超イケメン男子たちと、ナイショで同居することになりました!?
思いがけない優しさ

リビングに移動した後。テーブルを囲んで、それぞれの椅子に座った。

幸運なことに椅子の余りがあったらしく、私も座ることが出来ている。のだけど……皆からの視線が痛すぎる。

「ったく、ただでさえ相部屋でむさくるしいのに。女子にまで気を遣うとか冗談じゃねぇ」
「口が悪いよ。この子が希望した事じゃないって、さっきのやりとりで分かったはずだよ」
「ふん」

なんかケンカが起きそうな雰囲気が漂ってる。ここは早く自己紹介してお開きにしよう!

「初めまして、千里ひなるです。好きな食べ物はおかしで、好きな事はおかしを作ることです」
「おかしの情報が多くない~?」
「好きなんです」

食いしん坊って思われたかな?カァッと顔を赤くした私に、優しい笑みを浮かべた人が質問した。

「千里さんはナツ校なんだよね?」
「〝ナツ校〟?」
「ここでは南都中学校のことをナツ校と呼び、普由中学校のことをフユ校と略して呼ぶんだよ」
「なるほど!」

そう言えば、この寮館は二校共同だった。

「私はナツ校です。一年三組です」
「……げ」
「(げ?)」

イケメンの一人が、私を見ながら顔を歪める。私が一番最初に見たイケメンだ。黒い髪に、すっきした鼻筋。薄い唇に、切れ長の瞳。袖から筋肉質な腕がのぞいている。何かスポーツをやってるのかな?

「俺は四条(しじょう)葵(あおい)。ナツ校、一年三組」
「私と一緒だねっ」
「……」
「なんで黙るの!」

「私と同じクラス」と聞き、明らかに落ち込んだ表情の四条くん。そんなあからさまな態度はショックだよ。でも……無理もないか。寮だけでなく教室まで一緒って、気を遣うよね。って、私が悪いわけじゃないけど!
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