君のスガタ
 担任刈谷先生はうるさいぞと言いながらも、微笑ましそうに見ていた。

 その後、私は授業を受けた。

 帰り道、歩いていると、後ろから足音がした。

 なになに。私の後ついてきてんの。

 え? まさか私を狙ってる。いやいや、そんな人いないでしょ。

 私は左角を曲がったら、止まった。

 ついてくるなら、やっつけるしかない。

 すると、左角を曲がったら人影が見えた。

「やめてください!!」

 私はその人を鞄で叩いた。

「え? なになにやめてよ」

 声をする人物を見ると、それはきよしだった。

「え? きよし!」

 私は鞄を肩にかけ直して、目を丸くした。

 周囲には犬の散歩をしているおばちゃんがあら、どうしたのかしらと首を傾げてから去っていた。

「いや…なんか私のことついてきてるから変質者かと思って……まさか、きよしだとは。ここら辺にいるのめずらしいじゃん。どうしたの?」

 私は目の前にいるきよしを見て、聞く。

 きよしは意を決したように私の方に一歩ずつ踏み出して、言葉を紡ぐ。

「柚に話したいことがあるんだ」

 何だかいつものきよしよりオドオドしていて、きよしらしさがなかった。
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