本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第4章 10 別離
私がマンスリーマンションへ引っ越しをしてから5日が過ぎた。あの日以来、亮平から何度も電話やメールが届くようになり、とうとう私は亮平からの連絡を全て着信拒否にしてしまった。
今日は早番。
そろそろ退勤時間になる頃、井上君と2人でビラ配りセットを倉庫で行っている時、不意に井上君が言った。
「加藤さん。今夜、良ければ一緒にお酒飲んで帰らない?」
「う~ん…。でもなあ…ちょっと節約しないといけないし…」
そう言えば職場の人達に引っ越しした事まだ告げていなかったっけ…。でも大好きなお姉ちゃんに追い出される形で家を出たから、正直あんまり引っ越しをした事を言いたくは無かったのが本音なんだけどね。
「ええ~…一緒に飲めると思ったのに。そ、そうだ!俺が奢るから…居酒屋行こうよ」
「え、それじゃ悪いよ。だって一人暮らししてるとお金かかるじゃない!奢って貰うなんて絶対出来ないってばっ!」
必死で断ると、井上君は明らかにがっかりした顔つきになる。
「ええ…そんな…」
ひょっとして井上君は私を元気づけようと思って飲みに誘ったのかな?
そこで私は閃いた。
「そうだ、なら宅飲みしない?」
「え?宅飲み…?」
「そう、私ね…実は1人暮らし始めたの。しかもここ、錦糸町で」
「え…ええっ?!まじで?!」
「そう、まじで。だから私の部屋で飲もうか。スーパーで缶チューハイ買って、おつまみ買って…そしたらずっと安上がりですむよ」
「えええっ?!だ、だけど…それは色々まずいんじゃ…」
井上君は真っ赤になって言う。
「別に私は構わないけど?どうする?家に来る?」
「い…行くっ!行くよっ!」
「それじゃ、決まりだね」
私はにっこり井上君に笑いかけた。
「あ、ああ。き、決まりだな」
井上君の顔は…耳まで真っ赤になっていた―。
****
そして午後6時―
「「お疲れさまでした~」」
井上君と2人、挨拶をして仲良く代理店を出た。
「ねえ、井上君は何飲むの?」
2人で並んで歩きながら駅前のスーパーを目指す。
「う~ん…やっぱり発泡酒か…缶チューハイかなあ…」
「うん、私と一緒だね。それじゃスーパーで発泡酒と缶チューハイ買って帰ろう?」
「あ、ああ!そうだなっ!」
そして私と井上君は大型スーパーに入ると、発泡酒と缶チューハイを8缶と、他に色々なお惣菜を買って、2人仲良くスーパーを出た時…。
「鈴音っ!」
突然大声で名前を呼ばれた。すると人込みに紛れてそこにはスーツ姿の亮平が立っていた。亮平はハアハアと肩で息をしている。
「え…?亮平…ど、どうしてここにいるの…?」
「か、加藤さん…」
井上君は心配そうに私を見ている。
「どうしても何も…お前が俺からの連絡を一方的に拒否したから、こうしてお前の職場の有る錦糸町までやってきたんだよっ!」
亮平は酷く怒りながら私に近付いてくる。すると、スッと井上君が私の前に立ちはだかった。
「おい、どけよ」
亮平はすごんで井上君に言う。
「嫌だね。彼女を怖がらせるような奴を近づけさせると思うか?」
井上君も酷く亮平に怒っているみたいだ。
「何?彼女…?」
亮平の眉がピクリと動き…次に吐き捨てるように言った。
「はんっ!やっぱりそう言う事か…。結局お前は男と暮らしたくて忍さんを捨てて家を出たんだろうっ?!やっぱりお前ってそういう女だったんだな?」
え…?そういう女?一体私は今までどんな目で亮平に見られていたの?私が何かいい返す前に井上君が言う。
「お前…!彼女を侮辱するなっ!」
「何だよ…お前、鈴音に遊ばれてるの知らないのか?鈴音にはなあ…他に男がいるんだぞ?」
「え…?加藤…さん…?」
井上君が驚いた顔で私を見る。
「嘘よっ!そんな人…いないからっ!」
亮平の言葉に私は反論した。
「嘘なもんか!この間…お前、忍さんとの約束を破って男と酒を飲んで帰って来て…家の前でキスしていただろう?」
「!」
井上君の顔が青ざめるのを私は見た。酷い…!こんな事…他の人の前で言うなんて…!
