本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第6章 11 残酷な提案
「亮平…今の話本当なの…?」
『ああ、そうだけど?俺は忍と結婚したらお前たちの家で暮らすつもりでいたんだから』
亮平の言葉に声が震えてしまう。つまり、私は恋人同士の2人の姿を見せつけられながら…あの家で一緒に3人で暮らしていかなければいけないの?
そして2人が夫婦になった暁も、ずっと苦しい胸の内を抱えたまま?お姉ちゃんと亮平の仲睦まじい姿を目の当たりにして生きていかなければいけないの…?
そんな残酷な現実とても私には耐えられない。だって、こんなにも亮平の事が好きなのに、私は気持ちを伝える事も出来ないし、お姉ちゃんの為にも…3人の今の関係を壊さない為にも好きだと言う気持ちを悟られないように暮らしていかなければならないなんて。
お姉ちゃんと亮平の傍にいたら、いつか私が亮平を好きだと言う気持ちに気付かれてしまうかもしれない。私は自分の気持ちをコントロール出来るような人間じゃないし、そんなことが初めからできていれば、とっくに亮平の事を諦めることが出来たもの。なのに、みじめにも10年以上も私は亮平に報われない恋心を抱いている。これ以上亮平と話をしていたら、涙が出てしまいそうだ。
一度…気持ちを落ち着ける為に電話を切らせて貰おう。
「亮平、私が家に戻ることだけど…ちょっと色々考えたいことがあるから一度電話切らせて貰うね。また後で掛けなおす…。それでもいい?」
大丈夫、きっと今の私は自然な言葉で話せているはず。隆司さんには私の言葉…聞かれていないよね?
『うん?ああ別に俺は構わないけど?』
亮平の許可を貰えた。
「それじゃ…また後でね」
どこか外で亮平との電話の続きをしよう。そう想った私は電話を切った後、静かに自分の部屋へ行って上着を羽織った。そしてボディバックを肩から下げて、玄関をそっと出ようとしたとき…。
「鈴音、何所へ行くんだ?」
背後から隆司さんが声を掛けてきた。
「あ、あの、ちょっと買い物に…」
「買い物?何を買いに行くんだ?それに…今じゃないと駄目なのか?もう18時になろうとしているのに?」
当たり障りのない返事をしたばかりに隆司さんに追及されてしまう羽目になってしまった。
「そ、それは…じょ、女性にとって必要なものなんですっ!」
咄嗟に嘘をついてしまった。最初、隆司さんはぽかんとした顔をしていけども意味が分かったのか、途端に顔を赤らめた。
「そ、そうだったのか…ごめん、鈴音。しつこく尋ねてしまって。それじゃ、もう辺りは暗いから気を付けて買い物してこいよ」
隆司さんは私の髪に触れながら、優しい眼差しを向けてくる。私はそんな隆司さんの顔をじっと見つめた。本当に…自分でもどうかしてると思う。こんなにも私の事を大切に思ってくれる隆司さんを好きになれればいいのに…それでもお姉ちゃんにだけ優しく、私には塩対応しかしてくれない亮平の事が好きだなんて…。
「はい、では…行ってきます」
頭を下げると私はマンションを後にした。どこかカフェにでも入って、亮平に電話をかけよう…。
外に出て、見上げた夜空はまるで私の心をそっくりそのまま表したかのような、今にも泣きだしそうな重たい曇り空だった――
『ああ、そうだけど?俺は忍と結婚したらお前たちの家で暮らすつもりでいたんだから』
亮平の言葉に声が震えてしまう。つまり、私は恋人同士の2人の姿を見せつけられながら…あの家で一緒に3人で暮らしていかなければいけないの?
そして2人が夫婦になった暁も、ずっと苦しい胸の内を抱えたまま?お姉ちゃんと亮平の仲睦まじい姿を目の当たりにして生きていかなければいけないの…?
そんな残酷な現実とても私には耐えられない。だって、こんなにも亮平の事が好きなのに、私は気持ちを伝える事も出来ないし、お姉ちゃんの為にも…3人の今の関係を壊さない為にも好きだと言う気持ちを悟られないように暮らしていかなければならないなんて。
お姉ちゃんと亮平の傍にいたら、いつか私が亮平を好きだと言う気持ちに気付かれてしまうかもしれない。私は自分の気持ちをコントロール出来るような人間じゃないし、そんなことが初めからできていれば、とっくに亮平の事を諦めることが出来たもの。なのに、みじめにも10年以上も私は亮平に報われない恋心を抱いている。これ以上亮平と話をしていたら、涙が出てしまいそうだ。
一度…気持ちを落ち着ける為に電話を切らせて貰おう。
「亮平、私が家に戻ることだけど…ちょっと色々考えたいことがあるから一度電話切らせて貰うね。また後で掛けなおす…。それでもいい?」
大丈夫、きっと今の私は自然な言葉で話せているはず。隆司さんには私の言葉…聞かれていないよね?
『うん?ああ別に俺は構わないけど?』
亮平の許可を貰えた。
「それじゃ…また後でね」
どこか外で亮平との電話の続きをしよう。そう想った私は電話を切った後、静かに自分の部屋へ行って上着を羽織った。そしてボディバックを肩から下げて、玄関をそっと出ようとしたとき…。
「鈴音、何所へ行くんだ?」
背後から隆司さんが声を掛けてきた。
「あ、あの、ちょっと買い物に…」
「買い物?何を買いに行くんだ?それに…今じゃないと駄目なのか?もう18時になろうとしているのに?」
当たり障りのない返事をしたばかりに隆司さんに追及されてしまう羽目になってしまった。
「そ、それは…じょ、女性にとって必要なものなんですっ!」
咄嗟に嘘をついてしまった。最初、隆司さんはぽかんとした顔をしていけども意味が分かったのか、途端に顔を赤らめた。
「そ、そうだったのか…ごめん、鈴音。しつこく尋ねてしまって。それじゃ、もう辺りは暗いから気を付けて買い物してこいよ」
隆司さんは私の髪に触れながら、優しい眼差しを向けてくる。私はそんな隆司さんの顔をじっと見つめた。本当に…自分でもどうかしてると思う。こんなにも私の事を大切に思ってくれる隆司さんを好きになれればいいのに…それでもお姉ちゃんにだけ優しく、私には塩対応しかしてくれない亮平の事が好きだなんて…。
「はい、では…行ってきます」
頭を下げると私はマンションを後にした。どこかカフェにでも入って、亮平に電話をかけよう…。
外に出て、見上げた夜空はまるで私の心をそっくりそのまま表したかのような、今にも泣きだしそうな重たい曇り空だった――