本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第5章 6 お気に入りの店
「ここの定食屋さんは俺が気に入って良く来る店なんだ。今日はここで食事にしないか?」
繁華街に立ち並ぶ一軒の定食屋さんの前で隆司さんは足を止めた。その店は有名なチェーン店で私も名前は聞いたことがあった。
「へえ~。種類も豊富でおいしそうですね。それに値段もリーズナブルだし」
商品ケースに並べられたサンプルを見ながら返事をした。
「よし、それじゃさっそく中へ入ろう」
「はい」
隆司さんに促され、私たちは店の中へ入った。このお店は店内に券売機が置いてあり、先に食券を買うシステムになっている。
「鈴音は何を食べる?俺は生姜焼き定食にするつもりなんだけど」
券売機の前で隆司さんは私を振り返った。
「私は地鶏の親子丼がいいです」
すると隆司さんは目を細めた。
「やっぱり…鈴音は変わらないな。前から親子丼が好きだったものな」
「え…?」
まさか隆司さん…私の好きな食べ物覚えていたのかな?
「よし、親子丼…と」
すると隆司さんは私の目の前で券売機にお金を入れて食券を買ってしまった。
「あーっ!隆司さんっ!私の買っちゃったんですか?駄目ですよ、そんな事しちゃ!自分の分の会計位自分で払いますからっ!」
慌てて言うと隆司さんは笑った。
「これは鈴音へ俺からの引っ越し祝いだよ。さあ、あのテーブル席に行こうか?」
隆司さんは殆ど聞く耳を持たず、すたすたと一番奥のテーブル席へと移動し、席に着くと手招きで私を呼ぶ。
「ほら、鈴音。座って」
「は、はあ…」
私はおとなしく隆司さんが座るテーブル席に行くと着席した。
「鈴音は一番奥のテーブル席がいいんだよな?確か」
「はい、そうです」
私たちがテーブル席に着くとすぐに着物姿の女性店員さんが現れて食券を持って去って行った。
「鈴音。確か大きな荷物はレンタルボックスに預けてあるんだよな?」
「はい、そうです」
「そこにベッドも運んであるのか?」
「はい、ベッドも布団も預けています」
「そうか…それじゃ昼飯を食べたらレンタカーの店に行って幌付きの軽トラを借りよう」
隆司さんがさりげな異言葉に耳を疑う。
「え…ええっ?!隆司さんが運んでくれるんですかっ?!」
「ああ、引っ越し業者に頼めばお金も時間も無駄にかかる。だけどこちらで軽トラを借りて運べば予算も抑えられるし、すぐに部屋にベッドを運べるだろう?そうじゃなければ鈴音…今夜寝るときに困るじゃないか」
「確かにそうですが…」
でも、そこまでしてもらうには本当に申し訳なくてたまらない。
「あの…。隆司さん、ありがとうございます。でも申し訳ない気持ちでいっぱいです。私は何一つお礼をすることも出来ないのに…」
「鈴音…」
思わず項垂れると、ちょうどそこへ2人のメニューを持って先ほどの女性店員さんが現れた。
「お待たせいたしました」
そして私たちの前に出来立ての湯気が立ち上る料理が置かれる。
「旨そうだな。鈴音、冷めないうちに食べてしまおう」
「はい、いただきます」
親子丼には木製のさじがついている。早速親子丼をすくってふうふう冷ましながら口に運ぶ。
「おいしい。この卵、お出汁がしっかりきいていてすごくおいしいですっ!」
思わず顔をほころばせると、隆司さんは笑みを浮かべた。
「良かった。気に入ってもらえて。これからもたまに2人でこの店に来よう」
「はい、是非!」
そして私たちは食事を楽しんだ。
その後、食事を終えた私たちその足でレンタカー屋へ行き、幌付きの軽トラックを借りた。
「よし、鈴音。行くか?」
運転席に座った隆司さんが尋ねてくる。
「はい、準備OKです」
助手席に座り、シートベルトを締めると私は隆司さんに返事をした。
「よし、それじゃ出発しよう」
そして隆司さんはハンドルを握りしめると、アクセルを踏んだ――
繁華街に立ち並ぶ一軒の定食屋さんの前で隆司さんは足を止めた。その店は有名なチェーン店で私も名前は聞いたことがあった。
「へえ~。種類も豊富でおいしそうですね。それに値段もリーズナブルだし」
商品ケースに並べられたサンプルを見ながら返事をした。
「よし、それじゃさっそく中へ入ろう」
「はい」
隆司さんに促され、私たちは店の中へ入った。このお店は店内に券売機が置いてあり、先に食券を買うシステムになっている。
「鈴音は何を食べる?俺は生姜焼き定食にするつもりなんだけど」
券売機の前で隆司さんは私を振り返った。
「私は地鶏の親子丼がいいです」
すると隆司さんは目を細めた。
「やっぱり…鈴音は変わらないな。前から親子丼が好きだったものな」
「え…?」
まさか隆司さん…私の好きな食べ物覚えていたのかな?
