超イケメン男子たちと、ナイショで同居することになりました!?
(私がいない間に、何かあったのかな)
不思議に思いながら、身支度を済ませ玄関に行く。そこには既に、翼くんが立っていた。
「ごめん翼くん、待たせちゃった」
「全然。それより荷物かせよ、持つ」
「鞄くらい自分で持つよ~」
だけど私の手から離れ、鞄は翼くんの手の中へ。不思議に思って首をかしげると、私を見た翼くんは、なぜか耳を赤くそめた。
「も、持っててやるから、今の内に靴はけって」
「そういう事だったんだね、ありがとうっ」
「べ、別に!」
だけど靴をはき終わり、通学路を歩いてる時も。翼くんは、私に鞄を渡さなかった。周りから見ると、イケメンの翼くんに一般人の私が荷物を持たせているという、ビックリな図になっている。
「翼くん、そんなにナツ校のカバンが気に入ったの?」
「ちげーよ!俺はただ」
翼くんは、目の前に建つナツ校をあおぎ見る。
「ただ……俺もナツ校のカバンを持って、お前と一緒の教室に入りてぇなって思っただけだ。葵みたいにな」
「翼くん、」
「フッ、なんてな。じゃーな」
私のオデコを軽く叩いた後。やっと鞄を返した翼くんは、フユ校の門をくぐった。いつものように女子に囲まれる翼くんに、さっきまでの笑顔はない。私が覚えている限り、さっきの翼くんの笑顔は……今までで、一番優しかった。
「翼くんと私、それに葵くん。三人が同じ教室にいたら、絶対楽しいだろうなぁ」
高校で一緒になれたらいいな――すると後ろから足音が聞こえた。振り向くと、爽やかだけど、ちょっと眠そうな葵くんの姿。