超イケメン男子たちと、ナイショで同居することになりました!?
「アキラちゃん、あんなに興味なさそうだったのに、おかし調理部に入ってくれるの⁉」
「だって四条くんに、フユ校の白石くんて子も入部してるんでしょ?おかし以外の事でひなるが悩んだ時、そばにいてあげたいからさ。それに、あたしもおかし作るの好きなんだー!みんなで美味しいおかし作って、わいわい賑やかに楽しもうよ!きっとおばあちゃんも見てくれるよ!」
「うん!」
机から、皆の入部届が入ったファイルを取り出す。まるで宝物が一つ増えたみたいに、大事に閉まった。そうこうしていると、一時間目終了のチャイムが鳴る。次は移動教室だから、みんな次々に席を立った。
その人ごみの中に、背筋がピンとのびた葵くんの姿。サッカーをやっているからか、葵くんの姿勢はいつも良い。どれだけ大勢の中にいても、一目で「葵くん」って分かる。
すると急に葵くんがこちらを向いて、目が合った。そして、ふわりと柔らかい表情で笑ってくれる。
(かっこいい……ん?でも)
私が葵くんを見てたって、バレたよね?恥ずかしい……!すると一部始終を見ていたアキラちゃんが、なぜか感心した。
「四条くんさ。皆が行き交ってる中、よく背の低いひなるを見つけたよね」
「え……」
そう、だよね。葵くんは背も高いし、姿勢がイイから見つけやすい。反対に、私はどこにでもいる普通の女の子。葵くんは、どうやって私を見つけたんだろう。
「ねぇアキラちゃん、私って背筋ピンとしてる?」
「むしろ、もう少し伸ばした方がいいかも?」
「だよね……」
じゃあどうして?なんで葵くんは私を?なんて。胸の奥をさわがせる、むずがゆい謎は謎のまま。葵くんが教室を後にする姿を見送って、私とアキラちゃんも移動を始めた。
私の数歩先を行く葵くん。その背筋は、やっぱりピンと伸びていて……。いつも見ているはずなのに、なんだかとっても、キラキラしていた。