本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第6章 3 傷つく心とさらなる異変
「もしもし…うん。俺だよ。…え?今…うん。ちょっと知り合いと会ってるんだ。・・・・大丈夫だって。暗くなる前には必ず帰るから」
亮平がお姉ちゃんと電話で会話しているところを見たくなくて、俯き加減にキャラメルマキアートを飲んでいたのだけども…。
「・・・うん。俺も好きだよ。忍」
亮平の言葉が耳に飛び込んできた。え?今…忍って言ったの?それにお姉ちゃんの事…こんなお店の中で好きだよって言うなんて…。私は思わず顔をあげて亮平を見た。すると何故か亮平も私の事を見ていた。
「それじゃあ、また後で」
亮平はそれだけ言うと、電話を切って溜息をつくと私を見た。
「…何だよ鈴音。その目は…」
「あ…う、ううん。ちょっとだけ驚いちゃって」
言いながらドリンクを飲む。
「驚く?何に?」
亮平は座っているソファの背もたれに両腕を乗せると尋ねてきた。
「う、うん…お姉ちゃんの事いつの間にか呼び捨てにしていたから‥。でも考えてみれば当然だよね?だって2人は恋人同士なんだもの…ね」
段々語尾が小さくなってしまう。
「・・・・」
私のそんな様子を亮平は黙って見つめている。
「な、何?私…今、何か変な事言った?」
亮平の視線にいたたまれなくなった私は自分から視線をそらした。
「鈴音。その事なんだけど…あ、でもこれを先に報告した方がいいか」
「何?報告って?」
「ああ。いいか、落ち着いて聞けよ?実は忍の婚約者をひき逃げした犯人が捕まったんだ」
「えっ?!い、いつ?!」
あまりにも突然の話で驚いた。
「今から3か月ほど前だ。飲酒運転による接触事故で捕まった男がいたんだよ。そして警察で事情徴収している内に不審な点が見つかって…よくよく話を聞いてみるとその男…ひき逃げで人を殺していた。その人物が進さんだった」
「!」
亮平の話はまだ続く。
「その電話がかかってきた時、たまたま俺も一緒に家にいたんだ。忍…その電話を受けた直後に気を失ってしまって、次に目が覚めた時にはおかしくなっていた」
亮平は歯を食いしばるように言う。
「え?ちょっと待って。おかしくなった…って一体どういう意味なの?それにもともとお姉ちゃんは私が家を出た時からまともじゃなくなっていたんだよ?!」
「ああ…そうだったな。鈴音…あの時は本当にすまなかった。忍にきついこと言われて出て行ったんだろう?鈴音が出て行った後…俺がもう一度鈴音の事聞いたんだ。そしたら、言ったんだよ。鈴音に俺が取られるんじゃないかと思ってきつい事を言ったら…出て行かれてしまったって。全く・・そんな事絶対にあるはずないのに…。そう思わないか?鈴音」
亮平は苦笑した。
「う、うん。そ、そうだよ。そんな事…絶対にあるはずないのにね…」
胸が痛くて苦しい。心が引きちぎられそうだ。お姉ちゃんが私に亮平が取られる心配をしても亮平はそれを絶対にあるはずないと言い切ってしまえるんだ。それにお姉ちゃん…まだ嘘をついている。きつい事を言ったら出て行かれた?違うよね?出て行って欲しいから私を追い出したんでしょう?
「おい、鈴音。どうした?顔色が真っ青だぞ?やっぱり忍が心配なんだな?うん。分るよ。俺とお前にとって忍は大切な人だからな。勿論忍だって俺たちの事大切だって思ってくれてるけどな。なのに…あんなことになって…」
酷い耳鳴りがする。亮平の言葉が半分頭に入ってこない。少なくともお姉ちゃんにとって亮平は大切な人だろうけど私の事はもうそんなふうに思ってくれていないよ。きっと邪魔だって思ってるに違いない…。
思わず俯いた。
「鈴音、俺の話聞いてるのか?とにかく今忍が大変なんだよ。頼む!忍の為に力を貸してくれっ!俺1人だけじゃ無理なんだよっ!」
駄目だ、これ以上亮平の話を聞いていられない。心の傷がようやく少しずつ治りかけていたのに…またヒビが入りそうだ。その証拠に私の胸の中はまるで氷の塊を飲み込んだかのように冷たく冷え切っている。
ガタン
私は席を立った。
「おい?鈴音。どうしたんだ?急に立ち上がって」
「帰る…」
「帰るって?何言ってるんだよっ!大事な話はこれからだぞ?!」
「もう私には関係ないっ!お姉ちゃんの事は亮平が1人で解決してよっ!」
私は亮平の言葉を無視して大股でカフェを出た。すると追いかけてきた亮平に腕を掴まれてしまった。
「おい、逃げるのかよ?」
「逃げる?そんな事より…い、痛いからこの手を離してよ」
しかし亮平は私の言葉を無視して、掴む腕を離してくれない。
「ああ、そうだ。お前はたった1人きりの身内を見捨てて逃げようとしてるんだ」
亮平の腕を握る手の力が強まり、思わず痛みで顔が歪む。
「もう、どう取られても構わないっ!私に構わないでっ!」
