本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第7章 1 新たな門出?
私がお姉ちゃんを元に戻す…その決心を固めてから1週間ほどの時間が経過していた。あの日、私は結局隆司さんのいるマンションには戻らなかった。
泣き疲れて眠っているお姉ちゃんにばれないように家に入って、まだほんの僅か残っていた自分の衣類を持つと、職場近くのビジネスホテルに泊まった。おじさん、おばさん、そして亮平からは家に泊まるように言われたけど、泊まらなかった。泊まれるはずが無かった。
そして今、私はまだ隆司さんのマンションに住まわせて貰っていた…。
朝6時―
ピピピピ…
スマホにセットしていた目覚ましが鳴って起床の知らせを告げる。
「う~ん…」
ゴソゴソとベッドの中で身じろぎした私はむくりと起き上がると、ベッドサイドに置かれたスマホのアラームを止めると目を擦った。
「もう朝か…。今日はクリスマスイブ…。隆司さんが出張から帰って来る日…」
呟くとため息をついた。
あの日…隆司さんの待つマンションへは戻らず、ビジネスホテルへ泊まった私は隆司さんに謝罪した。ごめんなさい、マンションへは戻れませんと。隆司さんはショックを受けて始めは言葉を発してくれなかったけど、間を空けてから分ったよと言ってくれた。そして明日から1週間ほどの出張に行くから気兼ねしないでマンションで暮らしてくれて構わないと言ってくれた。
「・・・」
私は今までお世話なって、すっかり段ボールだらけになった部屋を見渡した。
とりあえず私は何とかギリギリではあったけどもJR総武線の『新小岩』駅で比較的安値なワンルームマンションを見つけて、今日からそこへ移り住むことになっている。本当は職場のある『錦糸町』で物件を探していたけれども家賃相場がちょっと高くて今の私では無理だったから。
保証人は亮平のおじさんがなってくれたし、敷金礼金も間に合ったし、会社からの家賃補助も受けられる。そして今日はいよいよ引っ越しの日なので、仕事はお休み。
「さて、掃除始めようかな?」
そして私は腕まくりをすると、さっそく窓を開けてはたきを掛け始めた――
朝10時
ピンポーン
タワマンの部屋のチャイムが鳴る。
「はーい」
急いでリビングにあるモニターへ向かうと、そこには引っ越し業者さんが立っていた。
『おはようございます、本日引っ越しされる加藤さんはこちらのお宅でよろしいでしょうか?』
「はい、そうです。今入口の鍵を解除しますね。」
番号を操作するとドアが開くと引っ越し業者の人が、ありがとうございますとお礼を述べてきた。
『それではこれから伺いますね』
「はい、よろしくお願いします」
そして私はモニターを切ると呟いた。
「・・・急がなくちゃ…」
****
午後3時―
「ありがとうございました」
新しく住むワンルームマンションに全ての家具が運ばれると私は引っ越し業者の人達にお礼を述べた。
「あの、これ…良かったら皆さんでどうぞ」
今日私の引っ越しを手伝ってくれた引っ越し業者の人は3人の若い男の人達。その人たちの為に用意した栄養ドリンクとどら焼きをコンビニの袋に入れて、一番年若い男性に手渡した。
「え?!お客さん…これを俺達にくれるんですか?!」
コンビニの袋を受け取ったユニフォーム姿の男性は目を輝かせて私を見た。他の社員の人達は既にトラックで待機している。
「はい、お忙しい時期に本当に助かりました。ありがとうございます」
すると男性は顔を真っ赤に染めた。
「実は俺…今年入社1年目なんですよ。お客さんが初めてです。こんな風に差仕入れをくれたの。何か嬉しいです。この仕事に就いて良かったなって今初めて思いました」
「そうなんですか?入社1年目って私と一緒ですね。お互い、それぞれの仕事がんばりましょうね?」
「はいっ!」
その男性は笑顔で答えると、頭を下げて去って行った―。
