本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第6章 7 2人の過去
「俺と麻由里は同じ職場なんだ。2人共同期入社で研修の時から妙に気が合った。最初はただの友人だったんだ。飲み友達みたいな感じで…。それで研修期間が過ぎて、それぞれ各支店や部署に配属される時に告白されたんだ」
そして隆司さんはコーヒーに手を伸ばすと静かに飲んだ。
「…」
私は黙って隆司さんの話の続きを聞くことにした。
「告白された時は驚いたよ、俺は今まで1人の女性として恋愛対象で彼女を見たことは無かったから。気の合う同期仲間としてしか見ていなかったんだ」
「そうだったんですか?」
隆司さんの言葉が信じられなかった。麻由里さんはあんなに綺麗な人のに。隆司さんは恋愛対象として麻由里さんをみていなかったなんて…。
「麻由里は言ったんだ。もし…付き会えないなら、友人関係も終わりだって。俺は本当に麻由里とは気が合っていたから…だからき合う事にしたんだ」
「付き合って1年目で麻由里が同棲したいと言い始めて、それで2人でこのタワマンに住むことに決めたんだよ。実はここは俺の親戚が経営しているマンションだったから特別に破格の値段で借りる事が出来たんだ」
そっか。だから麻由里さんはここは隆司さんと自分のマンションだって言ったんだ。だったら、尚更私はもうこれ以上ここに住んでちゃいけない。だって本来ここは麻由里さんの居場所なんだから。
「だけど、同棲し始めてから2人の仲が噛みあわなくなってきて…俺も麻由里も出張が多い仕事だったから、下手をすれば一月位顔を合わせない日々が続いて…。生活スタイルも全然合わなかったし、正直に言うと…苦痛だった」
「隆司さん…」
隆司さんはコーヒーをグイッと飲み干した。
「そんな状態が半年ほど続いて、俺達は顔を合わせても挨拶もしないような冷めきった仲になっていた時、若手社員の海外研修の募集があって麻由里は俺に内緒で応募して選ばれたんだ。その事を知らされたのは社内掲示板だったから尚更驚いたよ」
「確かに…いきなりですね」
「それで、俺が麻由里に問い詰めたら、どうして一々俺に報告しないとならないんだって逆に責められて…麻由里の方から言われたんだ。もう自分達は終わりだと。そして麻由里はアメリカへ行った。こんな事、絶対に麻由里には話せないが正直、ほっとしたよ。ああ、これでやっと1人で静かに暮らせるって。煩わしい事から解放されたって」
「…」
その話を聞いて私は思った。やっぱり隆司さんは1人で暮らすのが好きなんだ。だったら尚更私はここを出て行かなくちゃ。すると隆司さんが顔を上げて私を見た。
「鈴音、今…何考えてるんだ」
「え…?」
「まさか…自分も早くここを出て行かないとって思ってるんじゃないのか?」
図星を差されて私は何も言えなくなってしまった。
「黙ってるって事はそうなんだな?」
「あ…」
思わず視線を逸らせると隆司さんは溜息をつく。
「鈴音は…別だ」
「え…?」
「鈴音は麻由里とは全然違う。鈴音といると心が休まるんだ。鈴音は自分では意識していないかもしれないけど、自然に気遣いが出来る。優しくて穏やかで…俺の理想の女性そのものなんだ」
「そ、そんな…買いかぶりすぎです。私はそんなに出来た人間じゃありませんから…」
理想の女性そのものと言われて顔が熱くなってしまい、思わずうつむく。
「だから麻由里とはうまくいかなかったんだ。全ては俺の責任なんだ。だけど麻由里はどういうつもりかは分からないが、戻って来た。だが…俺と麻由里はもう無理だ。2人は終わったんだよ。麻由里はここに住むことは無い。この部屋は俺と鈴音の部屋だ」
