本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第6章 4 可愛そうな人
「え…?亮平…。今何て言ったの…?」
驚いた私は振り向いて亮平を見た。すると亮平は泣き笑いのような顔を浮かべる。
「良かった…鈴音。お、俺と・・忍さんを助けてくれるのか?」
「・・・・」
私は亮平の顔を見た。助ける?誰が誰を?むしろ助けて貰いたいのは私の方なのに…お姉ちゃんに家を追い出され、それなのに亮平はお姉ちゃんの言葉しか信じない…。
「…この手を離して」
「鈴音…っ」
「亮平・・私はね、お姉ちゃんにあの家を追い出されたんだよ?あの家を出て行かないと私の事嫌いになるからって…でも亮平は私の言葉なんか信じないんでしょう?」
「あ・・そ、それは…」
亮平の腕が緩んだので、私はその手を振り払うと亮平を見た。
「鈴音・・」
「今…きっと私がお姉ちゃんの前に現れたらもっと酷い事になるよ。だって、亮平の事・・進さんだと思ってるんでしょう?」
私は亮平に背を向けた。
「あ、ああ…そうなんだ。警察から連絡が入って気を失って・・目が覚めたらもう俺の事を進って男だと思っていた」
「それで進さんになり切る為にお姉ちゃんの事を呼び捨てで呼ぶようにしたの?」
「ああ」
そっか・・そう言う背景があったんだ…。
でも、考えてみれば亮平も可愛そうな人だ。だってあれ程大好きなお姉ちゃんに自分の事を認識して貰えず、進さんだと思われているんだから。それじゃあ、お姉ちゃんの中の亮平は一体何所へ行ってしまったのだろう?
私は亮平を見た。やつれた顔で俯くその姿を見ると胸が痛んだ。私ってやっぱり馬鹿だ。あんなに傷つけられても…それでも亮平の辛そうな顔を見ると胸が締め付けられるように苦しくなってくる。助けてあげたいって思ってしまう。だけど…。
「亮平…」
私は亮平を振り向く。
「お姉ちゃんに…私の事聞いてみて?妹の…鈴音って知ってるかって」
「鈴音…」
「お姉ちゃんの反応次第では…力になってあげてもいい。だけど少しでも私の名前を聞いて拒絶反応を示すようなら協力は出来ない。それでもいい?」
「あ、ああ。勿論だ」
亮平の顔に安堵の表情が浮かぶ。
「それじゃ私はもう行くね。亮平も早くお姉ちゃんの処へ戻ってあげて。きっと不安で寂しがってるかもしれないから」
「ああ、分かったよ。じゃあな」
亮平は笑顔で答えると、私の傍を駆け足で走り去って行く。
「亮平…」
思わず目に涙が滲む。亮平の視線の先にはいつもお姉ちゃんしかいなかった。例え私が目の前にいても、決して私を見てくれることは無い。
「亮平…私が今何所に住んでるのか…それすら興味が無いって事なんだよね・・?」
疲れた…家に帰って休もう…。ズキズキ痛む頭を押さえながら私はゆっくり歩いてタワーマンションへと向かった。
マンションのエントランスを通り抜け、エレベーターホールに行くと上のボタンを押す。少し待っているとエレベーターが1階に到着した。
チン
軽い音を立ててドアが開き、乗り込み、7のボタンを押すとドアはスーッとしまり、上へと昇ってゆく。
チン
7階に到着したエレベーターのドアが開かれ、私は無言で降りると701号室へと向かった。鍵を開けて扉を開けて私は息を飲んだ。そこには隆司さんの靴とロングブーツが並べられていたのだ。
そして…。
「あら?貴女は・・・?」
部屋の奥から女性が出てきた。その女性は…麻由里さんだった――
驚いた私は振り向いて亮平を見た。すると亮平は泣き笑いのような顔を浮かべる。
「良かった…鈴音。お、俺と・・忍さんを助けてくれるのか?」
「・・・・」
私は亮平の顔を見た。助ける?誰が誰を?むしろ助けて貰いたいのは私の方なのに…お姉ちゃんに家を追い出され、それなのに亮平はお姉ちゃんの言葉しか信じない…。
「…この手を離して」
「鈴音…っ」
「亮平・・私はね、お姉ちゃんにあの家を追い出されたんだよ?あの家を出て行かないと私の事嫌いになるからって…でも亮平は私の言葉なんか信じないんでしょう?」
「あ・・そ、それは…」
亮平の腕が緩んだので、私はその手を振り払うと亮平を見た。
「鈴音・・」
「今…きっと私がお姉ちゃんの前に現れたらもっと酷い事になるよ。だって、亮平の事・・進さんだと思ってるんでしょう?」
私は亮平に背を向けた。
「あ、ああ…そうなんだ。警察から連絡が入って気を失って・・目が覚めたらもう俺の事を進って男だと思っていた」
「それで進さんになり切る為にお姉ちゃんの事を呼び捨てで呼ぶようにしたの?」
「ああ」
そっか・・そう言う背景があったんだ…。
でも、考えてみれば亮平も可愛そうな人だ。だってあれ程大好きなお姉ちゃんに自分の事を認識して貰えず、進さんだと思われているんだから。それじゃあ、お姉ちゃんの中の亮平は一体何所へ行ってしまったのだろう?
私は亮平を見た。やつれた顔で俯くその姿を見ると胸が痛んだ。私ってやっぱり馬鹿だ。あんなに傷つけられても…それでも亮平の辛そうな顔を見ると胸が締め付けられるように苦しくなってくる。助けてあげたいって思ってしまう。だけど…。
「亮平…」
私は亮平を振り向く。
「お姉ちゃんに…私の事聞いてみて?妹の…鈴音って知ってるかって」
「鈴音…」
「お姉ちゃんの反応次第では…力になってあげてもいい。だけど少しでも私の名前を聞いて拒絶反応を示すようなら協力は出来ない。それでもいい?」
「あ、ああ。勿論だ」
亮平の顔に安堵の表情が浮かぶ。
「それじゃ私はもう行くね。亮平も早くお姉ちゃんの処へ戻ってあげて。きっと不安で寂しがってるかもしれないから」
「ああ、分かったよ。じゃあな」
亮平は笑顔で答えると、私の傍を駆け足で走り去って行く。
「亮平…」
思わず目に涙が滲む。亮平の視線の先にはいつもお姉ちゃんしかいなかった。例え私が目の前にいても、決して私を見てくれることは無い。
「亮平…私が今何所に住んでるのか…それすら興味が無いって事なんだよね・・?」
疲れた…家に帰って休もう…。ズキズキ痛む頭を押さえながら私はゆっくり歩いてタワーマンションへと向かった。
マンションのエントランスを通り抜け、エレベーターホールに行くと上のボタンを押す。少し待っているとエレベーターが1階に到着した。
チン
軽い音を立ててドアが開き、乗り込み、7のボタンを押すとドアはスーッとしまり、上へと昇ってゆく。
チン
7階に到着したエレベーターのドアが開かれ、私は無言で降りると701号室へと向かった。鍵を開けて扉を開けて私は息を飲んだ。そこには隆司さんの靴とロングブーツが並べられていたのだ。
そして…。
「あら?貴女は・・・?」
部屋の奥から女性が出てきた。その女性は…麻由里さんだった――