本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第5章 5 今日から居候
「ほら、ここが俺の部屋だよ」
ガチャリとドアを開けて隆司さんが先に中へ入る。
「さあ、鈴音も入って来いよ」
隆司さんはニコニコしながら言うけれども、玄関から見ただけで部屋の内装が豪華な事に驚き、私は固まってしまった。ここを通ってきただけでもまるでホテルのような作りに驚いているのに、部屋の中はもっと凄いことになっていた。木目の床はツルツルに磨き上げられ、玄関の靴箱は見上げるほどに背が高い。そして玄関からまっすぐに伸びた廊下の先には部屋が見え、大きな窓からは明るい日差しが降り注いでいる。
「お、お邪魔します…」
遠慮がちに上がろうとすると隆司さんが私を見下ろした。
「ストップ、鈴音。今、何て言った?」
「え…?お邪魔しますって言いましたけど?」
「お邪魔しますじゃないだろう?」
「え?それじゃ何て…?」
「俺たちは今日からここで一緒に暮らすんだからここはお邪魔しますじゃなくて、ただいまって言うんだろう?」
「ええ?!た、ただいまですかっ?!」
隆司さんのあまりの発言に驚いてしまった。
「あたりまえだろう?今日からここは俺と鈴音の家なんだから」
大真面目に言う隆司さん。でも…これではいけない。
「いえ…私は居候させてもらうだけですから…」
目を伏せて言うと、隆司さんは溜息をついた。
「分かったよ。なら鈴音は俺の居候だ。だけど、お邪魔しますはやめておけ。毎回お邪魔しますと言って入ってくるつもりか?」
「あ…」
言われてみれば、それはそれで違和感があるかもしれない。
「わ、分かりました。では、ただいまと言わせてもらいます…」
「よし、それじゃただいまって言ってみろよ」
隆司さんに言われて覚悟を決めた。
「た、ただいまっ!」
緊張のあまり声が上ずってしまい、変な『ただいま』になってしまったけど、隆司さんは嬉しそうに笑みを浮かべ、私の頭をなでた。
「お帰り、鈴音」
お帰り―
その言葉は私の心に優しく染み通っていった。こんな風に誰かに『お帰り』って言ってもらうの久しぶりだな…。
靴を脱いで玄関から室内へ入ると、さっそく隆司さんに部屋の案内やキッチン、お風呂の使い方を教わった。キッチンは今まで一度も使ったことも無いIHだったし、ディスポーザーも初体験だ。バスルームのテレビや、ジェットバスにミストサウナ。そのどれもがすごすぎて、私の頭はちっともおいつけない。広さ約30畳のLDKは壁の約半分は掃き出し窓になっていて、そこからは広々としたバルコニーに出られる。家具やテレビも全てピカピカでまるでモデルルームのようだった。
「す、すごすぎる…」
もうここは人が住む部屋じゃない。まるでショールームだ。茫然と立ち尽くしていると、背後から声をかけられた。
「鈴音、こっちへおいで」
「はい」
隆司さんに呼ばれて行った部屋は8畳間の空き部屋でウオークインクローゼットが完備されていた。この部屋もとてもゴージャスだった。
「今日からこの部屋を使うといい」
「ほ、本当にいいんですか?こんなすごい部屋を私が使っても…」
隆司さんを見上げながら尋ねる。
「当り前だろう?」
「いやいや…居候の意私には分不相応ですよ。私なんかの為に部屋を一つ渡すなんて。リビングで寝かせてもらうだけで充分ですから」
すると何故か隆司さんの目が険しくなる。
「隆司さん?」
「鈴音。私なんかの為…なんて自分を卑下した言い方をするな。俺にとっては唯一無二の存在なんだから」
「隆司さん…」
思わず見つめると、隆司さんは顔を赤らめた。
「鈴音。お腹空いたな。外へ何か食べに行こう」
そして隆司さんは足早に部屋を出て行った――
ガチャリとドアを開けて隆司さんが先に中へ入る。
「さあ、鈴音も入って来いよ」
隆司さんはニコニコしながら言うけれども、玄関から見ただけで部屋の内装が豪華な事に驚き、私は固まってしまった。ここを通ってきただけでもまるでホテルのような作りに驚いているのに、部屋の中はもっと凄いことになっていた。木目の床はツルツルに磨き上げられ、玄関の靴箱は見上げるほどに背が高い。そして玄関からまっすぐに伸びた廊下の先には部屋が見え、大きな窓からは明るい日差しが降り注いでいる。
「お、お邪魔します…」
遠慮がちに上がろうとすると隆司さんが私を見下ろした。
「ストップ、鈴音。今、何て言った?」
「え…?お邪魔しますって言いましたけど?」
「お邪魔しますじゃないだろう?」
「え?それじゃ何て…?」
「俺たちは今日からここで一緒に暮らすんだからここはお邪魔しますじゃなくて、ただいまって言うんだろう?」
「ええ?!た、ただいまですかっ?!」
隆司さんのあまりの発言に驚いてしまった。
「あたりまえだろう?今日からここは俺と鈴音の家なんだから」
大真面目に言う隆司さん。でも…これではいけない。
「いえ…私は居候させてもらうだけですから…」
目を伏せて言うと、隆司さんは溜息をついた。
「分かったよ。なら鈴音は俺の居候だ。だけど、お邪魔しますはやめておけ。毎回お邪魔しますと言って入ってくるつもりか?」
「あ…」
言われてみれば、それはそれで違和感があるかもしれない。
「わ、分かりました。では、ただいまと言わせてもらいます…」
「よし、それじゃただいまって言ってみろよ」
隆司さんに言われて覚悟を決めた。
「た、ただいまっ!」
緊張のあまり声が上ずってしまい、変な『ただいま』になってしまったけど、隆司さんは嬉しそうに笑みを浮かべ、私の頭をなでた。
「お帰り、鈴音」
お帰り―
その言葉は私の心に優しく染み通っていった。こんな風に誰かに『お帰り』って言ってもらうの久しぶりだな…。
靴を脱いで玄関から室内へ入ると、さっそく隆司さんに部屋の案内やキッチン、お風呂の使い方を教わった。キッチンは今まで一度も使ったことも無いIHだったし、ディスポーザーも初体験だ。バスルームのテレビや、ジェットバスにミストサウナ。そのどれもがすごすぎて、私の頭はちっともおいつけない。広さ約30畳のLDKは壁の約半分は掃き出し窓になっていて、そこからは広々としたバルコニーに出られる。家具やテレビも全てピカピカでまるでモデルルームのようだった。
「す、すごすぎる…」
もうここは人が住む部屋じゃない。まるでショールームだ。茫然と立ち尽くしていると、背後から声をかけられた。
「鈴音、こっちへおいで」
「はい」
隆司さんに呼ばれて行った部屋は8畳間の空き部屋でウオークインクローゼットが完備されていた。この部屋もとてもゴージャスだった。
「今日からこの部屋を使うといい」
「ほ、本当にいいんですか?こんなすごい部屋を私が使っても…」
隆司さんを見上げながら尋ねる。
「当り前だろう?」
「いやいや…居候の意私には分不相応ですよ。私なんかの為に部屋を一つ渡すなんて。リビングで寝かせてもらうだけで充分ですから」
すると何故か隆司さんの目が険しくなる。
「隆司さん?」
「鈴音。私なんかの為…なんて自分を卑下した言い方をするな。俺にとっては唯一無二の存在なんだから」
「隆司さん…」
思わず見つめると、隆司さんは顔を赤らめた。
「鈴音。お腹空いたな。外へ何か食べに行こう」
そして隆司さんは足早に部屋を出て行った――