溺愛は復讐の始まり
「えっ?パパとママが?」

結は顔面蒼白だった。

「事故に遭われて、亡くなったと……」

私は言葉を失って、結と見つめ合った。


南の島のリゾートから、日本に帰って来たのは、翌日だった。

大きな屋敷に届けられたのは、両親のものだという包帯で巻かれた遺体。

「パパ……ママ……」

顔の一部しか見えない遺体にすがり、これからどうしたらよいのか、分からなくなった。

使用人を束ねる渡辺が、私の側にやってきた。

「お嬢様、今夜には旦那様と奥様のお葬式を。」

「そんなに早く⁉」

渡辺は黙って頷くだけ。

他の使用人はただ下を向いて、うんともすんとも言わない。

「まだ会って、数時間しか経っていないのに。それに会社だって……」

そうよ。パパがいなくなった会社は、私がなんとかしなければ。
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