「そんな事言わずに…頼む!助けてくれ…。忍…俺の事を進だと思ってるんだ…」
亮平の顔は今にも泣きそうに歪んでいた――
亮平がお姉ちゃんと電話で会話しているところを見たくなくて、俯き加減にキャラメルマキアートを飲んでいたのだけども…。
「・・・うん。俺も好きだよ。忍」
亮平の言葉が耳に飛び込んできた。え?今…忍って言ったの?それにお姉ちゃんの事…こんなお店の中で好きだよって言うなんて…。私は思わず顔をあげて亮平を見た。すると何故か亮平も私の事を見ていた。
「それじゃあ、また後で」
亮平はそれだけ言うと、電話を切って溜息をつくと私を見た。
「…何だよ鈴音。その目は…」
「あ…う、ううん。ちょっとだけ驚いちゃって」
言いながらドリンクを飲む。
「驚く?何に?」
亮平は座っているソファの背もたれに両腕を乗せると尋ねてきた。
「う、うん…お姉ちゃんの事いつの間にか呼び捨てにしていたから‥。でも考えてみれば当然だよね?だって2人は恋人同士なんだもの…ね」
段々語尾が小さくなってしまう。
「・・・・」
私のそんな様子を亮平は黙って見つめている。
「な、何?私…今、何か変な事言った?」
亮平の視線にいたたまれなくなった私は自分から視線をそらした。
「鈴音。その事なんだけど…あ、でもこれを先に報告した方がいいか」
「何?報告って?」
「ああ。いいか、落ち着いて聞けよ?実は忍の婚約者をひき逃げした犯人が捕まったんだ」
「えっ?!い、いつ?!」
あまりにも突然の話で驚いた。
「今から3か月ほど前だ。飲酒運転による接触事故で捕まった男がいたんだよ。そして警察で事情徴収している内に不審な点が見つかって…よくよく話を聞いてみるとその男…ひき逃げで人を殺していた。その人物が進さんだった」
「!」
亮平の話はまだ続く。
「その電話がかかってきた時、たまたま俺も一緒に家にいたんだ。忍…その電話を受けた直後に気を失ってしまって、次に目が覚めた時にはおかしくなっていた」
亮平は歯を食いしばるように言う。
「え?ちょっと待って。おかしくなった…って一体どういう意味なの?それにもともとお姉ちゃんは私が家を出た時からまともじゃなくなっていたんだよ?!」
「ああ…そうだったな。鈴音…あの時は本当にすまなかった。忍にきついこと言われて出て行ったんだろう?鈴音が出て行った後…俺がもう一度鈴音の事聞いたんだ。そしたら、言ったんだよ。鈴音に俺が取られるんじゃないかと思ってきつい事を言ったら…出て行かれてしまったって。全く・・そんな事絶対にあるはずないのに…。そう思わないか?鈴音」
亮平は苦笑した。
「う、うん。そ、そうだよ。そんな事…絶対にあるはずないのにね…」
胸が痛くて苦しい。心が引きちぎられそうだ。お姉ちゃんが私に亮平が取られる心配をしても亮平はそれを絶対にあるはずないと言い切ってしまえるんだ。それにお姉ちゃん…まだ嘘をついている。きつい事を言ったら出て行かれた?違うよね?出て行って欲しいから私を追い出したんでしょう?
「おい、鈴音。どうした?顔色が真っ青だぞ?やっぱり忍が心配なんだな?うん。分るよ。俺とお前にとって忍は大切な人だからな。勿論忍だって俺たちの事大切だって思ってくれてるけどな。なのに…あんなことになって…」
酷い耳鳴りがする。亮平の言葉が半分頭に入ってこない。少なくともお姉ちゃんにとって亮平は大切な人だろうけど私の事はもうそんなふうに思ってくれていないよ。きっと邪魔だって思ってるに違いない…。
思わず俯いた。
「鈴音、俺の話聞いてるのか?とにかく今忍が大変なんだよ。頼む!忍の為に力を貸してくれっ!俺1人だけじゃ無理なんだよっ!」
駄目だ、これ以上亮平の話を聞いていられない。心の傷がようやく少しずつ治りかけていたのに…またヒビが入りそうだ。その証拠に私の胸の中はまるで氷の塊を飲み込んだかのように冷たく冷え切っている。
ガタン
私は席を立った。
「おい?鈴音。どうしたんだ?急に立ち上がって」
「帰る…」
「帰るって?何言ってるんだよっ!大事な話はこれからだぞ?!」
「もう私には関係ないっ!お姉ちゃんの事は亮平が1人で解決してよっ!」
私は亮平の言葉を無視して大股でカフェを出た。すると追いかけてきた亮平に腕を掴まれてしまった。
「おい、逃げるのかよ?」
「逃げる?そんな事より…い、痛いからこの手を離してよ」
しかし亮平は私の言葉を無視して、掴む腕を離してくれない。
「ああ、そうだ。お前はたった1人きりの身内を見捨てて逃げようとしてるんだ」
亮平の腕を握る手の力が強まり、思わず痛みで顔が歪む。
「もう、どう取られても構わないっ!私に構わないでっ!」
「そんな事言わずに…頼む!助けてくれ…。忍…俺の事を進だと思ってるんだ…」
亮平の顔は今にも泣きそうに歪んでいた――