本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第4章 3 耳を疑う言葉
食事が終わると私は言った。
「お姉ちゃん。私が食器洗いの片付けするからお姉ちゃんは亮平とリビングにいたら?後でコーヒーを持って行くから」
「あらそう?悪いわね?鈴音ちゃん。それじゃ亮平君、リビングに行きましょう」
「あ、ああ・・・」
お姉ちゃんに腕を引かれて立たされた亮平は一瞬チラリと私を見たが、すぐに2人は奥のリビングルームへと向かった。
「ふう・・・」
ダイニングルームから2人が去り、私は溜息をついた。それにしても苦痛の食事時間だった。私と向かい合わせに座った2人は仲良さげに会話をしていたけれども、私は1人、蚊帳の外だった。お姉ちゃんはまるきり私がそこにいないように目を合わせる事も無く振る舞っていたし、亮平はそれを何処か不審に思っているようにも見えたけど、特に口にする事も無かった。
「存在を消すようにしていないといけないって、こんなに息がつまるものだったんだ…」
ぽつんと独り言のように呟くと、エプロンをしめて腕まくりをした。
「さて、食器洗いを始めようかな・・・」
私は流しへ向かった―。
2人分のコーヒーを淹れて、私はリビングをチラリと覗いた。お姉ちゃんと亮平は並んでソファに座り、テレビの方を向いている。私は2人分のコーヒーをお盆に乗せて運ぶと、テーブルの前に置いた。
「はい、コーヒーどうぞ」
すると置かれたコーヒーが2つしかない事に亮平が不思議に思ったのか尋ねてきた。
「鈴音?どうしたんだ?お前の分のコーヒーは?」
その時、お姉ちゃんが何か言いたげに一瞬私を見た。
「ううん。いいの、私は。自分の部屋でコーヒー飲むから」
わざとへらへら笑いながら私は言う。
「何で・・・」
亮平が話しかけて来る。でも、お願いだからお姉ちゃんの前で私に話しかけないで。だってお姉ちゃんが私の事をじっと見てる。亮平を取らないでって目で訴えかけている。私はお姉ちゃんの心を傷つけたくない。何より大切な人だから嫌われたくないんだもの。
「あ、あのね。電話したい人がいるの。だから部屋で飲むの。それじゃあ」
咄嗟に嘘をついて私は逃げるようにリビングルームを後にした。
****
「ふう・・・」
コーヒーを持って自分の部屋に来ると、ローテーブルにコーヒーを置いて坐椅子に座るとため息をついた。
「これからどうしよう…。もう今まで通りではいられない。亮平と距離を取らないと。そうだ、明日、亮平にメールをいれよう。もう私には話しかけないでって」
それはとても辛い事だけど、私とお姉ちゃんの今の関係を続けていくには必要な事。もう亮平の傍にいる事も出来ない。こんなに近くにいるのに・・・。
その後、私は亮平が家に帰るまで階下に降りる事はせず、ずっとネットサーフィンをして時間を潰した。
やがて1時間程経過した頃、玄関のドアが開く音が聞こえてお姉ちゃんと亮平の仲良さげに話す声が聞こえてきた。会話の内容は良く分からなかったけども、時折お姉ちゃんの楽し気な笑い声が聞こえて来る。
そしてバタンとドアの閉じる音が聞こえて、やがてシーンとなった。
亮平、帰ったのかな?私は様子を伺いながら、ゆっくり階下へと降りて行った。すると階段の脇からいきなりお姉ちゃんが顔を出してきたのだ。
「鈴音ちゃん」
「うわあ!は、はいっ!」
突然姿を現したお姉ちゃんの姿に私の寿命は1年くらい縮まってしまったかのような気がした。
「あら?ごめんね?驚かせちゃったみたいね?」
お姉ちゃんはクスクス笑いながら私を見る。
「う、ううん。そ、それ程でもないかな?」
するとお姉ちゃんはとんでも無い事を言ってきた。
「ねえ、鈴音ちゃん・・・一人暮らしするつもり・・・ない?」
