超イケメン男子たちと、ナイショで同居することになりました!?
「名前を呼ぶかわりに……俺からも、一つお願いがあります」
「はい、なんでしょう?」
「俺も〝ひなるちゃん〟って呼んでいい?」
「ふふ、もちろんです!」
両手で大きな丸を作ると、紫温先輩はくしゃりと笑った。珍しい笑顔に釘付けになっていると、先輩が私からひょいと机をとる。そして「俺が持って行くよ」と、すたこらさっさ。でも長机だし、一人じゃ重いはず!
急いで手を伸ばすも――ギュッ。紫温先輩の温かい手に握られ、阻止された。
「本当に一人で大丈夫。温かい〝だけ〟の俺じゃなくて、力のある男子だって所を見てほしいな」
「力のある男子……?」
私から手を離し、再び机を運ぶ紫温先輩。重たいはずなのに、先輩はケロっとした顔。そっか、男の子って力持ちなんだ。
「女子とは全然ちがうんだなぁ」
「何が違うの?」
「わ、葵くん!」
急に現れた葵くんにビックリする私――を、机を運び終わった紫温先輩が、遠くから見つめていた。そこへ、同じく机を片付け終わった遊馬先輩がやって来る。
「お疲れー。なに見てるの~?」
「お疲れ様。何でもないよ」
「ふぅん?」
だけど紫温先輩の視線の先に、私がいると気づいた遊馬先輩。何かを察知し「まさか」と声をもらす。
(紫温くんは、恋とは無縁だと思ってたけど……)
だけど、次の紫温先輩の言葉を聞いて。その「まさか」は、確信めいたものになる。
「俺もひなるちゃんと同じ学校なら良かったのになぁ」
「紫温くん、やっぱり君……」
そうこうしている内に片付けは終わり、フユ校の人たちは、自分の校舎へ帰った。
「遊馬先輩、お疲れ様です!どうかしましたか?」
「え……あ、ううん。何でもないよ」
一つの甘く複雑なしこりを残して。ナツ校に、いつもの日常が戻ってきた。