君のスガタ
「めぐみ」

 私は名前を呼んでから、めぐみの言葉を聞く。

 教室の前で話をしていたので、クラスメイト達はキャーキャーと黄色い歓声が浴びる中、拍手が湧き上がる。

「あっ、ごめん」

 めぐみはバッと堺君の方を離れたが、堺君が引き戻して、抱き寄せた。

「俺でいいの?」

 堺君はめぐみの両肩を掴んで顔を見て、声を発した。

「…いいに決まってる」

 めぐみは泣きそうな表情をして、堺君をまた抱き寄せる。

「よかった、よかった」

 私は拍手喝采の中、一人教室に戻り、次の授業の準備をした。

 なになに? この拍手は。おっ、カップル誕生かと怒ることもなく、ただその光景を見ただけの感想を担任の刈谷先生は微笑んだ。 

 めぐみと堺君は照れた様子で笑っていた。

 堺君は変わった訳ではなかった。

 ただ好きを押し付けないように我慢して、嫌われようとしていただけだった。

 それをめぐみは堺君の好きを認めた。

 めぐみはどんな好きでも好きは好きだと受け入れるところはめぐみのいい所だ。

 私は二人のことを微笑んでから気づいたのか二人はピースをしてありがとうと大きい声で伝えて、席についた。
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