「え・・・?」
私は耳を疑った――
「お姉ちゃん。私が食器洗いの片付けするからお姉ちゃんは亮平とリビングにいたら?後でコーヒーを持って行くから」
「あらそう?悪いわね?鈴音ちゃん。それじゃ亮平君、リビングに行きましょう」
「あ、ああ・・・」
お姉ちゃんに腕を引かれて立たされた亮平は一瞬チラリと私を見たが、すぐに2人は奥のリビングルームへと向かった。
「ふう・・・」
ダイニングルームから2人が去り、私は溜息をついた。それにしても苦痛の食事時間だった。私と向かい合わせに座った2人は仲良さげに会話をしていたけれども、私は1人、蚊帳の外だった。お姉ちゃんはまるきり私がそこにいないように目を合わせる事も無く振る舞っていたし、亮平はそれを何処か不審に思っているようにも見えたけど、特に口にする事も無かった。
「存在を消すようにしていないといけないって、こんなに息がつまるものだったんだ…」
ぽつんと独り言のように呟くと、エプロンをしめて腕まくりをした。
「さて、食器洗いを始めようかな・・・」
私は流しへ向かった―。
2人分のコーヒーを淹れて、私はリビングをチラリと覗いた。お姉ちゃんと亮平は並んでソファに座り、テレビの方を向いている。私は2人分のコーヒーをお盆に乗せて運ぶと、テーブルの前に置いた。
「はい、コーヒーどうぞ」
すると置かれたコーヒーが2つしかない事に亮平が不思議に思ったのか尋ねてきた。
「鈴音?どうしたんだ?お前の分のコーヒーは?」
その時、お姉ちゃんが何か言いたげに一瞬私を見た。
「ううん。いいの、私は。自分の部屋でコーヒー飲むから」
わざとへらへら笑いながら私は言う。
「何で・・・」
亮平が話しかけて来る。でも、お願いだからお姉ちゃんの前で私に話しかけないで。だってお姉ちゃんが私の事をじっと見てる。亮平を取らないでって目で訴えかけている。私はお姉ちゃんの心を傷つけたくない。何より大切な人だから嫌われたくないんだもの。
「あ、あのね。電話したい人がいるの。だから部屋で飲むの。それじゃあ」
咄嗟に嘘をついて私は逃げるようにリビングルームを後にした。
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「ふう・・・」
コーヒーを持って自分の部屋に来ると、ローテーブルにコーヒーを置いて坐椅子に座るとため息をついた。
「これからどうしよう…。もう今まで通りではいられない。亮平と距離を取らないと。そうだ、明日、亮平にメールをいれよう。もう私には話しかけないでって」
それはとても辛い事だけど、私とお姉ちゃんの今の関係を続けていくには必要な事。もう亮平の傍にいる事も出来ない。こんなに近くにいるのに・・・。
その後、私は亮平が家に帰るまで階下に降りる事はせず、ずっとネットサーフィンをして時間を潰した。
やがて1時間程経過した頃、玄関のドアが開く音が聞こえてお姉ちゃんと亮平の仲良さげに話す声が聞こえてきた。会話の内容は良く分からなかったけども、時折お姉ちゃんの楽し気な笑い声が聞こえて来る。
そしてバタンとドアの閉じる音が聞こえて、やがてシーンとなった。
亮平、帰ったのかな?私は様子を伺いながら、ゆっくり階下へと降りて行った。すると階段の脇からいきなりお姉ちゃんが顔を出してきたのだ。
「鈴音ちゃん」
「うわあ!は、はいっ!」
突然姿を現したお姉ちゃんの姿に私の寿命は1年くらい縮まってしまったかのような気がした。
「あら?ごめんね?驚かせちゃったみたいね?」
お姉ちゃんはクスクス笑いながら私を見る。
「う、ううん。そ、それ程でもないかな?」
するとお姉ちゃんはとんでも無い事を言ってきた。
「ねえ、鈴音ちゃん・・・一人暮らしするつもり・・・ない?」
「え・・・?」
私は耳を疑った――