本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます

第5章 10 朝のお仕事

翌朝―

ピピピピ・・・・

スマホにセットしたアラームが6時になって鳴り始めた。

「う~ん…」

ベッドから手を伸ばし、手探りでスマホを見つけるとアラームを止めた。そしてゴソゴソとベッドから起き上がり、目をごしごしと擦る。

「フワア・・・・良く寝た。うん、やっぱり本物の自分のベッドと布団は落ち着いて眠れるわ」

満足そうに頷き、早速通勤着に着替えると部屋から出た。しんと静まり返ったリビング。今日は日曜日だ。サービス業でない限り、普通のサラリーマンやOLさんの仕事は休み。

「きっと隆司さん・・・寝てるだろうな・・・」

私は隆司さんを起こさないように朝の準備を始めた。お米を研いで、炊飯ジャーにセットするとタイマーをかける。そして洗濯は同居する前の取り決めで、わたしは自分から洗濯係を申し出た。隆司さんはさすがに下着まではと躊躇したけれども、そんな事私はちっとも気にしない。

「よし、それじゃ次は洗濯だ」

バスルームへ向かい、洗濯籠の汚れ物を必要な分は洗濯ネットに入れて、洗濯機にほうりこむ。そこへ洗剤と柔軟剤をセットして蓋を閉めて、リモコン操作。

「よし、次は朝ごはんの準備」

キッチンへ向かうと昨日2人でスーパーに行って買って来た食材を並べた。

「お味噌汁は・・・豆腐と若芽でいいかな?」

鍋にお湯と出しの素を沸かして、乾燥若芽を投入してお湯が煮立ったらさいの目にカットした豆腐を入れて少し煮立てて味噌をとく。そしてレタスをちぎって、胡瓜とトマトをカットして小鉢にいれて、後は鮭を焼いて・・・。

「うん、こんなものかな?」

その時、丁度炊飯ジャーから御飯が炊ける音が鳴った。

「あ、丁度御飯も炊けた。」

時計を見ると7時になっている。

「う~ん・・・どうしよう・・・朝ごはん・・・今一緒に食べるかな?でも日曜日だし、引っ越しの手伝いもさせっちゃったしね。いいや、寝ててもらおう」

そう判断した私は1人、テーブルに着くと手を合わせた。

「いただきます」

そして朝食を食べ始めた――


 朝食後の後片付けを終えて、洗濯の様子を見に行くと、洗濯は終了していた。

「よし、それじゃ干そうかな」

洗濯機の蓋を開けて、かごに移した洗濯物をバルコニーへと運んだ。

「ふう・・・やっぱりタワマンてすごいな・・・」

余裕でバーベキューが出来そうな広さのバルコニーへ出ると、早速洗濯物を干し始めた。

「本当にすごいな・・・高い塀に囲まれてるからここだったら洗濯物や布団を干しても外からは見えない作りになってるんだから」

全ての洗濯物を終えて部屋に入って来ると、丁度隆司さんが自室から出てきた。

「あ、おはようございます。隆司さん」

元気よく挨拶すると、隆司さんが驚いた風に私を見た。

「あ、ああ!鈴音か・・・良かった…夢かと思った」

「え?夢?」

「ああ・・・そうなんだ。目が覚めたら部屋から鈴音の姿が消えていて、部屋の中の荷物も全部…」

「隆司さん…」

「でも夢で良かった。鈴音がこの部屋にいてくれて」

そして私を見てニッコリ笑った。

「そ、そうですよ。私・・・今は何所にも行く処が無いんですから」

「そうだよな?鈴音は・・・黙ってこの部屋からいなくなったりしないでくれるよな?」

「勿論ですよ。」

「よし、それじゃ顔洗って来ようかな」

私はバスルームへ向かった隆司さんの後姿を見送りながら思った。どうして隆司さんはそんな事を言うのだろう?ひょっとして以前にそういう過去があったのだろうか?

「・・・ま、いいか。私には何にも関係無いことだしね」

そして私は出勤の準備を再開した――
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