本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第6章 23 抑えきれなかった涙
「母さん…何を言い出すんだ?」
おじさんはすっかり動揺しておばさんに話しかける。
「母さん、忍は今大変な時期なんだ。誰かが支えてやらないと…」
亮平が言うとおばさんはさらに言葉を続けた。
「支える?ええ、支えるのは結構よ?でもねえ、支えは結婚なんかしなくたって出来るでしょう?!どうして忍ちゃんなのよ?亮平より5歳も年上なのよ?!」
「お、おばさん…落ち着いて…」
私はすっかり困ってしまい、おばさんの前に回り込むと声を掛けた。
「鈴音ちゃん…そうよ、鈴音ちゃんよっ!私はねえ…鈴音ちゃんのような気立ての良い女の子なら、賛成するわ?!鈴音ちゃんは亮平と同い年だし…それが…どうして忍ちゃんなのよっ?!」
「そ、そうだ亮平。父さんも思っていた。どうして忍ちゃんを選ぶんだ?他にも別に女性ならいるだろう?鈴音ちゃんだって目の前にいるのに…」
おじさんまでとんでもない事を言って来た。私だって本当は尋ねたかった。どうしてお姉ちゃんなの?お姉ちゃんは亮平よりも5歳も年上なんだよって?でも、進さんが死んでしまって、悲しむお姉ちゃんを見るのが辛くて、お姉ちゃんの事を好きな亮平なら支えてくれると思ったから…。
「俺は、一度だって鈴音を女としてなんか見た事無いんだよっ!鈴音は俺にとって親友とか…兄妹のようにしか見る事が出来ないんだよ!そもそも俺にとって鈴音は恋愛対象外なんだっ!だけど…彼女は、忍さんは違う。ずっと俺の…憧れの存在だったんだから…!」
亮平はとうとう本心を口に出した。
それは、おじさんやおばさん、そして私にとっても決定的な言葉だった。そっか…やっぱり私は亮平から幼馴染としてしか見て貰えることは無いんだ。この先もずっと。どんなに亮平の事を思っても決して叶わない恋だと自分では分っていたけど、いざ目の前で本人の口から告げられると…正直言って辛い。
「りょ、亮平。お前そこまで…そこまでして忍ちゃんが好きなのか?」
「考え直すなら今よ?亮平っ!」
おじさんとおばさんは亮平に必死で説得を試みている。…こうなったのは私のせいだ。私が亮平にお姉ちゃんを支えて欲しくて、恋人になってあげてと頼んだから…。
「おじさん、おばさん、ごめんなさいっ!全部…全部私が悪いんですっ!」
私はおじさんとおばさんの前で頭を下げた。
「え…?鈴音ちゃん?どうしたんだ、一体?」
「そうよ、突然謝ってきたりして…何がごめんなさいなの?」
おじさんとおばさんが交互に尋ねて来る。
「わ、私が…亮平に頼んだんです。お姉ちゃんの恋人が轢き逃げされて死んでしまって、悲しむお姉ちゃんを見ていられなくて、お姉ちゃんの事を好きな亮平なら支えてくれるかと思って…私が亮平に頼んだんです。お姉ちゃんの恋人になってあげてって…。だから亮平は私の願いを叶えようと…ね?そうだよね?亮平」
私は泣きたい気持ちを必死にこらえながら亮平を見た。
「あ、ああ。そうだよ。鈴音からの申し出だったんだ」
「鈴音ちゃん…それは本当の話なのかい?」
おじさんは私を見た。
「はい、そうです。ごめんなさい…。亮平を巻き込んだのは私です。だから…責めるなら亮平じゃなくて、私を…」
「鈴音ちゃん…」
おばさんの顔は青ざめていた。
「おじさん、おばさん。お姉ちゃんの心の病は私が責任を持って良いお医者さんを見つけて元通りに治して見せます。だから…どうか、お姉ちゃんと亮平の事…認めてあげて下さい」
私は両手を床に付けて必死で頭を下げて懇願した。
だけど…辛い。こんなのあまりに辛すぎる。私は亮平が好きなのに、おじさんやおばさんにお姉ちゃんと亮平の事を認めてもらうようにこの先、私は2人の恋を成就させるために奔走しなくてはならないのだから。胸が苦しくて痛い。こんなにズキズキするのは心が傷ついているからなのかな?心が壊れる事が出来たなら…いっそ、お姉ちゃんじゃなくて私だったら良かったのに。そしたら亮平とお姉ちゃんが仲良く寄り添っていられたし、私はこれほどまでに傷つくことは無かったのだから。
ポタッ
あ…。
とうとう床に着いた私の手に堪えきれなくなった涙が落ちてしまった。
一度出てしまった涙は止ることを知らない。泣いちゃいけない、おじさんやおばさん、そして亮平を心配させたらいけないから…泣いちゃいけないのに…。私は声も出さずにポタポタと涙を流し始めた。声を殺して泣く…それが今の私に出来る精いっぱいの事だった。
おじさんとおばさん、そして亮平は突然泣き出した私を心配して、3人は必死で声を掛けてくれて…何となく、その場は丸く収まった。
ごめんなさい、おじさん、おばさん。そして亮平。
私は自分の言った言葉に責任を取らなくちゃいけないんだ。
