君のスガタ
第一章「君のスガタ」
春に近づいているのに、あの時は寒さが増していた。
十月にあるバレー大会に向けて、誰もいない体育館の中でサーブ練習をひたすら行った。
一人で練習するサーブの音が体育館に響き渡っていた。
その行動を誰かがひそかに見ていると知らずに。
*
四月某日の火曜日。春休み中は部活と出された宿題に追われていた。
ほんと、あっという間で学校が始まるという実感はない。
学校が始まると、誰かに会うことすら恥ずかしいし、嫌になる。
「おはよう。めぐみ」
私はこの四月から高校二年生になる。クラス替えがないので安心だ。
「あ、柚。おはようー、久しぶりね。元気してた?」
歩いていると、私のポニーテールを引っ張って、声をかけてきた。
この子しかない。めぐみだ。この子は私の親友。高校年生からの仲だが、なんでも話せる唯一信頼できる人だ。
「元気だよ。でも、部活と勉強だけで終わっちゃったよ」
「もったいないな! 柚は真面目すぎるんだよ。少しくらいサボっていんだよ」
めぐみは私の肩をバンと叩いて、言った。
「…痛いから。めぐみ!」
私は歩きながら、めぐみに微笑んだ。
十月にあるバレー大会に向けて、誰もいない体育館の中でサーブ練習をひたすら行った。
一人で練習するサーブの音が体育館に響き渡っていた。
その行動を誰かがひそかに見ていると知らずに。
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四月某日の火曜日。春休み中は部活と出された宿題に追われていた。
ほんと、あっという間で学校が始まるという実感はない。
学校が始まると、誰かに会うことすら恥ずかしいし、嫌になる。
「おはよう。めぐみ」
私はこの四月から高校二年生になる。クラス替えがないので安心だ。
「あ、柚。おはようー、久しぶりね。元気してた?」
歩いていると、私のポニーテールを引っ張って、声をかけてきた。
この子しかない。めぐみだ。この子は私の親友。高校年生からの仲だが、なんでも話せる唯一信頼できる人だ。
「元気だよ。でも、部活と勉強だけで終わっちゃったよ」
「もったいないな! 柚は真面目すぎるんだよ。少しくらいサボっていんだよ」
めぐみは私の肩をバンと叩いて、言った。
「…痛いから。めぐみ!」
私は歩きながら、めぐみに微笑んだ。
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