超イケメン男子たちと、ナイショで同居することになりました!?

「お前の興味って、サッカーだけだと思ってたわ」
「ひなるに昨日のお礼をしようと思っただけ」
(ひなるって呼んでんのかよ)

俺は名字で、葵は名前で呼んでる――その差が妙に気に食わなくて。葵に見せようと思った書類を伏せ、机上に戻した。

「ひなる寝てるんだ。ってか、それ何?」

俺が伏せた紙と、もう一枚の白い紙。そっちには、何か所にも消しゴムで消されたあとが残っている。

「知らね。〝お絵描き〟でもしてたんじゃねーの?」
「……普通にありそう」

フッと笑みを浮かべる葵に、思わずビックリする。そんな優しい顔も出来たのかよ。人って分かんねぇな。
買った物を入れるため冷蔵庫を開けた葵は、「あ」と。悪びれることなく俺に尋ねた。

「牛乳を買い忘れたから借りる。翼の牛乳、ちょうど満タンに入ってるし」
「やめろ、これから飲もうとしたとこだっての」

葵の手から、牛乳を取り戻す。でも、もしパスタが出来てたら千里は喜ぶだろうな。〝葵の手作り〟ってのが気に入らねーけど。

「牛乳……やる」
「本当?くれないと思った」
「その代わり、出来たら俺にも食わせろよ」
「ふっ。腹痛くなっても知らないから」

スマホを持ち、涼しい顔でレシピを眺める葵。「ふぅん」と呟き、さっそく作り始めた。その手つきには一切の無駄がなく、短時間で美味そうなカルボナーラが出来上がる。

「ひなる、起きて」
「ん、いい匂い……パスタ!?」
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