「よし、親子丼…と」
すると隆司さんは私の目の前で券売機にお金を入れて食券を買ってしまった。
「あーっ!隆司さんっ!私の買っちゃったんですか?駄目ですよ、そんな事しちゃ!自分の分の会計位自分で払いますからっ!」
慌てて言うと隆司さんは笑った。
「これは鈴音へ俺からの引っ越し祝いだよ。さあ、あのテーブル席に行こうか?」
隆司さんは殆ど聞く耳を持たず、すたすたと一番奥のテーブル席へと移動し、席に着くと手招きで私を呼ぶ。
「ほら、鈴音。座って」
「は、はあ…」
私はおとなしく隆司さんが座るテーブル席に行くと着席した。
「鈴音は一番奥のテーブル席がいいんだよな?確か」
「はい、そうです」
私たちがテーブル席に着くとすぐに着物姿の女性店員さんが現れて食券を持って去って行った。
「鈴音。確か大きな荷物はレンタルボックスに預けてあるんだよな?」
「はい、そうです」
「そこにベッドも運んであるのか?」
「はい、ベッドも布団も預けています」
「そうか…それじゃ昼飯を食べたらレンタカーの店に行って幌付きの軽トラを借りよう」
隆司さんがさりげな異言葉に耳を疑う。
「え…ええっ?!隆司さんが運んでくれるんですかっ?!」
「ああ、引っ越し業者に頼めばお金も時間も無駄にかかる。だけどこちらで軽トラを借りて運べば予算も抑えられるし、すぐに部屋にベッドを運べるだろう?そうじゃなければ鈴音…今夜寝るときに困るじゃないか」
「確かにそうですが…」
でも、そこまでしてもらうには本当に申し訳なくてたまらない。
「あの…。隆司さん、ありがとうございます。でも申し訳ない気持ちでいっぱいです。私は何一つお礼をすることも出来ないのに…」
「鈴音…」
思わず項垂れると、ちょうどそこへ2人のメニューを持って先ほどの女性店員さんが現れた。
「お待たせいたしました」
そして私たちの前に出来立ての湯気が立ち上る料理が置かれる。
「旨そうだな。鈴音、冷めないうちに食べてしまおう」
「はい、いただきます」
親子丼には木製のさじがついている。早速親子丼をすくってふうふう冷ましながら口に運ぶ。
「おいしい。この卵、お出汁がしっかりきいていてすごくおいしいですっ!」
思わず顔をほころばせると、隆司さんは笑みを浮かべた。
「良かった。気に入ってもらえて。これからもたまに2人でこの店に来よう」
「はい、是非!」
そして私たちは食事を楽しんだ。
その後、食事を終えた私たちその足でレンタカー屋へ行き、幌付きの軽トラックを借りた。
「よし、鈴音。行くか?」
運転席に座った隆司さんが尋ねてくる。
「はい、準備OKです」
助手席に座り、シートベルトを締めると私は隆司さんに返事をした。
「よし、それじゃ出発しよう」
そして隆司さんはハンドルを握りしめると、アクセルを踏んだ――