本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第7章 9 突然の来訪者
「ふう…」
錦糸町の職場から新小岩のマンションまで何とか自力で帰宅し、部屋にたどり着くとそのまま壁際に置かれたベッドへ通勤着のまま倒れこんでしまった。
「熱…何度かな…?」
でも測りたいと思ったけど駄目…。寒気はするし、頭はズキズキと痛むから起き上がって薬箱から鎮痛剤や体温計を取り出す気力も出てこない。だけどせめて着替えだけでもしないと…。
今の私はスカートにブラウス、ジャケットという恰好をしている。このまま寝ると服がしわになってしまう。自分の身体を何とか必死になって起こし、部屋着に着替えて脱いだ服をハンガーにかける。もうそれだけが精一杯だった。
ようやくベッドに潜り込むと、それまで耐えていた身体の辛さが一気にのしかかってくるかのように感じられた。寒気はさっきよりも酷くなってきたし、頭痛も酷い。部屋着や布団は肌に少し触れただけで痛みを伴う。 私は高熱でうなされながら思った。…知らなかった。人って…具合が悪すぎると眠ることも出来ないって。こんな事ならさっき無理をしてでも帰宅してすぐに鎮痛剤を飲んでおけば良かったかな…。
そして私はそのまま意識を失うかのように何時の間にか眠りについていた―。
ピンポーンピンポーン
…何処かでインターホンの鳴る音がする。誰だろう…。気付けば部屋の中はすっかり暗くなっていた。レースのカーテンの向こうでは三日月の空が見えている。
次にドアをノックする音が聞こえてきた。
ドンドンドン…
「…もう。誰だろう…。具合悪いのに…」
私は布団をかぶり、居留守を使うことに決め込んだ。だって本当に具合がまだ悪いんだもの。
すると…
プルルルルルル…
突然枕元に置いたスマホが鳴り始めた。
「今度は誰よ…」
けだるげにスマホに触れると着信相手は亮平だった。
「え…?亮平…?」
ううん、でもこの電話が本当に亮平かどうかなんて分からない。だって、昨夜は電話に出た相手はお姉ちゃんだったんだから。そう思うと、何だかまた無性に泣きたい気持ちになってきた。昨夜のイブはお姉ちゃんからの怖い電話、そして今日はクリスマスなのに、高熱を出して私は1人マンションで寝込んでいる。そこへまたお姉ちゃんがかけてきているかもしれない亮平からの電話…。
「お姉ちゃん…もう二度とお姉ちゃんには関わらないように生きていくから…どうか私の事は放っておいてよ…」
未だになり続けるスマホの音を聞きたくなくて布団をかぶると、着信音は止まり、再びインターホンが響き渡り‥。
「鈴音!いるんだろう?!鈴音!」
亮平の声が聞こえた。
「え…?亮平…?」
まさか、亮平が来てるの?
何とか身体を起こして壁に手をつきながら部屋の電気をつけるとふらつく身体で玄関へ向かった。ドアアイで外を確認するとそこにはやっぱり亮平が立っていた。私は荒い息を吐きながらドアのカギを開けて、チェーンも外した。
ガチャリ
ドアを開けると亮平が心配そうな顔で私を見下ろしている。
「鈴音…。熱が出て職場を早退したんだって?」
「え?どうしてその事知ってるの?」
熱と激しい頭痛で顔を歪めながら私は亮平に尋ねた。
「お邪魔するぞ」
一言だけ言うと、亮平は部屋に上がり込んできた。
「鈴音。早くベッドに行って休め」
「う、うん…」
ふらつきながら再びベッドへ戻って横になり、私は亮平の様子をうかがった。
亮平は何か買い物をしてきたのかレジ袋から何かを取り出して小さな冷蔵庫へしまっていくと、今度はレンジを開けて何かを温め始めた。…何をしているんだろう… ?