「りょ、亮平…!」
「とにかく、鈴音っ!お前に大事な話があるんだよ!」
亮平は井上君を押しのけて私の腕を強引に掴んできた。
「い、痛いっ!」
「おい!やめろっ!」
ついに井上君は我慢できなくなったのか亮平の肩を掴んで、私から亮平を引き剥がした。
「お、お前っ!」
亮平が井上君の胸倉を掴もうとしたので私は叫んだ。
「やめて!」
必死に亮平の腕を掴んで止めた。
「鈴音…おまえ…っ!」
「もう…やめて…っ!」
こんな…こんな亮平なんか見たくないっ!私は俯いて肩を震わせた。
「す、鈴音…」
亮平の狼狽する声が聞こえて来る。
「もう私に係わらないで…お願いします…」
顔をあげれば周りには大勢の人達から注目されている。
「お願い…これ以上私を惨めにさせないで…」
振り絞るようにそれだけ言うと、私は井上君を見た。
「加藤さん…」
「ごめんね…井上君…」
私は強引に井上君の腕を掴むと、亮平に言った。
「亮平。私の部屋にある物今度の日曜日に引っ越し屋さんが来るからその事お姉ちゃんに伝えて置いて」
「え…?何言ってるんだ?鈴音…」
亮平は呆然とした顔で私を見る。
「…」
だけど、私はそれには答えず、井上君の腕を引っ張った。
「行こう、井上君」
「あ、ああ…」
私は亮平をその場に残し、井上君の腕を取るとその場を後にした――
今日は早番。
そろそろ退勤時間になる頃、井上君と2人でビラ配りセットを倉庫で行っている時、不意に井上君が言った。
「加藤さん。今夜、良ければ一緒にお酒飲んで帰らない?」
「う~ん…。でもなあ…ちょっと節約しないといけないし…」
そう言えば職場の人達に引っ越しした事まだ告げていなかったっけ…。でも大好きなお姉ちゃんに追い出される形で家を出たから、正直あんまり引っ越しをした事を言いたくは無かったのが本音なんだけどね。
「ええ~…一緒に飲めると思ったのに。そ、そうだ!俺が奢るから…居酒屋行こうよ」
「え、それじゃ悪いよ。だって一人暮らししてるとお金かかるじゃない!奢って貰うなんて絶対出来ないってばっ!」
必死で断ると、井上君は明らかにがっかりした顔つきになる。
「ええ…そんな…」
ひょっとして井上君は私を元気づけようと思って飲みに誘ったのかな?
