本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第7章 2 イブの夜
夜7時―
「ふう…大体片付いたかな?やっぱり多少相場よりも少し家賃が高めだけど、駅チカで収納スペースが多いから、ここに決めて良かった」
思わず笑みがこぼれてしまう。8畳のワンルームマンション。収納スペースが多いので、タンスやチェストを持ち運ぶ必要が無かったのでこのマンションで必要ない家具はリサイクショップで処分することが出来た。そしてその浮いた分を家具・家電の購入費に充てる事が出来たしね。
「でも、これでやっと人の住む部屋になんとかなったかな~」
フローリングの床の上に敷いた無地のアイボリーカラーのラグマットにゴロンと横になった途端…。
ピンポーン
マンションのインターホンが鳴った。
「え?誰っ?!」
驚いてガバッと飛び起きる私。ひょっとしてお隣さんかな?引っ越し作業うるさかったかな?私の部屋は3階建てのマンションの3階、一番左側の角部屋だから、とりあえずお隣さんともう1件先のお隣さんには挨拶をしに行ったけど…ひょっとして下の階の人?うるさくしちゃったかな?などと思いつつ玄関のドアアイを覗いて驚いた。何と玄関前に立っていたのは亮平だったから。しかも両手には何やら大きな紙袋をぶらさげている。
「え?どうして亮平がここに?!」
慌ててマンションの鍵を外してドアをガチャリと開ける。
「よおっ、鈴音」
亮平は紺色のダウンジャケットにグレーのマフラーを羽織って白い息を吐きながらそこに立っていた。
「亮平…どうしてここに」
まさか今夜はクリスマスイブだから私に会いに来てくれたのかな?期待に胸膨らませて亮平の顔を見た。
「ああ、今夜はクリスマスイブだろう?」
「う、うん。確かにクリスマスイブだね」
動揺を抑えつつ、次の亮平の言葉を待った。
「だからさ、母さんが鈴音にクリスマスの料理を作ったから持って行ってやれって預かってきたんだよ」
言いながら亮平はズイッと私の前に紙袋を差し出してきた。
「あ、ありがとう…」
紙袋を預かるとずっしりと重みを感じる。
「中身はチキンの照り焼きとポテトサラダにパスタだって言ってたぞ。あ、ついでにシャンパン俺が買ってきてやった」
「そうなの?すごいごちそうだね。おばさん、料理得意だったものね」
「ああ、調理師免許持っているいからな」
「それじゃ、と言うわけで。俺‥帰るわ」
亮平は私にくるりと背を向けると立ち去ろうとする。
「え?あ、あの。折角わざわざここまで来てくれたんだから、少し上がっていけば?コーヒーぐらいなら用意出来るよ?」
慌てて声を掛けると亮平が振り向いた。
「バッカだな、鈴音」
「え?」
「今夜はクリスマスイブだろう?いくら今夜、家政婦が来ているからって恋人を1人にしておくわけにはいかないだろう?」
亮平はニヤリと笑う。
「う、うん…。確かにそうだね…」
ズキリと痛む胸に気付かないふりをして私は頷いた。
「だからさ、父さんと母さんには鈴音と一緒に料理を食べたことにしておいてくれよ。頼む」
亮平がパンと手を叩くと頭を下げてきた。
「え…?それってもしかしておじさんとおばさんには私と一緒にこの料理食べてくるように言われたの?じゃあ2人分あるって事?」
「ああ、そうだよ。でも俺が今ここで鈴音と一緒に食べて行ったら料理が余らないだろう?1人暮らしする鈴音にとっては明日の分まで食事が残っていたほうがいいんじゃないのか?」
「う、うん。確かにそうだけど…」
「よし、それじゃ俺帰るからな。何か父さんや母さんに聞かれたら適当に答えておいてくれよ」
「う、うん。分かった…よ」
何とか笑みを浮かべて返事をすると、亮平は嬉しそうに手を振って帰って行った。
バタン
ドアが閉じられた途端部屋の中がシンと静まり返る。
「引っ越しで忙しかったけど…ケーキぐらいは用意しておけば良かったかな」
