本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第7章 3 訳の分からない気持ち
「はぁ~…引越し初日に空しいクリスマスだな…」
ため息をつきながらコンビニへ向かって歩く私。実は今日は1人のクリスマスイブを過ごす事になりそうだったから、友達や同期の真理ちゃんに声を掛けてみたものの、全員が彼氏とデートだと言う事で、誰一人捕まえられなかった。
「それにしても意外。まさか萌ちゃんが同期の佐々木君と交際始めたなんて…」
ガーッと目の前でコンビニの自動ドアが開き、ぼんやりしていた私は入口で男の人にぶつかってしまった。
ドサドサッ!!
そのはずみで男の人の手からコンビニの袋の中身が床に落ちてしまった。
「あっ!す、すみませんっ!」
床に落ちた品物はカップ麺やらスナックだった。慌てて拾い上げて見上げると、じっと男の人は私の事を見つめている。その人は私と同じ年くらいの年齢に見えた。
「すみませんでした。ぼんやりしていたもので、あの…これ、どうぞ」
拾い上げた荷物を男性に手渡そうとすると、その人は口を開いた。
「お客様じゃないですか」
「え…?」
「あ…そうか、ユニフォームに帽子をかぶっていないから分らないか…。俺、さっきの運送会社の者ですよ」
そして男性はニッコリと笑った―。
それから20分後―
「はい、どうぞ」
コンビニで買ったショートケーキを、同じくコンビニで買ったラップで包んで私は目の前にいる男性…川口さんに渡した。
「ありがとうございます」
川口さんは嬉しそうにケーキを受け取るとお礼を言って来た。
「それじゃ、半分ケーキのお金払いますよ」
川口さんが上着のポケットに手を突っ込んだ。
「いいんですよ、ケーキ2個あって困っていたので、貰ってくれた方がありがたいんですから」
「そうですか…?」
川口さんは突っ込んでいた手をポケットから引き抜いた。
「はい、それでは失礼します」
頭を下げて、歩き出すと何故か川口さんも後からついて来る。
「あの…?」
立ち止まって振り向くと、何ともバツが悪そうに川口さんが頭を掻いた。
「いえ…特に言う必要は無いかと思ったんですけど…」
****
「まさか、私の住んでいるマンションの隣が川口さんの住むマンションだったなんて…」
私は唖然としながら街頭に照らされている2件隣同士で並んでいる鉄筋コンクリートマンションを見比べた。
「ちなみに川口さんのお部屋の間取りはどうなってるんですか?」
つい一人暮らしをはじめて見ると、他の人の部屋の間取りが気になってしまうんだよね。
「俺の部屋の間取りは1LDKですよ」
「へえ~私の住む1ルームより広いですね」
「いや、そんな事は…あ、でもバス、トイレは別で追い炊き機能があるから便利かも」
「おお~…それはいいですね。家賃はいくらなんですか?」
「7万5千円」
「ええっ!私のマンションと同じじゃないですかっ!いいな~羨ましい…」
思わず羨望の眼差しで眺めていると、突然川口さんのスマホが鳴った。
「あ、電話ですね。すみません、お引き留めしちゃって」
私は頭を下げると、川口さんも頭を下げる。
「ケーキ、どうもありがとうございます」
「いえ、それでは失礼しますね」
そして私はコンビニの袋をぶら下げて、自分のマンションへと帰って行った。
家に帰った私は、スマホでクリスマスの曲を流し始めた。ジングルベルの曲を聞きながら亮平のおばさんが用意してくれた料理をお皿に並べる。
10分後…。
「じゃ~ん、完成っ!」
ガラスのローテーブルの上にはお皿に乗ったポテトサラダと、温めたチキンの照り焼きとパスタ、そして買って来たショートケーキが乗っている。
「頂きまーす」
わざと大きな声でいただきますを言うと、私は早速料理に手を伸ばした。うん、流石おばさん。どの料理もとても美味しい。だけど…今、この部屋に私は一人ぼっち。何だか無性に寂しさを感じる。
「・・・」
買って来た苺ショートを無言で食べていると、何故かポロリと涙が一粒落ちてきた。何だか無性に悲しくなってきた私はその後…無言で涙を流しながらケーキとシャンパンを口にした――
ため息をつきながらコンビニへ向かって歩く私。実は今日は1人のクリスマスイブを過ごす事になりそうだったから、友達や同期の真理ちゃんに声を掛けてみたものの、全員が彼氏とデートだと言う事で、誰一人捕まえられなかった。
「それにしても意外。まさか萌ちゃんが同期の佐々木君と交際始めたなんて…」
ガーッと目の前でコンビニの自動ドアが開き、ぼんやりしていた私は入口で男の人にぶつかってしまった。
ドサドサッ!!
