本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第6章 19 話し合いの行方
「亮平、今のお姉ちゃんの状況って一体どうなってるの?」
亮平のあまりにもいつもと違う様子にお姉ちゃんのただ事ではない様子を何となく察した。
「鈴音、俺の話を聞いてくれるのか?」
亮平が縋るような目で私を見る。
「鈴音、やめろ。もうこの男の言う事もお姉さんの事も忘れろ。お前を不幸にするだけだ。俺なら…鈴音を幸せに出来る」
「隆司さん・・・。」
隆司さんが私の手を強く握りしめてきた。だけど・・・私は・・・。
「ごめんなさい、隆司さん…」
「鈴音?」
隆司さんの声が…少しだけ震えている。
「私は高校生の時に両親を亡くして…その後、ずっと姉が親代わりに私の面倒を見てくれたんです。だから私は姉を見捨てる事が出来ません。本当に…ごめんなさい」
私は隆司さんに頭を下げた。
「鈴音…」
隆司さんは絶望に満ちた顔で私を見た。
「お前は俺よりもこの男を…選ぶのか?」
「!別に…そんな大げさなものじゃなく…そう言う事じゃなくて、私はただ姉の様子が気になって…」
でも駄目だ。きっと何を言っても今の隆司さんには言い訳にしか聞こえないかもしれない。案の定、隆司さんは言った。
「鈴音。だけど今、お前が俺の言う事を聞いてくれないって言うのなら、つまりはその男を取るって事になるんだよ。どうして分ってくれないんだ?」
その言葉に今まで黙って様子を見ていた亮平が笑う。
「これで分っただろう?鈴音がお前よりどちらが大事かってこと」
「・・・」
すると隆司さんは黙って立ち上がった。
「隆司さん?」
「・・・俺はもう帰る。鈴音…お前の荷物はお前が休みの日に整理しに来ればいい。鍵は預けとくよ。ああ…でも、今夜は俺のマンションに戻るだろう?必要な荷物とか色々あるだろうしな」
「え…?」
「じゃあな…鈴音」
隆司さんはそれだけ言うと、フラフラと店を出て行ってしまった。私には彼を止める事が出来なかった。
「よし、話しも済んだことだし、取り合えず飲み物だけでも注文しよう。このまま店を出る訳にはいかないから。」
亮平は隆司さんが居なくなるとすぐに提案してきた。私は色々亮平に言いたい事はあったけど…今は何も話す気力も無かった――
家まではタクシーで行くことにした。2人で後部座席に座り、私は亮平に尋ねた。
「お姉ちゃんの今の具合、どうなの?」
「忍は今、また何も出来なくなってしまったんだ。家事も自分の身の回りの事も皆…。だから週に3回、家政婦を頼んでいるんだ」
「え?」
私は驚いて亮平を見た。
「忍…その家政婦の事を鈴音だと思ってるんだよ」
「え?私だと思ってるの…?」
そんなまさか…。私はギュッと手を握りしめた。
「ああ、家政婦の事を鈴音ちゃんて呼んでいるんだよ。時には優しく接する時もあるし…笑顔で棘のある言葉をぶつけてくる時もあるらしい」
そうか…だから、亮平もすっかり参ってしまったんだ…
「亮平。それってもう精神科に行くレベルなんじゃないの?どこかお医者さんを探して連れて行ってあげなくちゃ…」
私が言うと亮平はこちらを見た。
「だからだよ」
「え?」
「だから尚の事、鈴音にも協力して欲しいんだ。俺と一緒に良い精神科を探してくれないか?そして忍の面倒を見てやってくれ、頼むっ!」
「だから、前にも言ったでしょう?私はお姉ちゃんに冷たい言葉を投げつけられたから…あの家を出たって。」
「ああ、分かってるよ。ならこういうのはどうだ?お前はあの家の近くでアパートを探して借りればいい。そして忍の様子を見てやってくれよ。俺も協力するからさ?」
「亮平、そんなにすぐアパートが見つかるはず無いでしょう?無理言わないで」
すると亮平は暫く考え込んでいたが、笑顔になった。
