?」
背後から隆司さんが声を掛けてくる。
「はい、最高ですっ!こんな素敵なお店…まるで夢見たいです」
思わずうっとりとした目で隆司さんをみると、隆司さんは顔を赤らめて視線をそらせると言った。
「そ、そうか…良かった。気に入ってもらえたようで」
私たちはアクアリウムが良く見えるカウンター形式になっている椅子に座ると、早速隆司さんがメニューを広げて見せてくれた。
「遠慮せずに好きなものを頼んでくれ。ここは俺がおごるから」
私は慌てて言った。
「何言ってるんですか。そんなわけにはいきませんよ。私だって社会人として働いているんですから、ここは割り勘でいきましょう」
すると隆司さんは言う。
「ならこれは俺からの就職祝いだと思ってくれ。まあ、少し遅くはなってしまったけど…」
そこまで言われてしまうと…。
「分かりました。それではご馳走になります」
私が頭を下げると、隆司さんは再び私の頭をなでてきた――