ぼんやりした頭で私は亮平の様子をベッドの中で伺った――
錦糸町の職場から新小岩のマンションまで何とか自力で帰宅し、部屋にたどり着くとそのまま壁際に置かれたベッドへ通勤着のまま倒れこんでしまった。
「熱…何度かな…?」
でも測りたいと思ったけど駄目…。寒気はするし、頭はズキズキと痛むから起き上がって薬箱から鎮痛剤や体温計を取り出す気力も出てこない。だけどせめて着替えだけでもしないと…。
今の私はスカートにブラウス、ジャケットという恰好をしている。このまま寝ると服がしわになってしまう。自分の身体を何とか必死になって起こし、部屋着に着替えて脱いだ服をハンガーにかける。もうそれだけが精一杯だった。
ようやくベッドに潜り込むと、それまで耐えていた身体の辛さが一気にのしかかってくるかのように感じられた。寒気はさっきよりも酷くなってきたし、頭痛も酷い。部屋着や布団は肌に少し触れただけで痛みを伴う。 私は高熱でうなされながら思った。…知らなかった。人って…具合が悪すぎると眠ることも出来ないって。こんな事ならさっき無理をしてでも帰宅してすぐに鎮痛剤を飲んでおけば良かったかな…。
そして私はそのまま意識を失うかのように何時の間にか眠りについていた―。
ピンポーンピンポーン
…何処かでインターホンの鳴る音がする。誰だろう…。気付けば部屋の中はすっかり暗くなっていた。レースのカーテンの向こうでは三日月の空が見えている。
次にドアをノックする音が聞こえてきた。
ドンドンドン…
「…もう。誰だろう…。具合悪いのに…」
私は布団をかぶり、居留守を使うことに決め込んだ。だって本当に具合がまだ悪いんだもの。
すると…
プルルルルルル…
突然枕元に置いたスマホが鳴り始めた。
「今度は誰よ…」
けだるげにスマホに触れると着信相手は亮平だった。
「え…?亮平…?」
ううん、でもこの電話が本当に亮平かどうかなんて分からない。だって、昨夜は電話に出た相手はお姉ちゃんだったんだから。そう思うと、何だかまた無性に泣きたい気持ちになってきた。昨夜のイブはお姉ちゃんからの怖い電話、そして今日はクリスマスなのに、高熱を出して私は1人マンションで寝込んでいる。そこへまたお姉ちゃんがかけてきているかもしれない亮平からの電話…。
「お姉ちゃん…もう二度とお姉ちゃんには関わらないように生きていくから…どうか私の事は放っておいてよ…」
未だになり続けるスマホの音を聞きたくなくて布団をかぶると、着信音は止まり、再びインターホンが響き渡り‥。
「鈴音!いるんだろう?!鈴音!」
亮平の声が聞こえた。
「え…?亮平…?」
まさか、亮平が来てるの?
何とか身体を起こして壁に手をつきながら部屋の電気をつけるとふらつく身体で玄関へ向かった。ドアアイで外を確認するとそこにはやっぱり亮平が立っていた。私は荒い息を吐きながらドアのカギを開けて、チェーンも外した。
ガチャリ
ドアを開けると亮平が心配そうな顔で私を見下ろしている。
「鈴音…。熱が出て職場を早退したんだって?」
「え?どうしてその事知ってるの?」
熱と激しい頭痛で顔を歪めながら私は亮平に尋ねた。
「お邪魔するぞ」
一言だけ言うと、亮平は部屋に上がり込んできた。
「鈴音。早くベッドに行って休め」
「う、うん…」
ふらつきながら再びベッドへ戻って横になり、私は亮平の様子をうかがった。
亮平は何か買い物をしてきたのかレジ袋から何かを取り出して小さな冷蔵庫へしまっていくと、今度はレンジを開けて何かを温め始めた。…何をしているんだろう… ?
ぼんやりした頭で私は亮平の様子をベッドの中で伺った――