君のスガタ
「先生。今日の新入生に最初から厳しすぎませんか?」

 部員は手を上げて、意見した。

 みんなが思っていることを口にしていたので部員達は一斉に柳暗先生に顔を向ける。

「ああ、今回はすぐバレー好きかどうかを分かっていたくてな。体力だけではなく、本当に好きかを」

 柳暗先生は体力だけを見ているだけの人ではないと思っていたが、やはりきちんとバレーと向き合っている。

 そんな先生なのを忘れていた。

「……じゃあ、あれはわざとやっていたってこと」

 私は独り言のように呟くと、隣にいためぐみはそうみたいねと言って笑っていた。

 部活が終わると、バレーシューズなどの用具をリュックに入れて、玄関先で靴を替えて、今日あった出来事をめぐみと話していた。

「あれ? テニスコートでまだ練習している人いる」

 めぐみは立ち止まって、テニスコートを指さしていた。

「え? もうこんな時間だよ。暗くなってきたし」

 私は目を丸くして、めぐみが指をさしているテニスコートを見る。

 そこには、一人壁打ちをしている男子がいた。あのボサボサの茶髪はイケメンで人気者の人だ。

また、一人で壁打ちしてるんだ。ふーん。
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