そこで私は閃いた。
「そうだ、なら宅飲みしない?」
「え?宅飲み…?」
「そう、私ね…実は1人暮らし始めたの。しかもここ、錦糸町で」
「え…ええっ?!まじで?!」
「そう、まじで。だから私の部屋で飲もうか。スーパーで缶チューハイ買って、おつまみ買って…そしたらずっと安上がりですむよ」
「えええっ?!だ、だけど…それは色々まずいんじゃ…」
井上君は真っ赤になって言う。
「別に私は構わないけど?どうする?家に来る?」
「い…行くっ!行くよっ!」
「それじゃ、決まりだね」
私はにっこり井上君に笑いかけた。
「あ、ああ。き、決まりだな」
井上君の顔は…耳まで真っ赤になっていた―。
****
そして午後6時―
「「お疲れさまでした~」」
井上君と2人、挨拶をして仲良く代理店を出た。
「ねえ、井上君は何飲むの?」
2人で並んで歩きながら駅前のスーパーを目指す。
「う~ん…やっぱり発泡酒か…缶チューハイかなあ…」
「うん、私と一緒だね。それじゃスーパーで発泡酒と缶チューハイ買って帰ろう?」
「あ、ああ!そうだなっ!」
そして私と井上君は大型スーパーに入ると、発泡酒と缶チューハイを8缶と、他に色々なお惣菜を買って、2人仲良くスーパーを出た時…。
「鈴音っ!」
突然大声で名前を呼ばれた。すると人込みに紛れてそこにはスーツ姿の亮平が立っていた。亮平はハアハアと肩で息をしている。
「え…?亮平…ど、どうしてここにいるの…?」
「か、加藤さん…」
井上君は心配そうに私を見ている。
「どうしても何も…お前が俺からの連絡を一方的に拒否したから、こうしてお前の職場の有る錦糸町までやってきたんだよっ!」
亮平は酷く怒りながら私に近付いてくる。すると、スッと井上君が私の前に立ちはだかった。
「おい、どけよ」
亮平はすごんで井上君に言う。
「嫌だね。彼女を怖がらせるような奴を近づけさせると思うか?」
井上君も酷く亮平に怒っているみたいだ。
「何?彼女…?」
亮平の眉がピクリと動き…次に吐き捨てるように言った。
「はんっ!やっぱりそう言う事か…。結局お前は男と暮らしたくて忍さんを捨てて家を出たんだろうっ?!やっぱりお前ってそういう女だったんだな?」
え…?そういう女?一体私は今までどんな目で亮平に見られていたの?私が何かいい返す前に井上君が言う。
「お前…!彼女を侮辱するなっ!」
「何だよ…お前、鈴音に遊ばれてるの知らないのか?鈴音にはなあ…他に男がいるんだぞ?」
「え…?加藤…さん…?」
井上君が驚いた顔で私を見る。
「嘘よっ!そんな人…いないからっ!」
亮平の言葉に私は反論した。
「嘘なもんか!この間…お前、忍さんとの約束を破って男と酒を飲んで帰って来て…家の前でキスしていただろう?」
「!」
井上君の顔が青ざめるのを私は見た。酷い…!こんな事…他の人の前で言うなんて…!
「りょ、亮平…!」
「とにかく、鈴音っ!お前に大事な話があるんだよ!」
亮平は井上君を押しのけて私の腕を強引に掴んできた。
「い、痛いっ!」
「おい!やめろっ!」
ついに井上君は我慢できなくなったのか亮平の肩を掴んで、私から亮平を引き剥がした。
「お、お前っ!」
亮平が井上君の胸倉を掴もうとしたので私は叫んだ。
「やめて!」
必死に亮平の腕を掴んで止めた。
「鈴音…おまえ…っ!」
「もう…やめて…っ!」
こんな…こんな亮平なんか見たくないっ!私は俯いて肩を震わせた。
「す、鈴音…」
亮平の狼狽する声が聞こえて来る。
「もう私に係わらないで…お願いします…」
顔をあげれば周りには大勢の人達から注目されている。
「お願い…これ以上私を惨めにさせないで…」
振り絞るようにそれだけ言うと、私は井上君を見た。
「加藤さん…」
「ごめんね…井上君…」
私は強引に井上君の腕を掴むと、亮平に言った。
「亮平。私の部屋にある物今度の日曜日に引っ越し屋さんが来るからその事お姉ちゃんに伝えて置いて」
「え…?何言ってるんだ?鈴音…」
亮平は呆然とした顔で私を見る。
「…」
だけど、私はそれには答えず、井上君の腕を引っ張った。
「行こう、井上君」
「あ、ああ…」
私は亮平をその場に残し、井上君の腕を取るとその場を後にした――