超イケメン男子たちと、ナイショで同居することになりました!?

「制服のまま寝るとシワになるよー」
「スー……」

よく見ると、目の下にクマがある。もしかして昨日、寝られなかったのかな。だったら、このまま寝かせてあげよう。私も部屋には戻らず、静かに椅子に座る。ファイルから取り出したのは、あの書類。

「部活動登録申請書、かぁ」

書類には、主な活動場所、活動内容、申請者、そして部員名簿を記入する欄がある。名簿には十人分の空欄。うぅ、果てしなく続いてるように見える。

「一週間以内に十人も集まるかなぁ。いや……集めるんだ。だって私は、そのために入学したんだもん」

書類の最後に「申請する理由」を書く欄があった。ここから先に書いちゃおう。

「〝私がおかし調理部を設立したい理由は――〟」

頭の中に思い浮かぶのは、幼い頃の私。そして、いつも笑顔のおばあちゃん。
私のお父さんは、私が小さい頃に病気で亡くなった。それからというもの、お母さんは朝も昼も、寝る間も惜しんで働く日々。なんとか私が生きていけるよう、毎日必死に頑張ってくれた。
家でお母さんを待つ私は、幸運にも一人じゃなかった。一緒に住んでいたおばあちゃんは、私が学校から帰ると、いつも優しい笑顔で迎えてくれた。そんなおばあちゃんの趣味は、おかし作り。クッキーやケーキ、どら焼きや大福だって作れちゃう、おかし作りの天才だった。ある日、おばあちゃんに聞いてみた。「どうしてお菓子を作るのが上手なの?」って。
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