超イケメン男子たちと、ナイショで同居することになりました!?
「こんの……、待て!」
やすやすと負ける気はない翼くんが、怒号を飛ばす。全力ダッシュしているのに、どこから声が出るんだろう。でも自分の声で気合が入ったのか、翼くんはグングン速度を上げ、光の速さで一位におどり出た。瞬間、青チームのテントから拍手が沸き起こる。反対に、赤チームのテントは皆の手が止まりつつあった。
「ありゃ〜四条くん最下位だよ」
「葵くん……」
あまり差は開いてないものの、残り半周。このままだと負けちゃう?――そんな心配が頭をめぐる。でも葵くんは朝から競技に出ずっぱりで、毎日部活も頑張ってるし、お疲れ気味。だから例え負けても、それは仕方のないこと。
(……でも)
『あのメンバーで、真剣勝負したいんだ』
『俺を応援してくれる?』
葵くんは、応援してほしいって言った。私に応援してもらいたいって。今、葵くんは必死に走ってる。戦ってる。それなのに、私が応援しないでどうするの!
「葵くんー!!がんばって、一位になってー!!」
「!」
葵くんが、こっちを見た。だから私はとびきりの笑顔で、もう一度「がんばって!」とエールを送る。すると葵くんは地面を蹴る足に力を入れ、どんどん加速し、ついに先頭集団に追いついた。