「よし、なら俺の家にアパートが決まるまでは住めばいいんだ」
亮平はまた、とんでもないことを言い出して来た――
亮平のあまりにもいつもと違う様子にお姉ちゃんのただ事ではない様子を何となく察した。
「鈴音、俺の話を聞いてくれるのか?」
亮平が縋るような目で私を見る。
「鈴音、やめろ。もうこの男の言う事もお姉さんの事も忘れろ。お前を不幸にするだけだ。俺なら…鈴音を幸せに出来る」
「隆司さん・・・。」
隆司さんが私の手を強く握りしめてきた。だけど・・・私は・・・。
「ごめんなさい、隆司さん…」
「鈴音?」
隆司さんの声が…少しだけ震えている。
「私は高校生の時に両親を亡くして…その後、ずっと姉が親代わりに私の面倒を見てくれたんです。だから私は姉を見捨てる事が出来ません。本当に…ごめんなさい」
私は隆司さんに頭を下げた。
「鈴音…」
隆司さんは絶望に満ちた顔で私を見た。
「お前は俺よりもこの男を…選ぶのか?」
「!別に…そんな大げさなものじゃなく…そう言う事じゃなくて、私はただ姉の様子が気になって…」
でも駄目だ。きっと何を言っても今の隆司さんには言い訳にしか聞こえないかもしれない。案の定、隆司さんは言った。
「鈴音。だけど今、お前が俺の言う事を聞いてくれないって言うのなら、つまりはその男を取るって事になるんだよ。どうして分ってくれないんだ?」
その言葉に今まで黙って様子を見ていた亮平が笑う。
「これで分っただろう?鈴音がお前よりどちらが大事かってこと」
「・・・」
すると隆司さんは黙って立ち上がった。
「隆司さん?」
「・・・俺はもう帰る。鈴音…お前の荷物はお前が休みの日に整理しに来ればいい。鍵は預けとくよ。ああ…でも、今夜は俺のマンションに戻るだろう?必要な荷物とか色々あるだろうしな」
「え…?」
「じゃあな…鈴音」
隆司さんはそれだけ言うと、フラフラと店を出て行ってしまった。私には彼を止める事が出来なかった。
「よし、話しも済んだことだし、取り合えず飲み物だけでも注文しよう。このまま店を出る訳にはいかないから。」
亮平は隆司さんが居なくなるとすぐに提案してきた。私は色々亮平に言いたい事はあったけど…今は何も話す気力も無かった――
家まではタクシーで行くことにした。2人で後部座席に座り、私は亮平に尋ねた。
「お姉ちゃんの今の具合、どうなの?」
「忍は今、また何も出来なくなってしまったんだ。家事も自分の身の回りの事も皆…。だから週に3回、家政婦を頼んでいるんだ」
「え?」
私は驚いて亮平を見た。
「忍…その家政婦の事を鈴音だと思ってるんだよ」
「え?私だと思ってるの…?」
そんなまさか…。私はギュッと手を握りしめた。
「ああ、家政婦の事を鈴音ちゃんて呼んでいるんだよ。時には優しく接する時もあるし…笑顔で棘のある言葉をぶつけてくる時もあるらしい」
そうか…だから、亮平もすっかり参ってしまったんだ…
「亮平。それってもう精神科に行くレベルなんじゃないの?どこかお医者さんを探して連れて行ってあげなくちゃ…」
私が言うと亮平はこちらを見た。
「だからだよ」
「え?」
「だから尚の事、鈴音にも協力して欲しいんだ。俺と一緒に良い精神科を探してくれないか?そして忍の面倒を見てやってくれ、頼むっ!」
「だから、前にも言ったでしょう?私はお姉ちゃんに冷たい言葉を投げつけられたから…あの家を出たって。」
「ああ、分かってるよ。ならこういうのはどうだ?お前はあの家の近くでアパートを探して借りればいい。そして忍の様子を見てやってくれよ。俺も協力するからさ?」
「亮平、そんなにすぐアパートが見つかるはず無いでしょう?無理言わないで」
すると亮平は暫く考え込んでいたが、笑顔になった。
「よし、なら俺の家にアパートが決まるまでは住めばいいんだ」
亮平はまた、とんでもないことを言い出して来た――