「隆司さん…」
「鈴音、出ていくなんて寂しい事言わないでくれ。ずっとここに…俺の傍にいてくれないか?」
そして隆司さんは席を立つと私の左に座り、ギュっと手を握りしめてきた――
そして隆司さんはコーヒーに手を伸ばすと静かに飲んだ。
「…」
私は黙って隆司さんの話の続きを聞くことにした。
「告白された時は驚いたよ、俺は今まで1人の女性として恋愛対象で彼女を見たことは無かったから。気の合う同期仲間としてしか見ていなかったんだ」
「そうだったんですか?」
隆司さんの言葉が信じられなかった。麻由里さんはあんなに綺麗な人のに。隆司さんは恋愛対象として麻由里さんをみていなかったなんて…。
「麻由里は言ったんだ。もし…付き会えないなら、友人関係も終わりだって。俺は本当に麻由里とは気が合っていたから…だからき合う事にしたんだ」
「付き合って1年目で麻由里が同棲したいと言い始めて、それで2人でこのタワマンに住むことに決めたんだよ。実はここは俺の親戚が経営しているマンションだったから特別に破格の値段で借りる事が出来たんだ」
そっか。だから麻由里さんはここは隆司さんと自分のマンションだって言ったんだ。だったら、尚更私はもうこれ以上ここに住んでちゃいけない。だって本来ここは麻由里さんの居場所なんだから。
「だけど、同棲し始めてから2人の仲が噛みあわなくなってきて…俺も麻由里も出張が多い仕事だったから、下手をすれば一月位顔を合わせない日々が続いて…。生活スタイルも全然合わなかったし、正直に言うと…苦痛だった」
「隆司さん…」
隆司さんはコーヒーをグイッと飲み干した。
「そんな状態が半年ほど続いて、俺達は顔を合わせても挨拶もしないような冷めきった仲になっていた時、若手社員の海外研修の募集があって麻由里は俺に内緒で応募して選ばれたんだ。その事を知らされたのは社内掲示板だったから尚更驚いたよ」
「確かに…いきなりですね」
「それで、俺が麻由里に問い詰めたら、どうして一々俺に報告しないとならないんだって逆に責められて…麻由里の方から言われたんだ。もう自分達は終わりだと。そして麻由里はアメリカへ行った。こんな事、絶対に麻由里には話せないが正直、ほっとしたよ。ああ、これでやっと1人で静かに暮らせるって。煩わしい事から解放されたって」
「…」
その話を聞いて私は思った。やっぱり隆司さんは1人で暮らすのが好きなんだ。だったら尚更私はここを出て行かなくちゃ。すると隆司さんが顔を上げて私を見た。
「鈴音、今…何考えてるんだ」
「え…?」
「まさか…自分も早くここを出て行かないとって思ってるんじゃないのか?」
図星を差されて私は何も言えなくなってしまった。
「黙ってるって事はそうなんだな?」
「あ…」
思わず視線を逸らせると隆司さんは溜息をつく。
「鈴音は…別だ」
「え…?」
「鈴音は麻由里とは全然違う。鈴音といると心が休まるんだ。鈴音は自分では意識していないかもしれないけど、自然に気遣いが出来る。優しくて穏やかで…俺の理想の女性そのものなんだ」
「そ、そんな…買いかぶりすぎです。私はそんなに出来た人間じゃありませんから…」
理想の女性そのものと言われて顔が熱くなってしまい、思わずうつむく。
「だから麻由里とはうまくいかなかったんだ。全ては俺の責任なんだ。だけど麻由里はどういうつもりかは分からないが、戻って来た。だが…俺と麻由里はもう無理だ。2人は終わったんだよ。麻由里はここに住むことは無い。この部屋は俺と鈴音の部屋だ」
「隆司さん…」
「鈴音、出ていくなんて寂しい事言わないでくれ。ずっとここに…俺の傍にいてくれないか?」
そして隆司さんは席を立つと私の左に座り、ギュっと手を握りしめてきた――