「さて、後は電気工事の人を待たないと…」
これからエアコン業者と電機会社の人がやって来る事になっている。
そして私は再び黙々と引っ越し作業を再開した――
泣き疲れて眠っているお姉ちゃんにばれないように家に入って、まだほんの僅か残っていた自分の衣類を持つと、職場近くのビジネスホテルに泊まった。おじさん、おばさん、そして亮平からは家に泊まるように言われたけど、泊まらなかった。泊まれるはずが無かった。
そして今、私はまだ隆司さんのマンションに住まわせて貰っていた…。
朝6時―
ピピピピ…
スマホにセットしていた目覚ましが鳴って起床の知らせを告げる。
「う~ん…」
ゴソゴソとベッドの中で身じろぎした私はむくりと起き上がると、ベッドサイドに置かれたスマホのアラームを止めると目を擦った。
「もう朝か…。今日はクリスマスイブ…。隆司さんが出張から帰って来る日…」
呟くとため息をついた。
あの日…隆司さんの待つマンションへは戻らず、ビジネスホテルへ泊まった私は隆司さんに謝罪した。ごめんなさい、マンションへは戻れませんと。隆司さんはショックを受けて始めは言葉を発してくれなかったけど、間を空けてから分ったよと言ってくれた。そして明日から1週間ほどの出張に行くから気兼ねしないでマンションで暮らしてくれて構わないと言ってくれた。
「・・・」
私は今までお世話なって、すっかり段ボールだらけになった部屋を見渡した。
とりあえず私は何とかギリギリではあったけどもJR総武線の『新小岩』駅で比較的安値なワンルームマンションを見つけて、今日からそこへ移り住むことになっている。本当は職場のある『錦糸町』で物件を探していたけれども家賃相場がちょっと高くて今の私では無理だったから。
保証人は亮平のおじさんがなってくれたし、敷金礼金も間に合ったし、会社からの家賃補助も受けられる。そして今日はいよいよ引っ越しの日なので、仕事はお休み。
「さて、掃除始めようかな?」
そして私は腕まくりをすると、さっそく窓を開けてはたきを掛け始めた――
朝10時
ピンポーン
タワマンの部屋のチャイムが鳴る。
「はーい」
急いでリビングにあるモニターへ向かうと、そこには引っ越し業者さんが立っていた。
『おはようございます、本日引っ越しされる加藤さんはこちらのお宅でよろしいでしょうか?』
「はい、そうです。今入口の鍵を解除しますね。」
番号を操作するとドアが開くと引っ越し業者の人が、ありがとうございますとお礼を述べてきた。
『それではこれから伺いますね』
「はい、よろしくお願いします」
そして私はモニターを切ると呟いた。
「・・・急がなくちゃ…」
****
午後3時―
「ありがとうございました」
新しく住むワンルームマンションに全ての家具が運ばれると私は引っ越し業者の人達にお礼を述べた。
「あの、これ…良かったら皆さんでどうぞ」
今日私の引っ越しを手伝ってくれた引っ越し業者の人は3人の若い男の人達。その人たちの為に用意した栄養ドリンクとどら焼きをコンビニの袋に入れて、一番年若い男性に手渡した。
「え?!お客さん…これを俺達にくれるんですか?!」
コンビニの袋を受け取ったユニフォーム姿の男性は目を輝かせて私を見た。他の社員の人達は既にトラックで待機している。
「はい、お忙しい時期に本当に助かりました。ありがとうございます」
すると男性は顔を真っ赤に染めた。
「実は俺…今年入社1年目なんですよ。お客さんが初めてです。こんな風に差仕入れをくれたの。何か嬉しいです。この仕事に就いて良かったなって今初めて思いました」
「そうなんですか?入社1年目って私と一緒ですね。お互い、それぞれの仕事がんばりましょうね?」
「はいっ!」
その男性は笑顔で答えると、頭を下げて去って行った―。
「さて、後は電気工事の人を待たないと…」
これからエアコン業者と電機会社の人がやって来る事になっている。
そして私は再び黙々と引っ越し作業を再開した――