お姉ちゃんを必ずもとのお姉ちゃんに戻す。
私はこの日、心に誓った――
おじさんはすっかり動揺しておばさんに話しかける。
「母さん、忍は今大変な時期なんだ。誰かが支えてやらないと…」
亮平が言うとおばさんはさらに言葉を続けた。
「支える?ええ、支えるのは結構よ?でもねえ、支えは結婚なんかしなくたって出来るでしょう?!どうして忍ちゃんなのよ?亮平より5歳も年上なのよ?!」
「お、おばさん…落ち着いて…」
私はすっかり困ってしまい、おばさんの前に回り込むと声を掛けた。
「鈴音ちゃん…そうよ、鈴音ちゃんよっ!私はねえ…鈴音ちゃんのような気立ての良い女の子なら、賛成するわ?!鈴音ちゃんは亮平と同い年だし…それが…どうして忍ちゃんなのよっ?!」
「そ、そうだ亮平。父さんも思っていた。どうして忍ちゃんを選ぶんだ?他にも別に女性ならいるだろう?鈴音ちゃんだって目の前にいるのに…」
おじさんまでとんでもない事を言って来た。私だって本当は尋ねたかった。どうしてお姉ちゃんなの?お姉ちゃんは亮平よりも5歳も年上なんだよって?でも、進さんが死んでしまって、悲しむお姉ちゃんを見るのが辛くて、お姉ちゃんの事を好きな亮平なら支えてくれると思ったから…。
「俺は、一度だって鈴音を女としてなんか見た事無いんだよっ!鈴音は俺にとって親友とか…兄妹のようにしか見る事が出来ないんだよ!そもそも俺にとって鈴音は恋愛対象外なんだっ!だけど…彼女は、忍さんは違う。ずっと俺の…憧れの存在だったんだから…!」
亮平はとうとう本心を口に出した。
それは、おじさんやおばさん、そして私にとっても決定的な言葉だった。そっか…やっぱり私は亮平から幼馴染としてしか見て貰えることは無いんだ。この先もずっと。どんなに亮平の事を思っても決して叶わない恋だと自分では分っていたけど、いざ目の前で本人の口から告げられると…正直言って辛い。
「りょ、亮平。お前そこまで…そこまでして忍ちゃんが好きなのか?」
「考え直すなら今よ?亮平っ!」
おじさんとおばさんは亮平に必死で説得を試みている。…こうなったのは私のせいだ。私が亮平にお姉ちゃんを支えて欲しくて、恋人になってあげてと頼んだから…。
「おじさん、おばさん、ごめんなさいっ!全部…全部私が悪いんですっ!」
私はおじさんとおばさんの前で頭を下げた。
「え…?鈴音ちゃん?どうしたんだ、一体?」
「そうよ、突然謝ってきたりして…何がごめんなさいなの?」
おじさんとおばさんが交互に尋ねて来る。
「わ、私が…亮平に頼んだんです。お姉ちゃんの恋人が轢き逃げされて死んでしまって、悲しむお姉ちゃんを見ていられなくて、お姉ちゃんの事を好きな亮平なら支えてくれるかと思って…私が亮平に頼んだんです。お姉ちゃんの恋人になってあげてって…。だから亮平は私の願いを叶えようと…ね?そうだよね?亮平」
私は泣きたい気持ちを必死にこらえながら亮平を見た。
「あ、ああ。そうだよ。鈴音からの申し出だったんだ」
「鈴音ちゃん…それは本当の話なのかい?」
おじさんは私を見た。
「はい、そうです。ごめんなさい…。亮平を巻き込んだのは私です。だから…責めるなら亮平じゃなくて、私を…」
「鈴音ちゃん…」
おばさんの顔は青ざめていた。
「おじさん、おばさん。お姉ちゃんの心の病は私が責任を持って良いお医者さんを見つけて元通りに治して見せます。だから…どうか、お姉ちゃんと亮平の事…認めてあげて下さい」
私は両手を床に付けて必死で頭を下げて懇願した。
だけど…辛い。こんなのあまりに辛すぎる。私は亮平が好きなのに、おじさんやおばさんにお姉ちゃんと亮平の事を認めてもらうようにこの先、私は2人の恋を成就させるために奔走しなくてはならないのだから。胸が苦しくて痛い。こんなにズキズキするのは心が傷ついているからなのかな?心が壊れる事が出来たなら…いっそ、お姉ちゃんじゃなくて私だったら良かったのに。そしたら亮平とお姉ちゃんが仲良く寄り添っていられたし、私はこれほどまでに傷つくことは無かったのだから。
ポタッ
あ…。
とうとう床に着いた私の手に堪えきれなくなった涙が落ちてしまった。
一度出てしまった涙は止ることを知らない。泣いちゃいけない、おじさんやおばさん、そして亮平を心配させたらいけないから…泣いちゃいけないのに…。私は声も出さずにポタポタと涙を流し始めた。声を殺して泣く…それが今の私に出来る精いっぱいの事だった。
おじさんとおばさん、そして亮平は突然泣き出した私を心配して、3人は必死で声を掛けてくれて…何となく、その場は丸く収まった。
ごめんなさい、おじさん、おばさん。そして亮平。
私は自分の言った言葉に責任を取らなくちゃいけないんだ。
お姉ちゃんを必ずもとのお姉ちゃんに戻す。
私はこの日、心に誓った――