君のスガタ
 松永慶は無表情に自分の名前を私に言った。

人気者男子は昨日知りあったばかりなのになんで名前を私に伝えてきたのだろうか。

 あ、ただ自分のことを認識してもらいたかっただけかな。うーん。私は心の中で考えた。

「はい、よろしくおねがいします」

 私は松永慶が無表情だったので真顔で礼をした。

颯爽と松永慶の所に立ち去った。

 松永慶は私が立ち去ったあと、ニコリと微笑んでいた。

その微笑みには訳があったことはまだ知らなかった。

 次の日。

 私は椅子に座って、なにも考えないでいた。

「なにしてんの」

 ボッーとしていると、めぐみが話しかけてきた。

クラスは騒がしく、仲のいい人達と話をしたり、朝だというのに男同士で身体を使い、組み合いをしていた。

元気だ。とにかくみんな元気。

「なんでもないよ」

 私は元気を装って、笑顔を振り絞って表情を作った。

「そうなんだ」 

 めぐみは返事をして、ふーんと納得したのか自分の席に戻っていた。

「あっ、柚! おはよう! この間、教えてくれた漫画読んだよ。ありがとう」

 クラスメイトは貸していた漫画を返してくれた。
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