超イケメン男子たちと、ナイショで同居することになりました!?

私にジュースを渡しながら、遊馬先輩が尋ねる。あまりに寂しそうな顔だったから、試しに「七海先輩」と呼んでみた。

「うん!なに?ひなちゃん!」
(すっごく嬉しそうな顔!)

アイドルのように、先輩の周りにキラキラしたものが浮かんでいる。オーラがすごい!七海先輩が女子に人気な理由が、やっと分かった気がする。

(でも葵くんも、モテるんだよね……)

うつ伏せで寝る葵くん。大きい体を丸めて、気持ちよさそうに寝息を立てている。だけど時計を見ると、そろそろ予鈴が鳴る時間。かわいそうだけど、起こすしかないよね。上下する広い背中に、ゆっくり手を添えた。

「葵くん、起きて?」
「スー」
「ねぇ葵くん、葵くんってばー!」

起きないと遅刻しちゃうよ!?焦っていると、七海先輩が笑いながら葵くんに近づく。

「ひなちゃんに起こしてもらえるなんて羨ましい~」
「冗談言ってないで、七海先輩も手伝って……って、何を持っているんですか?」
「ふふ、内緒~」

スヤスヤ寝る葵くんの口へ、何かを持って行く七海先輩。その正体が「ワサビ味のせんべい」だと知ったのは、葵くんが涙目で飛び起きた後のことだった。


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