そうすれば、少しは亮平を引き留められたかもしれないのに…。
私は溜息をついて、紙袋を覗き込んだ――
「ふう…大体片付いたかな?やっぱり多少相場よりも少し家賃が高めだけど、駅チカで収納スペースが多いから、ここに決めて良かった」
思わず笑みがこぼれてしまう。8畳のワンルームマンション。収納スペースが多いので、タンスやチェストを持ち運ぶ必要が無かったのでこのマンションで必要ない家具はリサイクショップで処分することが出来た。そしてその浮いた分を家具・家電の購入費に充てる事が出来たしね。
「でも、これでやっと人の住む部屋になんとかなったかな~」
フローリングの床の上に敷いた無地のアイボリーカラーのラグマットにゴロンと横になった途端…。
ピンポーン
マンションのインターホンが鳴った。
「え?誰っ?!」
驚いてガバッと飛び起きる私。ひょっとしてお隣さんかな?引っ越し作業うるさかったかな?私の部屋は3階建てのマンションの3階、一番左側の角部屋だから、とりあえずお隣さんともう1件先のお隣さんには挨拶をしに行ったけど…ひょっとして下の階の人?うるさくしちゃったかな?などと思いつつ玄関のドアアイを覗いて驚いた。何と玄関前に立っていたのは亮平だったから。しかも両手には何やら大きな紙袋をぶらさげている。
「え?どうして亮平がここに?!」
慌ててマンションの鍵を外してドアをガチャリと開ける。
「よおっ、鈴音」
亮平は紺色のダウンジャケットにグレーのマフラーを羽織って白い息を吐きながらそこに立っていた。
「亮平…どうしてここに」
まさか今夜はクリスマスイブだから私に会いに来てくれたのかな?期待に胸膨らませて亮平の顔を見た。
「ああ、今夜はクリスマスイブだろう?」
「う、うん。確かにクリスマスイブだね」
動揺を抑えつつ、次の亮平の言葉を待った。
「だからさ、母さんが鈴音にクリスマスの料理を作ったから持って行ってやれって預かってきたんだよ」
言いながら亮平はズイッと私の前に紙袋を差し出してきた。
「あ、ありがとう…」
紙袋を預かるとずっしりと重みを感じる。
「中身はチキンの照り焼きとポテトサラダにパスタだって言ってたぞ。あ、ついでにシャンパン俺が買ってきてやった」
「そうなの?すごいごちそうだね。おばさん、料理得意だったものね」
「ああ、調理師免許持っているいからな」
「それじゃ、と言うわけで。俺‥帰るわ」
亮平は私にくるりと背を向けると立ち去ろうとする。
「え?あ、あの。折角わざわざここまで来てくれたんだから、少し上がっていけば?コーヒーぐらいなら用意出来るよ?」
慌てて声を掛けると亮平が振り向いた。
「バッカだな、鈴音」
「え?」
「今夜はクリスマスイブだろう?いくら今夜、家政婦が来ているからって恋人を1人にしておくわけにはいかないだろう?」
亮平はニヤリと笑う。
「う、うん…。確かにそうだね…」
ズキリと痛む胸に気付かないふりをして私は頷いた。
「だからさ、父さんと母さんには鈴音と一緒に料理を食べたことにしておいてくれよ。頼む」
亮平がパンと手を叩くと頭を下げてきた。
「え…?それってもしかしておじさんとおばさんには私と一緒にこの料理食べてくるように言われたの?じゃあ2人分あるって事?」
「ああ、そうだよ。でも俺が今ここで鈴音と一緒に食べて行ったら料理が余らないだろう?1人暮らしする鈴音にとっては明日の分まで食事が残っていたほうがいいんじゃないのか?」
「う、うん。確かにそうだけど…」
「よし、それじゃ俺帰るからな。何か父さんや母さんに聞かれたら適当に答えておいてくれよ」
「う、うん。分かった…よ」
何とか笑みを浮かべて返事をすると、亮平は嬉しそうに手を振って帰って行った。
バタン
ドアが閉じられた途端部屋の中がシンと静まり返る。
「引っ越しで忙しかったけど…ケーキぐらいは用意しておけば良かったかな」
そうすれば、少しは亮平を引き留められたかもしれないのに…。
私は溜息をついて、紙袋を覗き込んだ――