そのはずみで男の人の手からコンビニの袋の中身が床に落ちてしまった。
「あっ!す、すみませんっ!」
床に落ちた品物はカップ麺やらスナックだった。慌てて拾い上げて見上げると、じっと男の人は私の事を見つめている。その人は私と同じ年くらいの年齢に見えた。
「すみませんでした。ぼんやりしていたもので、あの…これ、どうぞ」
拾い上げた荷物を男性に手渡そうとすると、その人は口を開いた。
「お客様じゃないですか」
「え…?」
「あ…そうか、ユニフォームに帽子をかぶっていないから分らないか…。俺、さっきの運送会社の者ですよ」
そして男性はニッコリと笑った―。
それから20分後―
「はい、どうぞ」
コンビニで買ったショートケーキを、同じくコンビニで買ったラップで包んで私は目の前にいる男性…川口さんに渡した。
「ありがとうございます」
川口さんは嬉しそうにケーキを受け取るとお礼を言って来た。
「それじゃ、半分ケーキのお金払いますよ」
川口さんが上着のポケットに手を突っ込んだ。
「いいんですよ、ケーキ2個あって困っていたので、貰ってくれた方がありがたいんですから」
「そうですか…?」
川口さんは突っ込んでいた手をポケットから引き抜いた。
「はい、それでは失礼します」
頭を下げて、歩き出すと何故か川口さんも後からついて来る。
「あの…?」
立ち止まって振り向くと、何ともバツが悪そうに川口さんが頭を掻いた。
「いえ…特に言う必要は無いかと思ったんですけど…」
****
「まさか、私の住んでいるマンションの隣が川口さんの住むマンションだったなんて…」
私は唖然としながら街頭に照らされている2件隣同士で並んでいる鉄筋コンクリートマンションを見比べた。
「ちなみに川口さんのお部屋の間取りはどうなってるんですか?」
つい一人暮らしをはじめて見ると、他の人の部屋の間取りが気になってしまうんだよね。
「俺の部屋の間取りは1LDKですよ」
「へえ~私の住む1ルームより広いですね」
「いや、そんな事は…あ、でもバス、トイレは別で追い炊き機能があるから便利かも」
「おお~…それはいいですね。家賃はいくらなんですか?」
「7万5千円」
「ええっ!私のマンションと同じじゃないですかっ!いいな~羨ましい…」
思わず羨望の眼差しで眺めていると、突然川口さんのスマホが鳴った。
「あ、電話ですね。すみません、お引き留めしちゃって」
私は頭を下げると、川口さんも頭を下げる。
「ケーキ、どうもありがとうございます」
「いえ、それでは失礼しますね」
そして私はコンビニの袋をぶら下げて、自分のマンションへと帰って行った。
家に帰った私は、スマホでクリスマスの曲を流し始めた。ジングルベルの曲を聞きながら亮平のおばさんが用意してくれた料理をお皿に並べる。
10分後…。
「じゃ~ん、完成っ!」
ガラスのローテーブルの上にはお皿に乗ったポテトサラダと、温めたチキンの照り焼きとパスタ、そして買って来たショートケーキが乗っている。
「頂きまーす」
わざと大きな声でいただきますを言うと、私は早速料理に手を伸ばした。うん、流石おばさん。どの料理もとても美味しい。だけど…今、この部屋に私は一人ぼっち。何だか無性に寂しさを感じる。
「・・・」
買って来た苺ショートを無言で食べていると、何故かポロリと涙が一粒落ちてきた。何だか無性に悲しくなってきた私はその後…無言で涙を流しながらケーキとシャンパンを口にした――