溺愛は復讐の始まり
「お気遣いありがとうございます、お嬢様。」

結は私よりも5歳上なのに、私に敬語を使う。

「大変ね。休んでもいいわよ。」

「私が休めば、お嬢様に日差しが当たってしまいます。」

「あら、それはいけないわ。日差しは美容の大敵だからね。」

「そうですね。」

にっこり笑う結の顔には、シミが散乱している。

ああいうふうには、なりたくない。

私は海に耳を傾けて、静かに波音を聞いた。

世の中ストレス社会だと言うのに、私はそれと無縁の暮らし。

目を閉じると、内側から溢れてくるこの充実感。

あああああ!本当に、社長令嬢として生まれてよかった!


その時だった。

使用人の一人が、結の元に駆け寄ってきた。

「ええっ⁉」

「どうしたの?結。」

「大変です、お嬢様!旦那様と奥様が!」
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